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Where the runway meets the street
©︎HIGHSNOBIETY

記録可能な場面で同じ服を何回も着ること、つまりコーディネイトを繰り返すことがマナー違反とされたのは、いつから始まったのだろう? 人目を引く衣装でイベントに現れた誰かが、批判的な観衆に全く同じ服を着ていることを指摘されたとき? そうかもしれない。要点は、写真映えする衣装はコストがかかるにもかかわらず、同じ観客に対して同じ服を繰り返し着れないということだ。

『リジー・マグワイア・ムービー』と思春期が重なる人なら、この映画の最も印象的なセリフにいまだに悩まされていることだろう。「リジー・マグワイア、あなたって同じ服ばかりね!」

意地悪な女の子、ケイト・サンダース(Kate Sanders)が放ったこのセリフは、服を繰り返すことがファッションのNGだということをまた一つ別の世代に刻み込んだ。そして、TikTokとInstagramのおかげで、この世代は多くのインフルエンサーと肩を並べると同時にその許されないミスを犯す機会がはるかに増えた。同じ服ばかり着る人というレッテルが貼られることの恥ずかしさは、かつてゴシップ記事に登場するセレブリティにほとんど限られたものだったが、今では投稿する全ての人、そしてそのフォロワーにも適用されるようになっている。その結果は? 私達は服を着て、買って、捨てるスピードが加速している。

@ryyinlnlxtx #foryou ♬ original sound – ryyinlnlxtx

セレブリティ、インフルエンサー、ファッション業界のプロなど、注目度の高いイベントやパーティーに定期的に出席するような人達にとって、印象的な服装で登場しなければならないというプレッシャーは当然のことである。仕事の一環として外見を飾り、ブランドから貸し出しまたはギフティングされた最新のデザイナーズ製品を身に着ける。服を一度しか着ないのは理にかなっている。しかし、トレンド予測企業と仕事をするファッションディレクター兼ライターのケンダル・ベッカー(Kendall Becker)は、彼女の友人らがコーディネイトや消費習慣にこのVIPをお手本にしていることに気づいている。「トレーニングからディナーデートまで、あらゆる場面で我々の洋服の哲学に及んでいるのです」。

画面の中で目にする有名人から次々と発信されるショッピングコンテンツにさらされれば、買わなきゃ、買わなきゃ、買わなきゃというプレッシャーを感じるのも無理はない。ビジネス・オブ・ファッション2022年版「ファッションの現状」調査報告書によると、消費者の74%がパンデミック前よりもソーシャルメディア経由での買い物により影響されていると答え、70%がソーシャルメディア上で最も買い物をする商品カテゴリーの1つに衣類を挙げた。しかし、モデルでコンテンツクリエイターのアリエル・ヴァン=ムバラ(Arielle Van-Mballa)によれば、ソーシャルメディア上で目にするコーデ写真やOOTDは、必ずしも見かけ通りではないと言う。彼女の友人の中には、 “繰り返し同じ服を着るために、特定の服を着たInstagramの投稿をアーカイブする人” もいるそうだ。「サステナブルを気にする身としては、常に新しい服で登場しなければならないと思うと、頭が痛い」と話す。「予算内に収めようとしている “だけ” じゃなくて、観衆に新しいものを見せようとしているんです」。

予算と言えば、ソーシャルメディアストラテジスト兼ライターのレイチェル・ルイス(Rachel Lewis)は、色褪せないワードローブを維持するための闘いに「階級的要素」があると指摘する。「 “普通の人が稼ぐお金” で、裕福な人達と同じくらいのビューと賞賛を得ようとしている」と言う。「トレンドに乗り遅れないようにするのは不可能だと感じるかもしれませんが、本当にその通りだと思います」。そのため、品質やサステナビリティよりも流行を優先するよう消費者に仕向けるファストファッションに傾倒するファッションオタクもいる。また、金銭的に余裕のない買い物客が、高価なアイテムに対してローンを組むのに役立つ「今買って後で払う」システムを提供するKlarna、Afterpay、Affirmのようなプラットフォームを利用する人もいる。(そして時折、借金に追い込む)。

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ある程度ならみんなに同調したいと思うものだが、その過程で自分の価値観や財力に妥協すべきだというわけではない。「何もせずに私達を失敗に追い込むシステムに振り回されないようにする責任を持っていますが、それは同時に難しい。なぜなら、良い姿を見せたい、仕事や生活で尊敬されたいと思っているからです」とルイスは述べる。買うことは、経済的・社会的資本を持つことであり、若者、特にZ世代は、一般的に経済的に安定した立場にはない。「これは厄介な状況ですね…。私は、競争の外圧を感じている人を非難するつもりはありません。スクロールをするたび、就職の面接に行くたび、交流をするたびに、 “ここにいるには貧乏すぎに見えるかな?” と、その外圧を強いられているのですから」。

では、同じものを2度着ることが何を語るのだろうか? 新しい服を買う余裕がない? それとも、服は着るために作られているんだと言い聞かせる? はっきり且つ客観的に言えば、服を繰り返すことは本来問題ない。声を大にして言うと、同じ服を何度も着ることは、私達の日常生活の中で当たり前のことであり、それを嫌悪するように仕向けられているのだ。

幸いにも、ワードローブをいっぱいにしなければならないというプレッシャーに対抗する方法がある。新作を買いたい衝動に駆られたら、既に持っているものを整理してみよう。また、レンタルプラットフォームや古着屋は批判を浴びることもあるが、より手頃な価格でトレンドを試すことができる。

@thanyaw_A proud outfit repeater♬ original sound – holabiches_

しかし一番重要なのは、オンラインで目にするコンテンツのほとんどは何かを買わせようとしていることを忘れてはならないことだ。なにしろ、私達は資本主義の世界にいる。ベッカーは、仕事を通して、この絶え間ない広告、購入可能な投稿、PR広告の流れがクライアントに与える影響を認知している。「会話には、切迫感、さらに不安感が混じり込んでいます」と彼女は話す。彼女が関わる小売業者やブランドは、 “競合他社が参入している販売のチャンスを逃しているかもしれない” と心配している。結局、それが彼らを顧客層と合わないトレンドという負け戦への投資につながっていく。例えば、保守的なブランドがZ世代のTikTokerに話題という理由で、 “ホットピンク”、 “カットアウト”、 “キラキラ” を導入するかもしれない。 しかし、話題は徐々に薄れていくものだ。ベッカーは、トレンドに “完全に” 頼るのではなく、 “補助的に” 利用することをすすめている。

突き詰めていくと、同じ服を何回も着ることは個人のスタイルを確立させる。心から喜びを感じられるような服を何回も着ないなら、最初からその服を選ぶ意味はあるのだろうか? 「見たことがある服だと気付かれると嬉しい」とヴァン=ムバラ。「この先ずっと着られる素晴らしいアイテムや服であることを示しているから」。

加えて、大抵の人は何を着ているかよりも、自分がどう見えるかを気にするものだ。アイコニックなリジー・マグワイア(Lizzie McGuire)の反撃を引用しよう。

「私は同じ服ばかりかもしれないけど、あなたはそれを覚えている人で、それはただ哀れなだけだわ!」

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