style
Where the runway meets the street

2019-20年秋冬シーズンのA.P.C.(アー・ペー・セー)は「BRINGING IT ALL BACK HOME(原点回帰)」と題した、2つのアイデアを組み合わせたコレクションを作り上げた。

1つ目はA.P.C.というブランドを「個々がそれぞれのビジョンを共有できる、ひとつの大きなキッチン」の場所として捉えるということだ。抽象的なアイデアに聞こえるが、今ショーではコラボレーターを迎え、それぞれが同ブランドを通して自身のクリエイションを披露した。

カリフォルニアのストリートウェアブランド、Brain Dead(ブレインデッド)もそのうちのひとつ。デザイナーのジャン・トゥイトゥ(Jean Touitou)は次のようにコメントしている。「この名前(Brain Dead)、非常にコンテンポラリーで、気に入っていますし、若手デザイナーの熱意も好きです。このようなコラボレーションの形で生まれたコレクションを『INTERACTIONS』と命名することにしました。私たちが共同作業で創っているものを定義するワードだと思っています」

そしてもうひとつのアイデアが「革新的ではないA.P.C.に対して違和感を感じない」ことである。

革命についてトゥイトゥは、自身の考えを次にように説明している。「僕達の世代は、自分達がグローバルな革命を起こし、世界を変えるだろうと、一時期思っていました。そして、その中の一部の人間が、自分達の役割はもっと大きなものだと気がついたのです。私達のミッションは、世界がバラバラになることを防ぎ、一歩ずつ、より良い世界にしていくことなのです。私は、自分のクリエイションにこの想いを反映させようとしています。だから、革命的でないことに実は幸せを感じています」

一方で同ブランドのスタイリストであり、トゥイトゥの旧友でもあるスザンヌ・コラー(Suzanne Koller)とコラボレーションについては、以下のように説明している。

「彼女の選んだ2ルックは、『obvious classics(明らかな古典)』と彼女自身が定義しています」

9月に発売されるBrain Deadによるアイテムは、タートルネックの上にレイヤーしたジレや、黄色のロゴが施されたA.P.C.らしいデニムベストなど今回のコレクションと自然に融合している。またBrain Deadは今回のコラボレーションのため、デニムジャケットのデザインモチーフにした架空の映画のシナリオを実際に書いたという。

グレーモノトーンに合わせたオーバーサイズのパーカやベージュのケープ、フランネル素材を使ったブルーマリーン色のロングジェラバなど、ショー終盤に登場したアイテムは、コラーが見るA.P.C.世界観を表現した。なおこれらの商品は7月に発売される。

全ルックは下記のギャラリーから。