DIOR サマー 2022 メンズコレクション
- By HighsnobietyJapan in style
- 2021年6月28日
1947年、クリスチャン・ディオール(Christian Dior)の旅の記憶に思いを馳せる。最初の目的地であったテキサスの広大な荒野と悠久なグランドキャニオンが鮮烈な印象与え、「Zest for Life and Self-Confidence(生命と自我の源泉 *筆者の解釈)」という言葉を残した。
生命力みなぎるアメリカンスピリットは、キム・ジョーンズ(Kim Jones)とテキサス出身のラッパー兼シンガーソングライターで、レコードプロデューサーでもあるトラヴィス・スコット(Travis Scott)を媒介して現代に蘇る。スコットのレコードレーベル「カクタス ジャック」に因み、「カクタス ジャック ディオール」と名付けられた。
2人の友人、2つの文化、2つの時代を繋ぐ今コレクションは、DIORのヘリテージと先駆的でモダンなミュージシャンのアイデンティティが見え隠れする。
クリスチャン・ディオールの幼少期を想起させるバラ園とスコットが生まれ育ったヒューストンのサボテンの庭園が共存する空間は、モーブ、カフェ、ピスタチオ、ペールブルーなど、日に焼けたようなカラーパレットに染まる。それと同調するカラーとテクスチャーのコレクションに、オールブラックやエレクトリカルなグリーンがモダンな閃きを付け加える。
テーラリングでは、ハイウエストで裾にかけてゆるやかなフレアのパンツと、アームホールの細いオーバーコートは、DIORが1956年に発表した「アロー」ラインの進化をなぞる。身頃の高い位置で留める「テイラー オブリーク」は、フォーマルとスポーツウェアの要素とのコントラストを演出。トラックパンツにはクチュールのディテールが添えられ、ツアーグッズを模したウォッシュ加工のTシャツには、刺繍とハンドペイントが施されている。
スコットは、ディオールのロゴを手描きのグラフィックでアレンジし、オリジナルのロゴがプリントや刺繍となって登場。そのほか、ヒューストンの地形や「カクタス ジャック」のキャラクター、そしてDIORのアーカイブから取り入れたイメージなどのモチーフが、架空の旅を連想させるパッチとなり、バッグやレザーのスーベニアジャケットを飾る。