style
Where the runway meets the street

2002年、東京で誕生して以来、アート性の高いアイテムで既成概念を解体し、“非日常”を日常にする力強いコレクションで独自のメッセージを発信してきた「DIET BUTCHER SLIM SKIN」が、生まれ変わる。ブランド創業者の深民尚に代わり新たに舵を取るのは、ブランド「ACUOD by CHANU」を手掛ける韓国出身のチャヌ(CHANU)。自身初のコレクションで「桜」をメインテーマに掲げ、新生「DIET BUTCHER」のリブランディングを図る、新進気鋭デザイナーが見据えるブランドの未来とは。

——DIET BUTCHERのデザイナーに就任された経緯を教えてください。

去年の10月か11月に達中さん(ブランドを運営する株式会社INSTYLE APPARELの代表・達中靖之)から、詳細は言わずに「会おう」という連絡が来て、結構連絡してなかったのがいきなり連絡が来たので、話は聞いてみようと思って僕のオフィスに来てもらって話しました。デザイナーの退任と、新しいデザイナーをチャヌに譲りたいという話を聞いて、信じなかったです、ほんとに。僕もDIET BUTCHERのことを一人のファッション好きとして高校時代から好きだったし、憧れのブランドだったので、こんなことがあるのかと思いました。契約書をもらって、はんこを押して、初めての給料をもらうまでは信じられなかったです、正直。通帳の確認をしてから、本当だなと実感できました。

——もともと代表の達中さんとは面識があったんですか?

僕のブランドのACUODの立ち上げのタイミングで、フォトグラファーの米さん(米原康正)に紹介してもらって、その時、達中さんとあいさつしてFacebookではつながってたんですけど、その頃から僕の成長をちょこちょこ見守っていただいていた。そうした中で今回のタイミングで僕のことを思い出して声を掛けていただいたんだと思います。

——今回DIET BUTCHERのデザイナーに就任されて初めてのコレクションになりますが、リブランディングを含めどういった思いや考えがありますか?

いろいろあるんですけど、やるからには自分のブランドだと思ってやっぱり全力を尽くそうと思って、自分が思うDIET BUTCHERの本来の良さと、客観的に見て歴史もあるのに(それを受け継がないのは)もったいないなという部分もあったので、積極的に自分の意見を言いました。まずやりたかったのは、ブランドのロゴがなかったので、それを作りたかったのと、一番はコレクションブランドなのでデザインやコンセプト、テーマとか、意味の深さが大事だと思いました。実はブランドの名前の意味があまりなかったんです。「DIET BUTCHER SLIM SKIN」、聞いた話だと酔っ払った勢いで付けた名前、というのが自分はすごくもったいないなと思ったので、海外でもデザイナーの交代のタイミングでブランドの名前を少しだけ変えたりとか、サンローランやマルジェラもそうですが、今回DIET BUTCHERに変えました。元のDIET BUTCHER SLIM SKINが長いと思ったのと、ブランドを知っている人も口頭ではDIET BUTCHERって言うことが多いのも理由でした。さらに、意味も付けようと思って「DIET」という言葉にはみんなが知っているような健康的な部分、ダイエットをするという意味もあるんですけど、日常生活という意味も含まれていて、そして「BUTCHER」はみんなが知っている「お肉屋さん」の意味もあるんですけど、「殺す」とか「虐殺」とかそういう意味を持っていて、平凡なものをちょっと殺して、それを日常生活に持っていこうという意味を持たせて、ちょっとやり直したいなというのがありました。それでブランドの名前を変えたのと、ロゴマークを作ったのが一番です。

——では、その辺りが今回の新生DIET BUTCHERのフィロソフィーみたいなものになっていくということですか?

そうですね。そしてブランドの名前が書いてあるネームタグだけじゃなくて、DIET BUTCHERの言葉自体を直訳したようなキャラクターを作って、それもまたタグで作って、スタッフTシャツの後ろにも大きくプリントで入れて展開するんですけど、通常のDIET BUTCHERの定番アイテムにも表に付けて、よりDIET BUTCHERという名前をみんなに認識しやすく、覚えてもらえるようにしたいなと思っています。

——今回の具体的なデザインのポイントは?

まず自分の中でも気を付けるべきだと思ったのは、自分のもともと持っていたブランド「ACUOD」と全く同じにならないようにというのと、DIET BUTCHERの数年、数十年のファンたちを裏切らないように、もともと持っている良さを生かせるように意識したのが一番ですかね。

——桜のモチーフを使った意図は?

テーマを桜にした一番の理由は、まず桜ってやっぱりちょっと新しいスタートをイメージするような、新学期とか新学年とか、スタートとかそういうのがあって、新しくスタートするタイミングでちょうどいいなと思いましたし、そしてやっぱり自分にもいろいろ大変なことももちろんありましたし、でも今世の中でもいろいろ大変な流れになっている中で、ちょっと強い気持ちを持ちましょうというメッセージを伝えたくて。桜って基本すぐ咲いてすぐ散っちゃうから、なんかむなしいとか寂しいとか、そういうイメージが大きいんですけど、でも僕はそういう部分じゃなくて、ポジティヴに捉えて、散っても来年また復活するし、再来年もまた復活するし、そういう強い生命力を伝えたいと思って桜をメインテーマにしました。

——デザインに関してはどうですか?

桜は日本を代表する花でもあって、DIET BUTCHERは26年も歴史のある日本のブランドで、でも日本だけでじゃなくて、日本からスタートして世界にも向けてワールドブランドにさせたい気持ちもあるので、それを伝えるために桜を取り入れたんです。でもちょっと和風の画になると、やっぱりアジアだけに受けるんじゃないかなとも思って、近未来感、未来への意志を込めて、澁谷忠臣さんというアーティストさんがメカニックっぽいアートがすごくお上手なので、澁谷さんとのコラボレーションで近未来的なメカニックっぽい桜をオリジナルで描いてもらって、それを取り入れました。

——毎回毎回、そういったモチーフとかそこに込める意味みたいなものは変えていこうと思っているんですか?

そうですね。毎シーズンそういう大きいテーマは変えて、それに合わせてまたクリエイションを見せていきたいなと思います。

——どういうターゲットをイメージされていますか?

ターゲットは正直、決めたくない。こちらからも、くくりたくないです。好きな人には“どうぞ”的な感じにしたいから、年齢も特に決めたくないし、そして大きく変わるのはやっぱり、今まではメンズブランドとして展開されてきたんですけど、僕が入ってからはよりユニセックスなブランドとして展開していきたいなと思います。でも全体的な雰囲気としてはやっぱり今までのDIET BUTCHERより若くなったなと思います。海外のブランドでもデザイナーが交代したときにはデザインが絶対に若くなるけど、でもそれが結局盛り上がって幅広い年齢が買うようになるから、そういう風にさせたいなと思います。

——ACUODとの差別化や、自分の中のマインドがどんな風になったか教えてください。

まず一番分かりやすいのが、ACUODはファスナーを使わないアイテムが一個もなくて、絶対にファスナーを使うというようなコンセプトでやってるんですけど、DIET BUTCHERではむしろファスナーを使わないアイテムの方が多いし、ファスナーを使わないでどうやってチャヌの色を出していくかを、僕自身も見せていくのが楽しみでもあります。サイズ感的にも、ACUODはちょっとオーバー過ぎるサイズが多くて、サイズ展開がないんです。基本ワンサイズでやってるんですけど、DIET BUTCHERではもうちょっとリアルなサイズにして、サイズ展開もして、より幅広い人々に着てもらえるようにしたいなと思います。

——本日発表予定のプロモーションに関しても、すごく斬新なアイデアだなと思うんですけど、これはどういう意図で考えられたんですか?

さっきもお話させていただいたのが、やっぱり日本から世界へ広げたいという意志を込めています。実はファッションショーがしたかったんですけど、でもできない環境になっているので、どうすればいいかと考えたとき、東京の中でもやっぱり一番東京っぽいのは特に、若者のカルチャーが生まれる渋谷の辺りだと僕は思っていて、原宿とか渋谷の辺りを舞台として街をランウェイのように使っているような映像をかっこよく撮りました。それを発表して、日本国内だけでなくて、世界の人々に面白いと感じてもらいたいなと思います。

——楽しみですね。

僕も楽しみです。

——最後に、改めて今後のDIET BUTCHERのヴィジョンを教えてください。

まず、今までよりも男性にも女性にも、そして年齢的にも幅広い人に着てもらいたいですし、そしてやっぱり普通になりたくない。個性をもっと生かしてほしいので、ただの身を守る服としてじゃなくて、ファッションとして楽しんでもらえるようにしたいと思います。ただの服じゃなくて、そこに含まれている意味とかカルチャーとかをもっと深めて、そういうのをトータルで楽しんでもらえるように展開していきたいなと思います。

2021年2月19日(金) 19:00 より2021 SPRING&SUMMER COLLECTION SHOWをオンライン配信にて開催し、内の街中を舞台にランウェイを繰り広げる。

今シーズンのテーマは“桜”。散っても散っても毎年必ず開花して咲き誇る。精強さと生命力を日本の象徴である桜で表現したユニセックスコレクションです。

【配信スケジュール】
2021年2月19日(金)19:00~START
DIET BUTCHER公式サイト
※新ECサイトにてコレクションアイテムの発売も同時に開始。

【BRAND CONCEPT】
人間がより強く生きるために必要な「肉」のように、力を得るための服を、美しい美意識で生み出すべく生まれ変わります。新生・DIET (日常の飲食)  BUTCHER (肉、虐殺者) は、これまでの日常を解体し、力を得るための服。「定番の服」ではなく、絶え間ない変化を提案します。凡から非凡へ、無害から野心へ。自分の裡なる力を呼び起こす。既成概念を引き裂いて、まだ知らない燦く世界を欲望する。非日常を日常に。

【DESIGNER PROFILE】
CHANU(チャヌ)
1988年韓国生まれ。東京モード学園でファッションを学びながらインターンシップなどで経験を積み、在学中の2016年にACUOD by CHANUを立ち上げる。2017SSシーズンよりFashion Week TOKYOに初参加以降、ファスナーをアイコンとした唯一無二の特徴的なデザインと、斬新なキャスティングで話題を集め続けている。2019年には日本メンズファッション協会が主催する、各界に多大な影響を与えた若手クリエイターに贈られる「ベストデビュタント賞」ファッション部門を受賞。数々の映画や広告、アーティストの衣装デザインも手掛ける。

中目黒旗艦店は 2月20日(土)よりリニューアルオープン。「REBORN week」と題して20日(土)〜28日(日)の期間、オープニングイベントを開催。期間中は店内に配信映像を投影とともに、クリエイティブディレクターCHANUが来店。

【CHANU来店スケジュール】
2月20日(土)12:00 – 20:00
2月21日(日)15:00 – 20:00
2月27日(土)15:00 – 20:00
2月28日(日)15:00 – 20:00

また、リミテッドアイテムとしてオリジナルマスクを発売。

※10万円以上(税抜)お買い上げのお客様にはプレゼントあり。
※密対策として、混雑状況に応じて入場規制あり。入店の際にはコロナウイルス感染拡大予防のためマスク着用と除菌液での手指消毒をお願いします。

【お問い合わせ】
DIET BUTCHER

東京都目黒区青葉台1-19-7 MSビルB1
03-5728-4765
info@dietbutcher.jp
営業時間 12:00 – 20:00
定休日 水曜日