G-SHOCK40周年:普遍と進化の宿命を背負うスケルトンモデル
40周年記念モデル第5弾はスケルトン。しなやかさとタフさを兼ね備えた進化という宿命を背負うスタイル・アイコン<G-SHOCK>。その現在地は常に未来だ。
2010年代のファッションは、ストリートとラグジュアリーの融合によってスタイルが多様化し、その他の文化的要素とのつながりが密接で複雑になった。ヒップホップ・ファッション、パンク・ファッションのように縦割り的だった音楽とスタイルは今や自由に表現され、肩書き、ルール、バウンダリーにとらわれない透明性こそが現代のスタイルの特徴だと言える。G-SHOCKの登場から40周年を記念した新作コレクションは、そんな自由さ、つまりトランスパレンシーを魅力とし、身につける人のスタイルを肯定しながら洗練とともに歴史とタフネスを裏付けるような無限大の可能性を秘めたモデルとなっている。
DW-5040RX G-SHOCK, Stripe Shirt DIESEL, Leopard Shirt GANNI
若者にとってはつい10年前のスタイルのルールブックでさえとっくに埃を被り、またすぐに塗り替えられるだろう瞬間の積み重ねを彼らは生きている。しかし、現在の自由なファッションの海は1980〜1990年代のストリート主流としている。G-SHOCKを身に着けたり、コラボをしていたJUSTIN BIEBER、EMINEM、SPIKE LEE、RIHANNA、A$AP FERG、JOHN MAYER、村上隆、NIGOを始めとしたアーティストは、現代のラグジュアリーファッションカルチャーを構築する重要な存在であることは揺るぎない。彼らの着想源の多くが音楽・映画・漫画・スケート・ナイトクラブに代表される80〜90年代のストリートカルチャーと密接していたように、当時生まれたG-SHOCKという存在がそれらのシーンの目撃者に身につけられることでファッション・アイコンとして確立されていたのは言うまでもない。
GA-114RX G-SHOCK, Jacket, Pants TANAKA JP, Boxer Shorts LES SIX, Shoes PIERRE HARDY, Ring NOAARK
G-SHOCKのファーストモデル、DW-5000Cが完成したのは1983年。「落としても壊れない時計を作りたい」というたった一行のコンセプトを掲げた伊部菊雄(いべきくお)氏を筆頭に、3名のみのプロジェクトチームが発足した。時計=華奢という当時の常識を覆すプロダクトに向けて、気の遠くなるような試行錯誤を繰り返した。思いつく限りを込めた試作であっても、3階から落とすとその衝撃にあっけなく散った。試したプロトタイプは200以上。追い込まれた最後の1週間、ふらりと立ち寄った公園で目にした子供の姿にヒントを得て、時計の心臓部を中空構造のケースの中で宙に浮かせることによって耐衝撃構造を成功させた。伊部氏の諦めないタフなマインドと柔軟性がG-SHOCKを完成へと導いたのだ。
その後、技術革新とともに進化を遂げ続けているG-SHOCK。1996年にはELバックライトの開発、2002年にはソーラーシステム搭載、2005年には電波自動受信機能、2008年には-20℃での動作対応、2012年にはスマートフォンとの連動を実現した。2023年には、ハートレートモニターによるライフログや睡眠解析の機能が5600シリーズに搭載。ファッションとの親和性が最も高いスケルトンの40周年モデルでは、CDやダイヤル、サイドボタンなどマテリアルなどに至るまで透明のパーツを採用。樹脂にはバイオマスプラスチックが使われている。
時代はかつてないほどにスピードを上げ、スタイルはどこまでも流動的だ。もはや他人からの評価や提案は意味をなさず、自分の中に存在するコアこそがスタイルだと言える。内部構造があらわになったスケルトンモデルは、未来へのクリアな視界を示唆するように身につけるものが持つ色を透かす。落としても壊れない時計として40年を歩むタフさとハートを携え、新しい時代へとアップデートする挑戦者を明るく導いていく。
GA-2140RX G-SHOCK, Vest CFCL, Ring NOAARK
- PHOTOGRAPHY: BUNGO TSUCHIYA @TRON
- STYLING: CHIE ATSUMI @OTA OFFICE
- HAIR & MAKE-UP: TENJU
- MODEL: KUYA OKAI @IMAGE
- EDIT & TEXT: YUKA SONE SATO @LITTLE LIGHTS