19世紀風のユニフォーム、トップハット、ウールのワークウェア、カリフォルニアのサーフ・ストリートウェア。これらに共通するものは何か? 答えは、JUNYA WATANABE(ジュンヤ ワタナベ)だ。

パリ・ファッションウィークで発表された2026年秋冬コレクションで、デザイナー・渡辺淳弥は19世紀末のシルエットと産業革命期のワークウェアへと立ち返った。これは彼のメンズウェアではおなじみの手法だが、今回はそれらを20世紀サブカルチャーのレンズを通して再解釈している。

それだけに、尽きる気配のない渡辺のコラボレーション群に、STÜSSY(ステューシー)が再び加わったことは、なおさら驚きだった。

2024年に発表されたグロメット付きフーディー(ティモシー・シャラメ(Timothée Chalamet)が関心を示したことでも知られる)に続き、ストリートウェアブランドとJUNYA WATANABEは2度目のコラボを展開。今回は規模を拡大し、カーキパンツとクラブブレザーにまでそのムードを広げている。このルックはSTÜSSYの世界観にも自然に溶け込むが、渡辺によるヘリテージを再構築するメンズウェアの視点でスタイリングされることで、新たな価値を帯びている。

そして中には、プレッピー文化における「Go To Hellパンツ(地獄行きパンツ)」を彷彿とさせるパンツも見られた。全面に刺繍が施されたスラックスは、当時の伝統的なメンズウェアの規範が緩み始めたことを体現する存在だった。一方クラブブレザーは極めてアイビー的なジャケットで、排他的なグループやチームへの加入を示すアイテムとして用いられてきた。その両者は、ここで綺麗に組み合わされている。

そうした中でこのルックは、周囲に並ぶ19世紀的な装いに対する、比較的カジュアルな答えとなっている。それは、渡辺が持つ20世紀的な影響の幅広さを示すものだ。渡辺の視線を通すことで、STÜSSY特有の肩の力の抜けた美学は、穏やかにフォーマルへと転じていた。

これは、STÜSSYが現在、Wales Bonner(ウェールズ・ボナー)とのプレッピーなコラボから、Nike(ナイキ)とのスニーカー風ワークブーツに至るまで、強いカルチュラルな潮流に乗り続けている、まさにそのタイミングで起きた出来事だ。

ただし、STÜSSYがコラボの常連だとすれば、JUNYA WATANABEはまさにコラボの王者だ。今回のランウェイもまた、Levi’s®(リーバイス)やNew Balance(ニューバランス)などお馴染みの顔ぶれとの協業が目立った(これらはあくまで分かりやすい例に過ぎない)。これは、歴史性を帯びたコレクションの中に、ヘリテージを共有してきた盟友達を組み込み、より確立されたメゾンから借用した “世界性” の感覚を反映する、渡辺ならではのシステム構築のアプローチと言える。

渡辺はこれらのブランドを自らのエコシステムに取り込み、独自のルールで運営している。したがって、ここにおけるSTÜSSYの存在は意外性と遊び心があり、そして最終的には紛れもない渡辺らしさが際立っていたのだ。