Gap(ギャップ)とAwake NY(アウェイクニューヨーク)がタッグを組んだ最新コレクションが、3月28日(土)に、Gap新宿フラッグス店、Gap心斎橋店、Gap公式オンラインストアで発売される。Supreme(シュプリーム)の元ブランドディレクターであるアンジェロ・バク(Angelo Baque)が手がけるAwake NYは、ニューヨークのコミュニティとカルチャーを背景に成長してきたブランド。一方でGapは、1969年の創業以来、アメリカンカジュアルを象徴する存在として、世代やスタイルを超えて多くの人々に親しまれてきた。

本コレクションでは、Gapのアイコニックなエッセンシャルをベースに、Awake NYのグラフィックを融合。フーディーやスウェット、デニム、ユーティリティウェアといった日常的なワードローブを、1990年代のニューヨークカルチャーに着想を得たデザインで再構築している。大胆なロゴ使いやポルカドット、カラフルなチェック柄など、ニューヨークらしい多様性とエネルギーを感じさせるピースが揃う

GapのアーカイブとAwake NYの視点が交差する今回のコレクションは、単なるスタイルの融合に留まらない。そこには、ニューヨークという都市が育んできた価値観や人々の関係性が、静かに織り込まれている。

GAPというユニフォーム

1990年代から、GAPは単なるベーシックウェアのブランドではない。誰もが手に取ることのできる日常着でありながら、それぞれのスタイルを成立させるための “ベース” として機能している。そこには、特定のスタイルやカルチャーに属さなくても、誰もが自分なりの表現を持てるという感覚だ。

アンジェロ・バクが語るように、Gapは「あらゆる人を受け入れて、気取らない、そして誰にでもフィットする」ブランドだ。つまり、選ばれた一部のものではなく、誰にでもオープンな服であり、同時に日常に自然と溶け込むものでもある。特別であることを主張するのではなく、あくまで日常の延長線上にあること。そのあり方こそが、1990年代からGapを特徴づけている

興味深いのは、その “誰でも着られる” という性質が、単なる均質化には繋がらなかった点だ。むしろ、同じ服を着ながらも異なる背景や価値観を持つ人々が、それぞれの文脈でスタイルをつくり上げていく。明確なルールやヒエラルキーではなく、緩やかに共有された感覚がある。

言い換えれば、Gapが提示するのは、スタイルの多様化だけではない。人と人との繋がり方、コミュニティのあり方そのものが、日常の中で開かれていくプロセスとも言える。

今回のGap × Awake NYは、その感覚をもう一度現在に引き戻す試みのようにも見える。特定のカルチャーやシーンに閉じるのではなく、あくまで日常の延長として存在すること。その中で人々がどのように関係し、どのように自分自身を表現していくのか。

それは、1990年代に起きていたある種の “コミュニティの多様化” を、いまの時代にどう翻訳するかという問いでもある。

コミュニティは、スケールできるか

これまでコミュニティは「どれだけ広げられるか」という意味で語られてきた。より多くの人に届くこと、より大きな市場に接続すること。それは同時に、均質化や文脈の希薄化を伴うものでもあった。デジタル以降のカルチャーを振り返れば、その構造は明らかだろう。

一方で近年は、むしろ逆の動きも見られる。小さく、密度の高いコミュニティ。ローカルで、固有の文脈を持つ集まり。そこでは “誰でも” ではなく、“誰と共有するか” が重要になる。

GapとAwake NYのコラボレーションは単純な拡張ではない。ローカルなコミュニティをそのままマスに広げるのでもなく、かといって純度を保ったまま閉じるのでもない。むしろ異なるスケールや文脈を持つコミュニティ同士が接続されるという現象に近い。

その接続は空間的な広がりだけではない。Gapというブランドが持つのは、世代を横断する時間的な広がりでもある。親から子へ、あるいは異なる世代間で共有されてきた “日常のユニフォーム” としての記憶。その蓄積があるからこそ、コミュニティは単に広がるのではなく、時間軸の中で接続されていく。

Gapが持つグローバルな到達力と、Awake NYが築いてきたローカルな感覚。その2つが重なることで、コミュニティは “広がる” のではなく、別の層へと “繋がり”、普遍的な価値、文化、スタイルを生み出している。

Awake NY、アンジェロ・バクのインタビュー:
時代を超えて、繋がるスタイル

 
——Awake NYはコミュニティを軸にしてきたブランドであり、一方でGapは老若男女に開かれたグローバルなプラットフォームです。このコラボにおいて、最も自然だった点と、新しかった、あるいは挑戦的だった点はなんでしたか?

今回のプロセスで最も刺激的だったのは、フーディーやTシャツ、パンツといったGapのクラシックでタイムレスなシルエットをベースに、それらをAwake NYの視点で再解釈できたことです。これらのアイテムはアメリカンスタイルの一部でもあり、その伝統を尊重しながら、いかに新しく見せるかが重要でした。Gapと取り組むことで、多くの人が既に親しみを持っているアイテムを通して、ニューヨークのストーリーを語ることができたと思います。

——Awake NYは一貫してコミュニティを軸にしてきました。あなたにとって「コミュニティ」とはどのように定義されますか? それは場所、価値観、世代、創造性など、どの要素によって形成されるものなのでしょうか?

今回のキャンペーンで表現したかったコミュニティのあり方は、ニューヨークが持つ多様性と創造的なエネルギーそのものです。私達は家族からクリエイティブな仲間まで、様々なコミュニティに属していて、それらが自分達のアイデンティティを形づくっています。このキャンペーンでは、スタイルや自己表現が、異なる背景を持つ人々を繋ぐ力になることを示したかったのです。

 

——コミュニティを基盤にしたブランドが、Gapのようなグローバルなプラットフォームと協働するとき、その “スケール” は変化します。コミュニティは拡張しても本質を保てると思いますか? スケールはアイデンティティをどのように変化、あるいは強化すると考えていますか?

Awake NYはニューヨークのコミュニティから大きな影響を受けているブランドなので、その視点をGapのグローバルなオーディエンスに届けられることは非常にエキサイティングです。このコラボのスケールが大きいからこそ、自分たちのルーツであるニューヨークに忠実であること、そして人々を繋ぐスタイルのインスピレーションを祝福することへの意識は、むしろより強くなっています。

——本コレクションは1990年代からインスピレーションを得ていますが、それはGapやニューヨークカルチャーにとって重要な時代でもあります。あなたにとって1990年代とはどのような意味を持ち、今回どのようにその文化的意義を再解釈しましたか?

1990年代、とりわけニューヨークにおける創造的な表現は、ポップカルチャーやファッションなど、現在の多くのトレンドの核にあります。私達は “コンテンポラリー・ノスタルジア(現代的な郷愁)” という考え方を大切にしながら、その時代のエネルギーをいまにどう蘇らせるかを考えました。単なる再現ではなく、現代的でありながら、当時のニューヨークカルチャーのスピリットをきちんと内包する形で表現したかったのです。