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Where the runway meets the street

Dries Van Noten

Dries Van Noten(ドリス ヴァン ノッテン)の2019秋冬コレクションのファーストルックでは、ブラックのパンツとタイに、ホワイトのシャツのメンズのベーシックなエッセンスを体現した。シンプルさと他にはない独特の個性を持つアイテムこそが、このベルギー人デザイナーが多かれ少なかれファッション批評家の間で評価される理由である。

暗がりの部屋で行われたコレクションは、ラバーの生地にタンガリーをあしらったアイテムや、キルティングのシャツなどの、形や生地に細かい特徴を持ち合わせたメンズウェアがラインナップした。膨らんだシルエットや、ストレートワイドシルエットを作るためにすねの位置でカットオフされたパンツは、ラバーでコーティングされたクラシックシューズに合わせていた。巻きスカートとして使用されたブランケットもところどころに登場。腰の部分が結ばれたダウンジャケットのような軽いキルティングのアイテムによるボリューム感がエレガントなシルエットを演出していた。

コレクションが進むにつれ、レインコートやパンツなどに現れるタイダイのアイテムは、グレイやキャラメルのトーンから始まり、コレクション全体に馴染んでくる。水面に分散した油の光の反射のようなサイケデリックとの境界を見ているようである。そして、デビット・ボウイ(David Bowie)の『Wild Is the Wind(野生の息吹)』が流れ、崇高な舞台と化していた。

去年Dries Van Notenが株式の半数以上をPuig(プーチ)に売却してから、2度目のメンズウェアでのコレクションとなるドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)は、30年以上もの間ファッション界のどこに属す訳もなく、現在もタイムレスな服作り、実験的な色や配色でクラシックなメンズウェアを作り続けている。コラボレーションや、セレブリティのことばかりで盛り上がるパリファッションウィークの中でも、Dries Van Notenは異彩を放っていた。