style
Where the runway meets the street

ファッションが文字通り犬のものに。デザイナーらが最新コレクションで、人間の最良の友である犬を登場させている。犬の噛み癖よりも、誇り高き吠え声を讃えんとばかりに。

複数のデザイナーが犬を取り上げている現象は、トレンドというよりは偶然ではあるのだが、驚くほどのタイミングだ。しかし人類はみな、犬が好きということもある。

キコ・コスタディノフ(Kiko Kostadinov)も犬好きのひとりだ。デザイナーのローラ(Laura)とディアナ・ファニング(Deanna Fanning)は、2025年春夏ウィメンズウェアのランウェイショーで、コスタディノフの愛犬ダンテをLevi’s®(リーバイス)とのオールオーバーパターンのコラボデニムへと変身させた。

神々しい猟犬への賛歌は、DRIES VAN NOTEN(ドリス ヴァン ノッテン)の2024年秋冬で発表されたジーンズを思い起こさせる。ヴァン・ノッテン(Van Noten)の愛犬、エアデール・テリアのスコットがプリントされたジーンズだった。犬種が異なるとはいえ、波長は同じだ。

エアデール・テリアは、「Dogtooth」などの楽曲で知られるシンガー、タイラー・ザ・クリエイター(Tyler, the Creator)のアート活動にも重要な存在だ。タイラーもこの犬種を愛してやまない。

タイラーの高級服飾ラインであるLE FLEUR*(ラ・フルール)ではここ最近、彼の愛犬であるエアデールのダリルを讃えるアイテムが連続して発表されている。

最初に登場したのはダリルのワッペンが縫い付けられたダリル・ポロシャツだった。

Polo Ralph Lauren(ポロ ラルフ ローレン)のポニーを犬に置き換えたこのデザインは、タイラーのプレッピースタイルにぴったりで、よりパーソナルだ。

その後まもなく、LE FLEUR*はタイラー愛用のスニーカーブランドであるCONVERSE(コンバース)とのパートナーシップで、これまたダリルの愛らしい顔写真をプリントしたチャック・テイラー限定コラボレーションスニーカーを製作した。

そしてタイラーは、愛犬を自身のブランドに登場させただけではない。

彼はダリルをLOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)にも連れていったのだ。ダリルは、コレクションのルックブックでタイラーと並んだ写真を決めて見せたほか、LVモノグラム入り犬用リードなど、アクセサリーのインスピレーション源にもなったようだ。ダリルへのご褒美三昧である。

@LOUIS VUITTON SPRING-SUMMER 2025 MEN’S PRE-COLLECTION © LOUIS VUITTON – ALL RIGHTS RESERVED

LOUIS VUITTONのクリエイティブ・ディレクターで、タイラーの憧れの的でもあるファレル(Pharrell)も、このコラボレーションの内容を気に入ったと見え、LOUIS VUITTONの2025年プレ春夏メンズウェア・コレクションにフォトジェニックなワンちゃんをたくさん登場させている。

今、まさに犬がきている、そんな空気を感じる。いや、空中に漂っているのは犬のフケだよと言われるかもしれないが。

ファッションは常に動物を愛してきた。それは周知の事実である。チーター柄から今シーズンのカウハイド人気まで、野生のパターンは常に多く取り扱われてきた。

逸脱もあることはある。例えば今年は愛猫のプリントを取り入れるデザイナーも続出。猫へのオマージュは、PUMA(プーマ)の人気沸騰中のレーシングスニーカー「スピードキャット」ともマッチしていた。

2024年のファッション界は、子犬達がランウェイに登場したりカンヌの視線をさらったりと実に揺れた。感謝しよう、ファッションのgods(神々)、ならぬdogs(犬達)に。