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Tune in and turn up

BALMING TIGERという名前だけでも印象的なバンドだが、曲を聴くとますます忘れられなくなる。最初かつ唯一の「オルタナティブK-popバンド」を自称する彼らがRMとの最新のコラボレーションで作り出したシングル“SEXY NUKIM”は、これまでの韓国のポップミュージックの概念を完全に打ち破っている。“SEXY NUKIM”とは“sexy feel”という意味。バイブス感のあるこの実験的トラックは、9月のミュージックビデオのリリース以来1,100万回以上再生されている。Mudd the Student(マッド・ザ・ステューデント)、OmegaSapien(オメガ・サピエン)、そして「アジアンセクシー」や「アジアンクール」を感じさせるラップのbj wnjn(bjウォンジン)というメンバー構成。筆者自身も高校時代、アジア系の女子生徒が自分を含めてわずか2人という境遇にあった。そんな当時、私がBALMING TIGERに出会えていたらどれほど良かったことだろう。

「Balming Tigerのファンになるきっかけになった’JUST FUN!’は今でもお気に入り」とRMはHighsnobietyに語った。’JUST FUN!’はBalming Tigerの2021年の楽曲だ。BTSのリーダーであるRMは “SEXY NUKIM” でフィーチャーされ、動画にも登場している。「Balming Tigerのビジュアルや音楽に興味があった。一緒に仕事をしてみて、Balming Tigerの個性からたくさんのことを学んだ」

©️HIGHSNOBIETY / NIKOLAI AHN

Balming Tigerは現在ディレクターを務めるサン・ヤウンが2018年に設立したグループだ。それまでの数年はソウルでアーティストマネージメントの仕事をしていた。そんな彼の才能を見出す目とオリジナリティへの情熱で、チームは進化し続けている。メンバー構成は流動的だが、今現在はシンガーソングライター、ラッパー、プロデューサー、ディレクターの、合わせて11名で活動している。従来のKポップの場合、メンバーはメインパフォーマーだけで構成されるが、Balming Tigerの場合はビジュアルアーティストやライターまでがチームメンバーとなっている。韓国トップクラスの才能を持った気鋭の若手を代表する、独自のサブカルチャーのマイクロコミュニティに近いグループだ。

©️HIGHSNOBIETY / NIKOLAI AHN

これまで知られてきた「Kポップ」を受け止め破壊していくBalming Tigerのあり方は、リスナーにとって大きな意義を持っている。彼らは全く新たなビジョン、サウンドを提示し、飾り立てられ、作られた存在という、韓国アーティストに求められるイメージに挑んでいる。音楽集団という枠組みに留まらず、表現プラットフォームとして、より広範なアジアを代表する存在になっていきたいという思いを持っている。

以下の記事で彼らについて知っていただくと同時に、RMがBalming Tigerについて語る独占インタビューもお楽しみいただきたい。

RM

——Balming Tigerとのコラボレーションのきっかけは?

“JUST FUN!”を初めて聴いたときからファンで。今でも好きな楽曲で。

——“SEXY NUKIM”のご担当部分を書いていらっしゃるときにはどんなことをお考えでしたか

Balming Tiger初の公式フォーチャリングアーティストになるということで、このコラボレーションがひとつの転機になればと。一緒に仕事をしてみて、Balming Tigerの個性からたくさんのことを学んだ。Balming Tigerと共に歩むことは、挑戦でもあったし、とても良い経験にもなった。

——読んでくださる世界の皆さんに、Balming Tigerについて伝えたいことは?

Balming Tigerは韓国屈指のオリジナリティ、ビジュアルを作り出す、才能ある真のアーティスト集団。韓国の次世代ミュージシャンとしてさらに可能性をさらに広げていく今後が楽しみで仕方がない。

——今年のプランは?

3枚目のレコードをリリースする予定で、公式ソロレコードとしては初めてという感覚がある。良いものになるよう全力で取り組んだので、楽しみにしてもらいたいと思う。

©️HIGHSNOBIETY / NIKOLAI AHN

Omega Sapien

——Balming Tigerでのポジションは?

主にラップ担当だけれど、今ではかわいい担当って感じかな。

——ご自身にとってBTとはどのような存在?

家族、親友、ビジネスパートナーの全部盛り。ツアー中は特に最高だよ。絆がさらに深まって、でも、ときどき喧嘩して仲が悪くなったりもして(笑)

——BTのお気に入りの曲と理由は?

“Kolo Kolo”が気に入ってる。バリファンクは韓国ではあまり人気じゃないけれど、それを消化して紹介していく感じが楽しかった。特にビジュアルが気に入っている。団結してるときがいちばんパワフルに見えると思うから。

——BTの今後にはどんな期待をして良いでしょう?

Kポップというジャンルを大きくすることに取り組んでいる。Kポップのそういう側面に対して世界的な受け入れ体制はまだできていないけれど、そういうダークサイドに是非、ようこそ<3

Mudd the Student

——BTでのポジションは?

シンガーソングライター、ラッパー兼プロデューサー。

——ご自身にとってBTとは?

20歳になってソウルで初めて会った友達だし、家族みたいなもの。いつでも頼れるし、支えてくれる。

——BTのお気に入りの曲と理由は?

Balming Tigerに入る前に見ていた”Armadillo”のミュージックビデオは衝撃だった。初めて出会ったBalming Tiger作品で、そこから好きになった。

©️HIGHSNOBIETY / NIKOLAI AHN
©️HIGHSNOBIETY / NIKOLAI AHN

bj wnjn

——BTでのポジションは?

リードダンサー、リードボーカリスト、プロデューサー、YouTuber

——ご自身にとってBTとは?

リハビリセンター的。バンドが外界に常に連れ出してくれるから自分の殻に閉じこもらずに済む。

——BTのお気に入りの曲と理由は?

“JUST FUN!”が好き。すごく相乗効果を生むチームワークだった。デモ録音を聴き直す度にあのときのエネルギー感を思い出す。

Unsinkable

——BTでのポジションは?

プロデューサー兼DJ

——ご自身にとってBTとは?

第二の住処であり、家族

——BTのお気に入りの曲と理由は?

“Serenade for Mrs.Jeon”のミュージックビデオの中でオメガ・サピエンが使った韓国らしいメタファーが好き。

©️HIGHSNOBIETY / NIKOLAI AHN

Leesuho

——BTでのポジションは?

プロデューサー兼ビデオディレクター

——ご自身にとってBTとは?

仕事仲間、友達、家族として互いに表現したいことを理解し合っている。一緒にいることでお互いをより立体的にしていける存在。

——BTのお気に入りの曲と理由は?

個人的には楽曲もミュージックビデオも全部気に入っているし、他のメンバーからもいろいろ個別のコメントは出てくるだろうから、自分からは&quot;The G.O.A.T&quot;を挙げておこうかな。アジアのアーティストについてのアニメーションシリーズで、自分達が単なる音楽チームを超えて、アジア文化を扱うプラットフォームになろうとしているということを表現している。

——BTの今後にはどんな期待をして良いでしょう?

嘘のない健全なクリエーションを期待して欲しい。

San Yawn

—— BTでのポジションは?

プロデューサー兼ディレクター

——ご自身にとってBTとは?

ホームかな。

——BTのお気に入りの曲と理由は?

“SEXY NUKIM”。楽曲、ミュージックビデオの両方に現行メンバーのほとんどが参加しているものの中でいちばん古いものだから。

——BTの今後にはどんな期待をして良いでしょう?

誰もが一度は思い描くけど結局実際には踏み出さない、そういう道を自分達は進んで行くよ。

©️HIGHSNOBIETY / NIKOLAI AHN
©️HIGHSNOBIETY / NIKOLAI AHN

Chanhee Hong

——BTでのポジションは?

フォトグラファー、ビデオグラファー。パフォーマンスではDJを担当していて、音楽そのもの自体以外の全部をやっている感じ。

——ご自身にとってBTとは?

面白い人達。それぞれ個性があってサーカスみたい。

——BTのお気に入りの曲と理由は?

自分が参加した曲だから、マッド・ザ・スチューデントの“Reborn”

——BTの今後にはどんな期待をして良いでしょう?

Kポップのカバー範囲を少しずつ広げること。音楽以外の分野でも活動すること。

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