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Where the runway meets the street

©︎BALENCIAGA / KATY GRANNAN

Z世代がスキニージーンズに否定的だという記事を書いたが、今回もまたスリムフィット支持派には打撃となりそうだ。オーバーサイズスーツの世界へようこそ。

先日行われた第64回グラミー賞授賞式にボリューミーなグレーのツーピース姿で登場したジャスティン・ビーバーのルックの話題で持ちきりだ。ワイドなパンツは足元にたっぷりと覆いかぶさり、BALENCIAGAのマッシブプラットフォームクロックスが部分的にしか見えないほどだった。

 

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そのスーツに白のベスト、ピンクのハット、ブラックのサングラスを合わせたジャスティンのレッドカーペットルックは、今後何年にもわたって話題になり続けるに違いないものだった。

彼のオーバーサイズルックはこの最新作以外にも多数ある。我々としても“baggy Bieber”(だぶだぶビーバー)の愛称を付けるに至ったほどだ。巨大ジーンズからアダム・サンドラーのY2K(2000年代初期)フィット・キングに通じるものまで様々登場しているこの最新のオーバーサイズスーツだが、20世紀末にも同様のものが存在しており、それが着想の源となっているように思われる。

エド・ハーディーやムーンブーツの復活と等しく、レッドカーペットやランウェイにビッグスーツが多く登場しているのも、ファッション業界のY2Kへの執着を背景としたものだろう。80年代から90年代には、オフィス環境がカジュアル化するにつれ、服装も(かなりの確度で文字通り)バギー(だぶだぶ)になっていった。『フレンズ』の初期や『マイアミ・バイス』に描かれていたあの時代だ。

その後、エディ・スリマンがスキニーなテーラリングで成功を収め、オーバーサイズのスーツはほぼ姿を消した。しかしファッションとは常に循環するもので、最近はbaggy Bieber以外のところでも巨大スーツへの動きが見られる。

授賞式シーズン真っ盛りのこの頃だが、先週のアカデミー賞授賞式では、ウィル・スミスの平手打ち事件に気を取られ、注目すべきテーラリングに我々も目が行っていなかった部分がある。

レッドカーペットは例年通り黒いタキシードに埋め尽くされていたが、ヴァニティ・フェア主催のアフターパーティーではいくつかの(ビッグ)フィットが見受けられた。キッド・カディはブラウンのスーツに白いスニーカー、ドナルド・グローヴァーはパステルイエローのツーピースに半袖ブレザーを合わせていた。2人ともブレザーの下はトップレスで(シャツ反対派としてはティモシー・シャラメの名前も挙げておくべきだろう)、誇張されたワイドカットも共通していた。グラミー賞同様アカデミー賞でも、ファッションの見どころはやはり巨大なオーバーサイズスーツだった。

多彩なアーティスト、グローバーは、週2度目のパステルカラーのオーバーサイズでの登場。数日前に開かれた『アトランタ』シーズン3のプレミアで着ていたのもやはり、ゆったりとしたピンクのスーツだった。

もちろんこうしたものも、何の脈絡もなく突如として出てきたわけではない。ここ数週間を振り返っても、確かにビッグスーツ到来の兆しはあった。

 

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BALENCIAGAのアイロニー、Hermèsのラグジュアリー、いずれの世界でも、最近のファッションコレクションにはゆったりとしたブレザーや自由な流れのパンツが登場してきていた。2000年代半ばには世間をスキニースーツに夢中にさせたエディ・スリマンでさえ、最近のCELINEのコレクションでは、少なくとも彼にしては非常にゆったりとしたフィッティングをいくつか取り入れている。

ランウェイのみならず、ここ最近何度かのレッドカーペットでも、なかなかのオーバーサイズが見受けられていた。ロバート・パティンソンのバットマンツアーでは、グレーのオーバーサイズスーツが登場したが、これはビーバーのスーツとさほど変わらない。ファッションの全てがそうだが、オーバーサイズスーツも例に漏れず、先陣を切ったのはエイサップ・ロッキーと言ってもいいだろう。2019年に彼が着ていたLoeweのピンクのタキシードの伏線の先に、今回グローバーが見せたオーバーサイズのピンクのスーツルックがある。

テーラリングの世界では今やXXLプロポーションがベースとなっており、ビーバーのグラミー賞ルックは氷山の一角に過ぎないものと思われる。ファッション全般が今、ビッグシルエットを多様に楽しんでいる。この勢いはしばらく続くだろう。