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Where the runway meets the street

毎年12月末は、1年間を通してファッション界においてどのような動きがあったのか、編集部で話し合う。そして、今年優れた功績を残したベスト3に選出されたブランドは、「Highsnobiety Crowns」が贈られる。

“Under the Rader”は2015年にスタートし、まだ世間に知られていないブランドや物、人などをピックアップしてきた。それを見ていると、世の中には驚くほど多くの有能なデザイナーやブランドが多く存在していることが分かる。ブラジル、南アフリカ、ポーランド、インドネシア、そして韓国などといった国から新進気鋭のブランド取り上げ、グローバルに展開している。

ここでは、2017年度のベスト3に選ばれたブランド、そしてエディターズ・チョイスを紹介する。

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【銅賞】
ジーエフティー(GFT)

ロサンゼルスを拠点とする「ジーエフティー(GFT)」が展開する“Sinsanity”コレクションは、これまでに見てきたストリートウエアのデビューシーズンの中でも素晴らしかった。そのグラフィックは映画『キル・ビル Vol.1』のルーシー・リューのキャラクターや奇抜な犬、そして抽象的でアイキャッチな“EXORCISE(厄払い)”のロゴプリントを引用している。

彼らの最新コレクションには、チェーンモチーフが使われており、ショーツや黒のトラックパンツにプリントすることでインパクトを与える。ジップ使いも印象的だ。しかし、「GFT」は“skeleton crew”と描かれたフーディに、上から下までジップを付け、ユニークに仕上げている。

【銀賞】
サンデー・スクール(Sundae School)

ニューヨークからは新しい“スモークウエア”ブランド「サンデー・スクール(Sundae School)」が登場した。マリファナ文化を反映したファッションを創り上げる、韓国系デザイナーのダエとシンディ。彼らの目的は2つ。まず、アジア系アメリカ人の過小評価の可視化、そして本当にドープなマリファナを吸うための服を作り出すことだ。“Genesis(起源)”と名付けられた彼らのファーストコレクションは、デニムジャケットに透明のプラスチックを塗るようなハイファッションのコンセプトに、ダブルステッチのジョイントホルダーがサイドにある帽子のような、大麻愛好者の機能的なディティールを混ぜ合わせた革新的デザインの先駆けだ。

そしてセカンドコレクション“When Tigers Used to Smoke”(虎が昔マリファナを吸っていた時)、古い韓国語では「ずいぶん昔」と訳されるが、韓国の伝統衣装を参照し、戦前のソウルのノスタルジーを伝えた。伝統衣装に加えた現代的なスタイルは、マリファナ煙草とライター等を運ぶための隠れたポケットとストラップがあるピンストライプデニムからから見ることができる。

【金賞】
ジェイコブ・ケーン(Jacob Kane)

「ジェイコブ・ケーン(Jacob Kane)」は、イングランド北部出身のイギリス人デザイナーだ。やや飽和しているロンドンのファッションシーンに対する解毒剤として歓迎されている。「Jacob Kane」のマンチェスターのスタジオから届く毎コレクションは目新しくおもしろく、無垢な着想をルックブックに落とし込んでいる。そしてもちろん、とてもウェアラブルだ。ブランドの“Unite or Perish(一体化もしくは滅び)”と名付けられたデビューコレクションは、デザイナーの関心がある写真、EU離脱の政治的不安の台頭、イングランド北部アート、そして90年代カウンターカルチャーの古雑誌を融合したものを表した。

中古車に囲まれたガレージとその中でのショット。そのコレクションはTシャツ、フーディ、大きなリングプルジッパーの着いたパッチワークデニム、際立ったアイテムとしてはグレーと工業的なカーキ、ブルーデニム、メタル素材のリングプルに着脱可能なフォックスファーフードを合わせた独特なパーカージャケットなどがある。また、袖丈がとても長いオーバーサイズオックスフォードシャツは、ケーンのよりストリートな見解をスタイリッシュに受け取ることができる。

【エディターズ・チョイス】
ドメスティック(Domestik))

エディターズチョイスは、新たに生まれた才能から選ぶ必要があった。いかに「GFT」のメタリックチェーンのモチーフや「1KCORP」のウェブデザインが好きかは言うまでもない。しかしながら何度か討論を重ね、私たちはストリートウエアのルーツを振り返ると同時に、本当に特別なものへ執着するようになった。それが私たちがインドネシアブランド「ドメスティック(Domestik)」を選んだ理由だ。

80年代のインドネシアポルノ、武道、山火事のイメージをグラフィックをTシャツに描き、ストリートウエアブランドらしいアプローチをする「Domestik」。今や、『ドーバーストリートマーケット(Dover Street Market)』で販売されていて、このような若いブランドにとって賞賛に値することだろう。インドネシアにインスパイアされたカラフルなヴィジュアルは注目を集めており、「Domestik」は世界中でロシアを美の拠点とした「ゴーシャ・ルブチンスキー(Gosha Rubchinskiy)」に匹敵する。

2018年、私たちは「Domestik」のクリエイティブなグラフィックに期待している。また、Tシャツだけでなく他のアイテムを展開すること、国際的な存在感の構築、あるいはインドネシアを次世代のホットスポットにすることも楽しみにしている。