life
Life beyond style

ファッションの環境負荷への対策のない企業やグリーンウォッシュに対して若者を主体とした民衆は炯眼(けいがん)を持ち、その声は徐々に強さを増している。若年層に広がる消費動向は、買い物でもたらされる短絡的な高揚感よりも社会貢献のナラティブ(物語)が重要視され、環境改善に意欲的に取り組む企業やプロダクトが新しい買い物の条件になりつつある。豊かな自然を享受し次の世代へ受け継ぎたいと真摯に願うのは、1978年生まれのアーティスト花井祐介も同じだ。2児の親でもある彼はサーフィンを通じて自己のアーティスト性を見出し、活動範囲を広げてきた。

横浜の外れで育った花井が高校生だった当時、先輩に海に連れていってもらったのがサーフィンを始めたきっかけだった。サーフィンを通じて仲間と出会い、独学でアートやパソコンツールを学びながらデザインを探求、5年後にサンフランシスコへ留学した。時代を遡ってサンフランシスコから発信されてきたカウンターカルチャーの多くから生み出された作品や代弁者達に影響を受けながら、その鬱屈とした町並みをまるごと吸収した。現在、花井が描くのはサンフランシスコや横浜界隈を歩けば出会う何ら珍しさのない普通の人達だ。特別ではない風景から切り取られる暮らしや息づかい。一見「ヤバそう」や「おかしそう」な人々を描いた絵を鑑賞した者の胸の内に湧くのは同調か勇気か、はたまた軽蔑か。それを決めるのはあくまでも見た者であり、なにかを感じてもらえればいい。ありのままを肯定し、立ち止まることがあっても、結局前を向いて歩き出せばいいじゃないか。花井の描く人々は無言で問いかける。

 

逗子にある友人達と改装した小さな一軒家のアトリエで作品を手がける日々。波に誘われれば地元民だけが知るポイントからサーフボードを漕ぎ出すこともある。ときに爽快な波乗り体験を与えてモヤモヤ気分を洗い流してリセットしてくれる海は、小さな子供が無条件ではしゃいでしまうほどおおらかに人々を癒やす。この素晴らしさを享受しながらも変容していく環境に対して、ただ何もせず見過ごしてしまっていいのだろうか。

浜辺ではプラスチックゴミが散乱していたり、水温が上昇していて地元の漁がダメージを受けている。調べるほどにどれだけ今の人間がしていることが環境に負荷を与えているのかっていうことがどんどん出てくる。2050年には魚の量より海の中のプラスチックの量が増えるだとか、まわりまわってマイクロプラスチックとなって人間が食べているだとか……自業自得なんでしょうけど、ここで何か変えないと自分の代からその先、子供の代とか孫の代で世の中どうなっちゃうんだろうって思います。

#ONE HAND BEACH CLEAN UPは、サーフボードで塞がったもう片方の手でゴミ拾いをしようというアクションだ。誰でも片手一本でついでに参加できて、拾うことで環境改善を再認識する。一般社団法人サーフライダーファウンデーションの活動の一貫であり、花井が描いたイラストは彼らのビーチクリーン活動のシグネチャーとなりつつある。彼自身もビーチクリーンに参加しながら、環境汚染問題を解決する企業の取り組みにも賛同する。

行動することによっていろいろな人が気付くことの役割は大きいと思います。実際海にあるプラゴミって、全てが海で捨てられているわけじゃなくてほとんどが街でポイ捨てされたものが風で飛ばされて川から海に流れ着いたもの。影響力のある人や「RALPH LAUREN(ラルフ ローレン)」のような企業がアクションを起こすことによって、それがカッコいいんだと認識されてビーチクリーンを始めとした環境活動が日常の当たり前になってくれたらいいなと思います。

2020年から連続して米ラルフ ローレン コーポレーションは環境保護の取り組みに対して高らかな表明を打ち出し続けている。2025年までにバージンポリエステルのリサイクルポリ繊維への転換を約束し、17000万本のペットボトルを使用するなどで綿・皮革を含む主要な生産材料と包装材を100%持続可能なものにすること、水使用量の20%の削減、すべてのオフィスや店舗100%を再生可能電力に転換するという目標を打ち立てた。これらの具体策に併せて2023年までには流通センターから埋立地の廃棄物をゼロにすることを約束した。

数あるコレクションの中でサステナブル素材を牽引するのは、シグネチャーであるポロシャツを主力とする「アース ポロ」だ。ペットボトル由来の再生糸を100%使用し、独自の技術で水を使わずに染色する。非営利団体ファーストマイルとの協業で、タヒチや台湾の低所得地域の社会と経済をサポートしながら回収したペットボトルは約12本分でポロシャツ1枚を生成し、これによって従来の45%のエネルギー・30%のCO2排出を削減する。同社のサステナビリティへの思いは、創業者ラルフ・ローレンが託した “自分たちが創り出すもの全てが、世代を超えて身につけられ、愛され、受け継がれていってほしい” という願いにつながる。

 

作品でもファッションでも、なにかものを作るということは環境に負荷をかけているということ。プラスチックが今、悪のようになっちゃっていますけど、元々高機能な素材でもあるんですよね。素材に限らず人がずっと持っていたいものを作ることが大切だし、引き継いだ人がそれを大切にしていけば環境にも悪くないはずです。長く大切にできるものを選ぶことが大切だし、そのほうが自分達も気持ちがいいんじゃないかなと思います。

 

今回花井祐介が、環境問題に取り組むRALPH LAUREN(ラルフ ローレン)の企業姿勢に共感して描き下ろした4コマ漫画では、ペットボトルが街から海に流れていく背景と、進化によって好転するテクノロジーの素晴らしさ、ひとりひとりが気づきアクションすることで再構築される明るい未来を示唆している。

元々自分がプラスチックゴミを気になりだしたのは、ただ単にサーフィンしている時にゴミがあると気分が悪いっていう理由。作品は見る人に感じてほしいし、あんまり説教臭くなっても誰も見ないと思うんですよね。気になる絵だなとか面白い絵だなって思ってもらって、後になってああそういうことなんだってちょっとでも人の記憶に入ってるといいなと思います。

 

Yusuke Hanai wears Polo Shirt ¥19,800, Pants ¥27,500, Shoes ¥9,900 POLO RALPH LAUREN / RALPH LAUREN

アース ポロは、世界各地のリテールストアと RalphLauren.com で販売。日本ではラルフ ローレン表参道をはじめとしたエクスクルーシブ店舗及びジャパン公式オンラインストアにて展開中。ポロシャツとそのほかのサステナブルアイテムは下記よりチェック。

 

アース ポロ
100%プラスチックなのにコットンライクな肌触り。軽やかでなめらかな快適な着心地。ホワイトやネイビー、グリーンなど、ダークトーンからヴィヴィッドカラーまで取り揃う豊富なラインナップに、新たにメンズからは6色の新色が追加。
価格:19,800円、30,800円(ロングスリーブ)

スイムトランクス
リサイクルポリエステルを採用したメッシュの裏地付きスイムトランクス。シグネチャーのポロプレイヤーロゴを全体にあしらったタイプと、シンプルなソリッドタイプでの展開。ビーチだけでなく、ルームウェアやシティユースとしてもPoloスタイルを演出できる。
価格:13,200円、8,800円(ソリッドタイプ)

サンダル
インソールにPoloのロゴを大胆にプリントしたツートーンのリサイクルラバーのトングサンダル。中底に衝撃吸収力に優れたEVAを採用し、快適さを追求したデザインに。底面にポロプレイヤーロゴのエンボス加工が施され、ビーチの砂面に影を残す。セーリングのアートがプリントされたバージョンもお目見え。

価格:5,390円

スニーカー
リサイクルコットンを使用したロートップキャンバススニーカー。ツートーンデザインと発泡成形の中底と海を想起するロープ風のパターンをあしらった限定のアウトソールが特徴。クラシックなスリッポンスニーカーもリサイクルキャンバス仕様に。
価格:13,200円(キャンバススニーカー)、9,900円(スリッポンスニーカー)

(全て税込価格)