高橋盾と、約35年にわたり続く彼のブランドUNDERCOVER(アンダーカバー)は切り離せない。それは、UNDERCOVERそのものが高橋盾の存在抜きには語れないからだ。彼の卓越したウィメンズウェアを形づくるモチーフは、都会への憧れを胸に原宿で過ごした若き日の反骨精神という、彼自身のバックストーリーに根ざしている。

©︎UNDERCOVER

UNDERCOVERを突き動かしてきた価値観の多くは、2009年に誕生した英国のパンク気質なジュエリーブランド、BUNNEY(バニー)と驚くほど重なっている。両者の背景には、ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)や、COMME des GARÇONS(コム デ ギャルソン)創設者の川久保玲の存在がある。そして志を同じくする者同士、川久保は若き日の高橋を導いた人物でもある。反体制的なモチーフを、丁寧なクラフトワークによって再文脈化する点も共通している。過去にも協業を重ねてきた両ブランドだが、今こそ再び手を組むのにふさわしいタイミングだ。

UNDERCOVERの2025年秋冬コレクション「But Beautiful II」は、高橋盾がこれまで構想した中でも屈指のプレゼンテーションを、あらためて再構築したものだ。そこでは、彼のグランジ志向がバロック的に変質し、農民風の地味なウールの服は攻撃的なシームによって引き裂かれる。大胆に噴き出すようなテクスチャーの切り替えは、太く走るステッチによって縁取られ、その佇まいはどこかフランケンシュタインの怪物を思わせる。

いくつものクラシックなコートの胸元には、バンドの物販テーブルで手に入るような小さなバッジが留められ、周囲には余分なボタンがキノコのように増殖していた。これらの装飾は、高橋の音楽的な側面を反映したUNDERCOVERオリジナルのディテールだ。しかし「But Beautiful II」の再構築にあたってUNDERCOVERはBUNNEYを迎え入れ、完成されていたものに、さらに手を加えている。

「BUNNEYとUNDERCOVERがバッジに立ち返る理由は、とても近いと思います」とアンドリュー・バニー(Andrew Bunney)は語る。「バッジは、コミュニケーションであり、メッセージを伝えるためのもの。意味を持つ存在だからこそ、私達はその価値を称え、できる限り特別な形で制作したいと考えています。今回のバッジは、一見するととてもシンプルなものです」

実際、BUNNEYによる最新のUNDERCOVERバッジは、金と銀で仕上げられた、気取らない小さなチャームだ。BUNNEYのクラシックなバッジデザインをベースに、UNDERCOVERのロゴをデボス加工でさりげなく施している。 “一見シンプル” とも言えるが、この小さなアイテムを完璧に仕上げることは、決して簡単ではない。もっとも、細部を完璧に仕立てることこそが、両ブランドの真骨頂でもある。注意深く目を凝らして初めて、小さなロゴに気づく。それ自体がこのバッジの本質だ。何よりもまず、身につける人のための “ご褒美” なのだ。

「UNDERCOVERとは数年前、現在では高いコレクターズアイテムとなっている新聞『Selected Works: The Badge』のローンチの際に、バッジを制作したのが最初のコラボレーションでした」とBUNNEYは振り返る。「それ以降も、UNDERCOVERは様々なショーでバッジを用いてきました。彼らなりの解釈や、次どんな形で戻ってくるのかを見るのは、いつも興味深いですね」

では、そのバッジが2025年秋冬のランウェイで、ヴィンテージのミリタリーピンや “Loser” と刻まれたペナントと並んでスタイリングされていたことを、BUNNEYはどう受け止めているのだろうか。

するとBUNNEYは、「私達に決定権があるわけではありませんが、UNDERCOVERの美学は完全に理解していますし、信頼しています」と語る。「彼らのショーは、いつもとりわけ美しいもののひとつ。プロダクトが実際にどう使われ、どう身に着けられるのかを見るのは、やはり楽しいですね」