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Life beyond style

GUCCI(グッチ)」は、自社と全サプライチェーンの事業活動で残存する温室効果ガスの排出を、年次ベースで完全オフセット(相殺)すると発表した。

 

長期的なサステナビリティ施策を数年にわたりビジネスの中核に据えてきた中、気候変動への緊急な対応とさらなる対策が必要として、排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素が同じ量となる完全なカーボンニュートラル化の構築に向けかじを切る。

GUCCIなどのラグジュアリーブランドが初めて導入した「年次環境損益計算書(EP&L)」は、大気汚染や温室効果ガス、廃棄物、水の利用量など環境への影響を、材料の生産や物流まで全体の金額として可視化して管理するもの。同計算書は10年に及ぶサステナビリティ施策(2015-2025年)の進捗状況を測るベンチマークとしての役割を担い、最新の2018年版では、サプライチェーン全体のフットプリントが2015年以来16%削減。温室効果ガス排出量も16%削減された。

温室効果ガス排出量の約9割はサプライチェーンによるもので、この数年間、積極的に行ってきたサプライチェーンへの関与の成果という。今後、新たなカーボンニュートラルへのアプローチも加え、全事業での温室効果ガス排出回避、削減を目指す。環境への負担が少なくサステナブルな素材の開発と調達、製造効率改善への取り組みを展開してきたことで2018年にCO2排出量を約440125トン削減する成果を上げていることから、今後も継続的に拡大していく考えで、新たな方針として、年次ベースで世界の重要な生態系の保全と再生も支援。

具体的には、製造プロセスから販売活動にかけて、GUCCIの事業活動、ショップ、オフィス、倉庫における再生可能エネルギー使用量を現在の70%から2020年までに100%に引き上げるほか、レザーの処理に使用する水と化学物質の量を大幅に削減、輸送にかかる温室効果ガスの排出量も削減。製造中に発生するレザーとテキスタイルの端切れをアップサイクルする「Gucci-Upプログラム」を含む循環型アプローチは今後も継続・拡大する。

原材料の処理プロセスでは、伝統的なレザー加工で金属使用を排除するなどサステナブルな工法に変えていくほか、2015年からポリ塩化ビニール(PVC)の使用を禁止しリサイクルプラスチックに転換。アクセサリーやジュエリーにリサイクルメタルを使用するなど、リサイクル技術とアプローチを最大化し、採鉱や抽出による環境への悪影響を回避し、GOTS認証のオーガニックコットンやシルクなど、オーガニック繊維の使用量を年々増やしている。

原材料は調達の最適化を目指し、土壌と生物多様性のための環境回復を実施している農業システムを厳選。気候変動の影響を軽減し、ローカルコミュニティーにポジティブな経済的、社会的な影響を生み出し、世界的に重要な野生生物とその生息地を保護する「REDD+プロジェクト」を通じ、革新的なオフセットポートフォリオを展開するという。