新生Dior メンズは、見た目ほど奇抜ではない。
ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)によるDior(ディオール)メンズの復活は、一目見ただけで頭をかき乱されるほどの衝撃だった。何しろ、モデルの3分の1以上が身に着けていたネオンイエローのヘアピースから、目を逸らせなかったのだ。一部の業界関係者が推測するように、おそらくあれは伝説的なスコットランド人デザイナー、パム・ホッグ(Pam Hogg)のトレードマークであるカナリア色の髪の毛へのオマージュだったのだろう。いずれにせよ、ヘアスタイリストのグイド・パラウ(Guido Palau)が手がけたこの人工的なヘアスタイルは、この先に待つ狂気を予感させるものだった。
©HIGHSNOBIETY
しかし、ヘアスタイルだけでショーを判断してはいけない。あの黄色い塊から視線を外すと、はるかに洗練された何かが現れてくる。まずは聞いてほしい。確かに、ウィッグ以外にも奇妙な要素はあった。ショーの前に、アンダーソンは「普通さ」は求めていないと語っていたが、派手な蝶柄のディスコパンツや、巨大なシアリングカフをあしらったクロップド丈のパファージャケットを見れば、その意図は明らかだ。それでも、その喧騒の奥でアンダーソンは確かに、地に足のついた(そして本当に優れた)服を提示していた。
言うまでもなく、アンダーソンが指揮を執る以上、ありふれたものは何ひとつ存在しなかった。玉虫色にきらめくクロシェトップスや、上流階級然としたネックラフは、フランスクチュール界伝説のファッション・デザイナー、ポール・ポワレ(Paul Poiret)から着想を得たものだ。装うことそのものを楽しんだ彼の嗜好が、このコレクションにおける演劇的な瞬間や、貴族的な雰囲気を形づくっている。
しかし、その狂騒の裏には、着やすいメンズウェアが数多く存在していた。これはショーの翌日、『HIGHSNOBIETY』がアンダーソンのジェンダーフルイドなコレクションを間近で見たことで明らかになった。そこには、リラックス感のあるポロシャツ(とはいえ、きらびやかな肩章が飾られている)に、プリーツの入ったスレートカラーのスラックスと、装飾的なベルトを合わせたルックがあった。ゴルフコースからナイトクラブまで、軽やかに行き来できる装いだ。
また別のルックでは、ムードボードやフロントロウにも登場していたロマンティック・ポップシンガー、マギー(Mk.gee)に着想を得たファーライン付きのパーカーが、グランジなムードを添えていた。そこに色落ちしたデニムのカーゴパンツが加わり、さらにルーズな佇まいを演出している。
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ピークラペルのスーツは、クラシックなシルエットによって、奔放な華やかさを抑えていた。一方、ミントとホワイトのウィンチェスターシャツは、これ以上ないほど堅実な一着だった。
確かに、きらめくライラック色のベストや、縮んだバー・ジャケット、そして爆発的にワイドな七分丈のクリーム色の花柄ショートパンツは、近所へ買い物に出かける装いとしては現実的ではない。しかし、卓越したデザインを基盤として、その奇抜さの棘を和らげて見せるところにこそ、アンダーソンのスター性が宿っている。
彼にとって奇抜さは、オーソドックスな要素を覆い隠すための仮面ではない。むしろ意図的な視線誘導として機能し、見続けた者だけに、純粋な魔法をもたらす。
- Words: Kyle MacNeill