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Where the runway meets the street

イタリアンアルプスの麓、フランスとスイスとの国境の間に本社を構える「Vibram(ヴィブラム)」。

1937年に設立されたビブラムは、ゴム製ソールの製造を専門とするメーカーである。当時、登山家であった創始者のヴィターレ・ブラマニー(Vitale Bramani)はアルプスを登山中に遭難し、6人の仲間を失った。登山に適していない靴が事故の原因とみなされ、このことをきっかけに彼はゴム製ソールの製造を決意する。1937年、最も高い評価を集めたソールの一つとなった「Carrarmato(カラマット)」、別名「Tank Tread(タンクトレッド)」を開発した。

ヴィブラムのグローバルゼネラルマネージャー、パオロ・マヌッツィ(Paolo Manuzzi)はハイスノバイエティのインタビューで次のように語っている。「最高の企業の一つとみなされる唯一の方法は、革新的な新商品をデザインすること。そのためには、研究開発が重要だ。イノベーションと新製品を生み出すことを常に最優先に考えている」

ヴィブラムは相当な数のリソースを研究開発に回しており、広大な面積を誇る本社のテスト施設はその事実を物語っている。人間工学に基づき、足の形に合わせてデザインされた「Vibram FiveFingers(ヴィブラム ファイブフィンガーズ)」は、最もよく知られる商品の一つだ。

2018年、革新的な「Furoshiki Shoe(ふろしきシューズ)」がイタリア工業デザイン協会(ADI)のゴールデン・コンパス賞を受賞した。風呂敷のように足を優しく包み込む生地と、ベルクロ留め具により自在に調整できる快適なフィット感が特徴的だ。

ヴィブラムはソールの製造以外にも、他社ブランドとのライセンス商品を数多く生み出している。「OFF-WHITE(オフホワイト)」「1017 ALYX 9SM(テンセブンティーン アリクス ナインエスエム)」といった著名ブランドとのコラボレーションを経て、最近ではストリートウェアブランドや限定スニーカーの開発にも積極的だ。「これらのブランドは、ヴィブラムをよりクリエイティブな方向に押し上げてくれた。素晴らしいアイデアは、外側からやってくる。著名なブランドと取り組むのは良いことだ」とマヌッツィは言う。

ヴィブラムの前向きな企業姿勢は、まだ実現したことのない新しい概念や実験的なプロトタイプを生み出してきた。こうした商品の多くは、イタリア・アルビッツァーテにある製造施設と、ミラノを拠点に実験・研究を専門とする「Vibram Connection Lab(ヴィブラム コネクション ラボ)」によって開発されている。ハイスノバイエティはイタリアの本社を訪問し、今後5〜10年後の取り組みについて詳しく話を聞いた。