ブーツをスニーカー化する「正しい方法」
スニーカー・ブーツなど、存在してはいけない。こうした異形のハイブリッドは、浅はかな「もし○○だったら?」というデザイン実験から生まれた産物で、ほとんどの場合、見た目もうまくいっていない。念のため言っておくと、スニーカーをただ巨大化させたものも、従来のブーツにスニーカーソールを履かせたものも、どちらにしても、うまくいったためしがない。
まあ、ほとんどの場合は、という話だが。
GUIDI(グイディ)のブーツをベースにしたCOMOLI(コモリ)別注の一足は、「スニーカー・ブーツ」のジャンルにおける、極めて稀な成功例だ。チョコレートとピーナッツバターの相性のように、GUIDIらしい官能的なイタリア製スエードが、曲線的なVibram(ビブラム)のラバー製 “スニーカー” ソールにぴたりと収まっている。
あまりにシンプルなだけに、過剰に語るのが無粋に思える。だが実際には、踏みどころを誤りやすい領域でもある。Vibramソール──どのメーカーでも使用可能な既製デザイン──を採用したブーツは、ときに無骨で野暮ったい印象に転びがちだ。一方で、ソールを厚くしすぎれば、GUIDIの象徴でもあるバックジップ・シルエットの洗練された美しさを損ねてしまう。かといって、あまりにシャープに寄せれば、今度はGUIDIの既存路線に近づきすぎる。このバランスこそが、いわば “黄金比” なのだ。
とはいえ、全てをCOMOLIだけの功績とするのは少し違う。
GUIDIは既に、ブラックレザーにVibramソールを組み合わせた同型のバックジップブーツを、約1,400ドルで展開している。ただしCOMOLI版には、決定的なひねりが加えられている。アッパーの素材とソールのトーンを調整することで、全体の質感を和らげ、よりふくよかな仕上がりへと導いた(そのぶん価格はやや上がっているが)。
これこそが、ブーツを “スニーカー化” する正しいやり方だ。デザインに内在する「ブーツらしさ」をしっかりと引き出し、フォルムの美しさを際立たせる。スニーカー要素は、主役ではなく、あくまで引き立て役に徹するべきだ。ラインは崩さず、全体のバランスを厳密に保つ。ミリタリーや機能主義に寄せてはいけない。絶対に、寄せてはいけない。
COMOLIは、「Good Clothes Index」入り目前まで迫りながらも、この謎めいた日本ブランドは参加を辞退し、あくまで秘密主義を貫いた。創業から15年近く経つにもかかわらず、SNSを本格的に使い始めたのは、ほんの数カ月前に過ぎない。COMOLIが望むのは、自らを語ることではなく、オーガニック素材で構成されたモノクロームのワードローブそのものによって評価されることだ。その姿勢は、数世紀の歴史を持つイタリアの革なめし工房から、職人的なシューズメーカーへと進化したGUIDIが体現する、プロダクト・ファーストのあり方を想起させる。
COMOLIがGUIDIのブーツを一から再構築するのではなく、既存モデルに最小限のレタッチを施すに留めたのは、実に象徴的だ(過去のシーズンでは、完全な新型を手がけたこともあるが)。これほど強度のあるフレームが用意されているなら、完成に近づくために必要なのはほんのひと触れでいい。しかも、それがスニーカー・ブーツであってなおさらだ。
- Words: Jake Silbert
- Photography: © COMOLI