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Where the runway meets the street

20年後の自分の肌と地球環境を同時に想像したことがあるだろうか? イギリス発のメンズスキンケアブランドBULLDOG(ブルドッグ)は天然由来の素材を中身に使うことはもちろん、パッケージにもリサイクル資源を採用し、肌と環境に優しいプロダクトを展開するグローバルブランドだ。

スキンケアと聞いて、「女性がすること」という概念が少々時代遅れというのは、おそらく大半の現代人が理解しているところだろう。しかし何から始めたらいいのか、どんな商品を使ったらいいのかわからないという男性が多いのも事実。普段目にするメンズスキンケアアイテムは、ブルー、シルバー、ブラックの似たようなデザインで、男性性を強調した香りとキャッチコピーで店頭に並んでいる。しかし、実際自分の肌に使う商品を選ぶ決め手は、成分や生産背景、使い心地を含め、自分を高めてくれるものが良いはずだ。

2007年に誕生して以来イギリス、スウェーデンではメジャーブランドとなり、現在では30ヵ国で展開。ヨーロッパだけでなく北米、オーストラリア、韓国でもBULLDOGが支持されている理由は、他ブランドとは一線を画すプロダクトと経営理念だろう。人工着色料、合成香料、動物由来の成分を一切使用せず、動物実験も行なっていないBULLDOGが本気で取り組むメンズスキンケアとは一体何だろうか?

BULLDOGの創設者、サイモン・ダフィー(Simon Duffy)が、十数年前にメンズスキンケアマーケットに疑問を抱いたのは真冬のニューヨークでの事。乾燥し敏感になった肌に塗るものはないかと、オーガニック商品を数多く取り揃えるユニオンスクエアのスーパーマーケットに足を運んだ。しかし棚いっぱいに並んでいたオーガニックスキンケア商品はどれも女性用で、男性用の天然由来の製品は見つからなかったそうだ。これをきっかけに、リサーチと開発を進め誕生したスキンケアブランドがBULLDOGだ。世界のメンズスキンケア事情とブランドフィロソフィーについて、サイモン・ダフィーに訊いた。

——なぜブルドッグなのですか?ブランドを始めるうえで大切にしたことは何ですか?
BULLDOGは、“Man’s Best Friend”というキャッチフレーズを使っています。英語では、“Man’s best friend”というフレーズが犬を意味しているので(「犬は人間の最良の友」の意)、ブランド名はそこから着想を得ました。友好的で、粘り強く、忠実で、ある意味男らしい印象からBULLDOGという名前にしました。
スキンケアに於いて、多くのメンズブランドは女性ブランドから派生しています。そういった企業は必然的に主力な女性ブランドにフォーカスし、メンズブランドには十分な労力がかけられていないのではと感じました。だから男性のスキンケア人口はなかなか増えないのではないかと思いました。そしてそこが、BULLDOGが率先して変えていきたいメンズスキンケアの景色でもあるのです。

——トップセラーのモイスチャライザー(保湿クリーム)は世界で15秒に1つ売れているという人気商品ですが、プロダクトにはどんなこだわりがありますか?
モイスチャライザーに関わらず、BULLDOGがこだわっているのは保湿力、軽いつけ心地、香りの3つです。BULLDOG製品はアロエベラなどの天然保湿成分を配合しています。また、モイスチャライザーは女性用の製品に比較的多くみられがちな重くリッチなテクスチャーではなく、ベタベタせず肌にすぐ馴染むのも人気の秘訣だと思っています。そして、合成香料は一切使用していません。天然成分を重ねたハーブとシトラスのような清々しくフレッシュな香りにこだわっています。
さらに、BULLDOGのアジア最大の市場である韓国からのフィードバックで開発した、オイリー肌用の製品は、韓国だけでなくイギリスのニキビが気になる若者にも人気のラインとなりました。

——なぜスキンケア製品のチューブ容器にサトウキビなのですか?
チャレンジすること、意識改革をすること、より良い方法を考えることをブランドの信念としているなかで、プラスチック問題は長年の課題でした。再利用できるかという生産後の課題だけでなく、プラスチックを作る際の石油から排出される二酸化炭素の問題です。そこでBULLDOGはブラジルのブラスケム社と協業し、石油由来のプラスチックではなく、同社が開発するサトウキビ由来のポリエチレン(プラスチック)を採用しました。プラスチックを使わなければいけないのであれば、なるべく二酸化炭素を排出せずに再生可能なプラスチックにすべきだと考えたからです。BULLDOGは、世界で初めてパッケージの原材料としてサトウキビを使用した男性用スキンケアブランドです。BULLDOGのチューブに使用されているサトウキビ製プラスチック100トンにつき、309トンの二酸化炭素が環境中から削減されています。

——新製品のカミソリには、ハンドル部分に竹が使われていますね。パッケージにもこだわりがあるそうですが。
そうですね。ぴったり閉じられたカミソリのプラスチックパッケージほど開けるときにイライラするものはないでしょう?(笑)このリサイクル素材のパッケージは、開けやすいうえに使用しているインクまで環境にも優しい。カミソリのハンドル部分を竹にしたきっかけは、アメリカで毎年約20億本のプラスチック製カミソリが廃棄されているという事実を知った事です。水に強い竹は1つ1つ微妙に違うユニークなもので、適度な重さが感じられるので使い捨てとは格段に違う手触りが得られます。
私たちは、BULLDOGの製品パッケージや成分選びが、他のメーカーにも波及することを願っています。より良いものを選ぶことを、コピーだなどと批判はしません。

——男性がスキンケアで意識するポイントは、イギリスも日本も共通だと思いますか?
そうですね、フェイスマスクまでする美容意識の高い男性以外は、まずはとにかく素早く簡単に済ませられるかと意識していると思います。私は大学で講師として学生と交流することもあるのですが、若い世代はスキンケアがフェミニンなことだとは一切感じていないと知って安心しました。

——スキンケアに抵抗がない世代でも、なかなか習慣づけられない男性は多いと思いますが、サイモンさんは普段どのようにスキンケアをしているのですか?
ヒゲを剃るかにもよりますが、基本は朝晩、洗顔と保湿の2ステップです。ヒゲが短い場合はフェイスウォッシュ、ヒゲを蓄えているときは優しく角質を除去し、よりさっぱりするフェイススクラブを使う日もあります。洗顔後にモイスチャライザーをつけるだけというとても簡単なプロセスですよ。日本ではほぼ毎日ヒゲを剃るので、洗顔後、シェービングジェルでヒゲを剃ります。BULLDOGのシェービングジェルは透明でほとんど泡立たないため、飛び散ったりせず、デザイン性のあるシェービングもしやすいと若い世代に人気の商品です。シェービングを終えたら洗い流します。私はモイスチャライザーの使用感と香りが好きなので、シェービング後はモイスチャライザーを塗って完了です。約2分という、実にシンプルなステップです。

——スキンケアをしていない男性に、やる気が出るアドバイスをお願いします。
今日からやる気にさせるマジックワードはありませんが、フェイスウォッシュとモイスチャライザーをまず2週間試してみてください。その2週間のうちに、きっと誰かから嬉しい言葉をもらうはずです。
スキンケアは日焼け対策と同じようなものです。レザーのように硬くシワシワな肌の欧米人を見れば、毎日日焼けばかりしていたんだなと想像がつくでしょう。肌の老化は紫外線や汚れなどで進行します。今から肌を清潔に健やかに保つことが、20年後の自分の肌へのトリートメントだと思ってほしいですね。

サイモン・ダフィー(Simon Duffy)
メンズスキンケアブランドBULLDOG SKINCARE FOR MENの創設者。2007年にブランドを設立以来、イギリスをはじめ30カ国以上でプロダクトを展開。BULLDOG Special Brand movie by HISTORY CHANNELはこちら


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