“グッチ” と聞いて思い浮かべるは何であろうか。

個人的にはトム・フォード(Tom Ford)と、どうにもこうにも見たい聞きたい歌いたいと夜にヒッパられ、朝にはハッチポッチられていた世代としてはグッチ裕三氏である。

しかしながら、裕三氏のグッチについては英語表記はGutchであり、さらに名前の由来については諸説あるようで、「愚痴言うぞ」説と、相方であったモト冬樹氏と合わせてオートバイ「モトグッチ」からとった説があるらしく(こちらの節の方が濃厚らしい)、ブランドのGUCCI(グッチ)とは関係がどうやらないようなのだが、個人的には思い出補正がかかっているのもありグッチ裕三氏をどうかアンバサダーに起用していただき、ハッチポッチのキャラクターと共にキャンペーンヴィジュアルなどを展開していただけないであろうか。

ダイヤさん、この辺り似合いそうだし。って勝手な妄想がまたもや暴走。思わずハッチにポッチなステーションを通過し、大脱線。

ここはHIGHSNOBIETY。話を “モト” に戻しますね。モト冬樹ではなくもとの話に。

ということで………GUCCIの話なのだが、トム・フォード時代のGUCCIのシンプルからはんなり溢れ出る官能さ、優しくも沁みて香り立つお吸い物のような世界観が好きだったので、アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)GUCCIの特盛家系スープのような豪快さには個人的には胃がもたれてしまっており、サバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)でシンプルに回帰したものの特盛家系の残り香は消しきれず、デムナ(Demna)がやってくる! と衝撃ニュースが飛び込んできた際は、果たしてどう料理されていくのか。

レンチンした一株丸ごとブロッコリーにタラコのソースをぶっかけた料理を提供する、豪快かつ斬新な平野レミ氏のような調理法でやってくるのではないかと、またも別の胃もたれを正直予想していたのである。

しかし老舗で提供するにも、ささやき女将などの助言が必要のない流石のデムナ。

提供された料理は意外にもTOM FORD(トム フォード)時代のシンプルかつミニマムにエロさを香らせつつも、ほどよくデムナなスパイスを散りばめ、さらに長年煮込まれたGUCCIの歴史も旨味として引き出してきたものに。

どう出るかが発表前から世では賛否両論だったが、ささやき女将不要のデムナ。相変わらずプレゼン方法もうまい。アート作品のようにそれぞれのルックにタイトルをつけて味の奥行きも増す現在展開中のコレクション。

はだけすぎたシルクシャツに、ビキニ、レザージャケットの裾から覗くおへそ。どこか少し大胆で「MajiでKoiする5秒前」で思わず着たくなる。反してビシッとかためたイタリアンなスーツスタイルもあり、そちらも香り立つ色気がある。

さらに、2026年のプレフォールのコレクションもルックブックで発表してきた訳だが、シルエットやスタイリングがかつてのデビッド・ベッカム(David Beckham)味を感じさせるものもあり、最近の自身の長男との確執が話題となったことで、久々に自分も昔のヴィクトリア・ベッカム(Victoria Beckham)のドキュメンタリーを掘り起こしたりもしていたので個人的にアツい。

まだまだ老舗の再建に着手し始めたばかりのデムナ。

GUCCIをこれからまたどのように調理していくのか。そして我が祐三アンバサダーの願いは叶うのか。

夢にうつつを抜かしつつ期待しつつ。

取り急ぎあれだけオーバーサイズを世に放っておきながら、急にスリムなフィットを提案してきたデムナを見ては、これからもしばらく彼が調理するフライパンの上で、我々は転がされては煮るなり焼くなりされるのは確かである。