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Where the runway meets the street

LVMH Awards / Benoît Peverelli

「井野将之(Masayuki Ino)」が手がける日本のストリートウェアブランド「ダブレット(Doublet)」の「LVMHプライズ(LVMH Prize)」優勝、30万ユーロ(約3,800万円)の賞金獲得、「LVMH」からの一年間指導プログラムを手に入れたことはすでにアナウンスした。

2014年に設立された同賞は、若手デザイナーへ資金とメンターシップを与える。そして『ハイスノバエティ(Highsnobiety)』のアソシエイト・ファッションエディター「マックス・グローブ(Max Grobe)」はこの賞を“a potential fast track to fame and fortune.”と評している。

Congratulations to @__doublet__ the 2018 @lvmhprize winner ! ???

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「J.W.アンダーソン(J.W. Anderson)」、「マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)」、「ニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquière)」、「マーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)」、「カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)」、「ウンベルト・レオン(Humberto Leon)」、「キャロル・リム(Carol Lim)」、「クレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)」が審査員として参加し、彼らに加え、LVMHの経営幹部も多数参加した。ちなみに、最近多くの注目を集める「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」のメンズウェア新任クリエイティブディレクター「ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)」も、同賞2015年のファイナリストだったのだ。

「ダブレット」は今回、「ア コールド ウォール(A-COLD-WALL*)」、「ボッター(BOTTER)」、「チャールズ・ジェフリー ラバーボーイ(Charles Jeffrey Loverboy)」、「エクハウス・ラッタ(Eckhaus Latta)」、「カイダン・エディションズ(Kwaidan Editions)」、「ルドヴィック デ サン サーナン(Ludovic de Saint Sernin)」と「マシュー アダムス ドラン(Matthew Adams Dolan)」の8ブランドのファイナリストを抑えての受賞となった。また初の韓国人ファイナリストとなったデザイナー「ロック・ファン(Rok Hwang)」が手がける「ロック(ROKH)」が特別賞を受賞した。彼も15万ユーロの賞金と「LVMH」から一年間の指導プログラムを獲得した。

「ダブレット」を今まで知らなかった人は、以下を参考にしてみよう。

「ダブレット」とは?

「ダブレット」は2012年にスタートした、デザイナーの「井野将之(Masayuki Ino)」が手がける日本ブランド。自身のブランドを始める以前は、「ミハラヤスヒロ(Miharayasuhiro)」にてシューズとアクセサリーのチーフデザイナーとしてキャリアを積んだ。

「ダブレット」は、ブランドの開始から着実に成長し続けている。日本では、2013年に開催された『東京ファッションウィーク(Tokyo Fashion Week)』にて『TOKYO 新人デザイナーファッション大賞』を、2017年には『TOKYO FASHION AWARD』を受賞したことでも知られる。

現在『ドーバーストリートマーケット(Dover Street Market)』や『10 コルソコモ(10 Corso Como)』、シカゴの『RVSP ギャラリー(RSVP Gallery)』を含む25店舗で取扱い、年に2回パリで展示会を行っているが、世界的に見ればまだまだアンダーグラウンドな存在だった。しかし一方で、「スワエ・リー(Swae Lee)」や「リル・ウージー・ヴァート(Lil Uzi Vert)」、「ミッキー・ブランコ(Mykki Blanco)」、「ケンダル・ジェンナー(Kendall Jenner)」、「トラビス・スコット(Travis Scott)」などのセレブリティのファンを獲得している。

「ダブレット」らしさとは?

「ダブレット」は、ユニセックスのストリートウェアとして知られ、Tシャツやフーディー、またはスニーカーなどのベーシックなアイテムを、ポップカルチャーによるデザインを細部までに加え、数多くのストリートブランドの中でも、独創的なスタイルを表現してきた。『ザ・ラスト・マガジン(The Last Magazine)』のインタビューでは、「ごく“普通の服”を今までに見たことないアイテムに変身させたい」と井野は話している。

しかし、審査員に一番響いたのは、彼が繊維を大胆に使用するところだったのだ。審査員のクレアが『ヴォーグ(Vogue)』誌に対し、「『ダブレット』の優勝は、繊維産業の発展を示した。言語の壁があっても、彼のパッションと意思はデザインから十分に伝われてきた」と話した。そしてニコラも、「今年の参加者は高いレベルの服作りを見せてくれた。LVMHプライズが5年に経って、今回こそ服づくりの集大成だったのだ。『ダブレット』は服づくりの目標を実現し、自分らしいスタイルを築いた。個性こそはこの賞のすべてだからね」と述べた。

なぜこの賞の優勝が重要なのか?

今回「ダブレット」の優勝は、いくつか大きな意味を持っている。まず、「LVMHプライズ」が5年前に始まる以来、今回の競争は一番厳しく、1,300名以上の応募者を勝ち抜いた者は、注目を集まるのに間違いない。

そして、「ダブレット」の優勝は、ストリートウェアがハイファッション業界での認知度を再度に示した上で、ファイナリストまで進出した3つのユニセックスブランド(「ダブレット」、「ルドヴィック デ サン サーナン」、「マシュー アダムス ドラン」)の一つとして、ファッション業界がユニセックスに対しての注目も明らかになった。

「本賞一番の目的は、ファッション業界の最先端を反映することなのだ」と、「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」の副社長で「LVMHプライズ」の設立者である「デルフィーヌ・アルノー(Delphine Arnault)」が『ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)』に対して語った。