クワイエットラグジュアリーの女王が鳴らす号砲。
PHOEBE PHILO「D」コレクションに見る転換点
フィービー・ファイロ(Phoebe Philo)が自身の名を冠したブランドPHOEBE PHILO(フィービー・ファイロ)が、新コレクション「D」を発表。ブランド始動以来、今回が4度目のリリースとなる。
キャンペーンヴィジュアルとともに明かされたのは、ブランド初となるロンドン拠点のフラッグシップブティック開設計画。店舗は、THE ROW(ザ・ロウ)のメイフェア店の真正面に位置する予定で、早くも話題を呼びそうだ。
これらの “静かな変化” は、ファイロのブランドが原点から大きく舵を切ったことを示している。これまでは「Edits(エディッツ)」と呼ばれるシーズンレスの小規模なリリースにとどまっていたものの、最新の展開では本格的なコレクションへと進化を遂げている。アルファベット順に展開されるリリースも回を重ねるごとにボリュームを増し、デジタル限定だったブランドは、「実店舗」という現実空間へと着実に歩を進めている。
CELINE(セリーヌ)の元デザイナー、フィービー・ファイロが得意とするミニマリズムをさらに発展させた「D」コレクションでは、アーストーンを基調に、幅広いアウターウェアが展開されている。大ぶりの襟が印象的なレザーやファーのボンバージャケットに、空気を含んだように軽やかなトレンチコート。さらには重厚なバッグ、構築的なカーゴパンツ、ふわりとしたアンダーウェア、そしてベルトバックル付きヒールに合わせたウールのドレスパンツまで、多彩なアイテムが揃う。
ファイロは今作で、誠実なエレガンスとセクシーなユーモアを巧みに対比させている。ある部分にはたっぷりと布を使ったオーバーサイズのシルエットを、別の部分には肌を大胆に露出するオフショルダーを配し、相反する要素が織り成す緊張感あるバランスを生み出している。
ハードとソフトを自在に操る、その絶妙なバランス感覚はまさに名手のなせる業。
新作のラインアップ拡充に加え、ブランド名を冠した初の実店舗の発表もあり、LVMHの支援を受けるこの新鋭ブランドにとっては、これまでで最もインパクトのある動きとなった。
2026年初頭より、公式サイトおよび厳選されたグローバルパートナーを通じて「D」コレクションが順次展開される予定だ。ブランド初の実店舗オープンも来年に控えている。
クワイエットラグジュアリーの女王がついに自身の城を手にし、長らく待ち望まれてきたファイロファンの聖地が、いよいよ誕生しようとしている。