INTERVIEW | MIRKO BUFFINIの個性と呼応する香り

By HighsnobietyJapan in life
2018年10月1日

2013年、ピッティ・イマージネ・ウオモでデビューしたフレグランスメゾンのMIRKO BUFFINI FIRENZEは、日本文化の詫び寂びの哲学や超難解小説としても名高いジェームス・ジョイスの小説『フィネガンズ・ウェイク』などをインスピレーション源に個性的な香りを紡ぎ出す。その発想力から生まれる強烈な個性は、実は身につける者の個性と強く結びつくと、ブランドの創設者であるミルコ・ブッフィーニ氏は語る。ブランド創設のきっかけは、様々なフレグランスメゾンの旗艦店が軒を連ねるニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジで嗅いだパチュリのこれまでにない特別な香り。

Think Different. Welcome Tomorrow.（発想を変えて、迎える明日。）がブランドのモットーなんだ。

立ち上げ当初から香水の常識を覆すようなものを作りたかったんだ。今のマーケットには、とても似通ったものが多いからね。それと差別化できる商品を生み出すことが僕のミッション。細部まで気を使っていて、おしゃれで、ライフスタイルと強く結びついている香水。例えば、レストランに行って美味しいワインを嗜む時に漂わせたい香りや、世界を股にかけるビジネスマン向けだったりと状況は様々。

具体的にどのようなプロセスで個性的な香りを生み出しているのですか？

まず頭の中でイメージするんだ。そして、リサーチのために世界中を旅してこだわりの原料をみつける。母国のイタリアや西洋の文化、そして日本文化などいろんな文化を取り入れたいと思っていた。日本については、「武士道」や山本常朝の「葉隠」に出会ったんだ。戦いに対する独特の姿勢や捉え方がとてもエレガントに思えた。髪を伸ばし、着用していたものなどのライフスタイルも興味深い。刀もね笑。だから日本は僕にとっても重要な国なんだ。洗練さ、エレガント、そしてとてもユニーク。

例えば、No.31は短歌の31音という神秘的でシンプルな調べの中に、男女の出会いや心情を表現していることに感銘を受けたんだ。そしてHAIKUは松尾芭蕉のあの有名な一句から。

“古池や蛙飛び込む水の音”

静寂を破る水の音。このシンプルな響きから、純粋でエレガントな人をイメージした。どんな状況でも身につけられるように、甘さと賢さの要素を取り入れたんだ。

テクニカルな部分ではどのような工夫をしていますか？

ミニマルでありながらも特別感を持たせるために、こだわり抜いた原材料をシンプルに調合するだけ。そしてこの高品質な天然の原材料を75日間熟成させてから使用することが、纏う人の個性を引き出すことにつながっている。環境やライフスタイル、肌質の違いが、肌上のphの違いを生み、最終的に自身と結びつく。ブラックエディションのフレグランスはどれも、それぞれ全く違った香りで、纏う人の肌や環境によって更に個性が生まれるんだ。

例えば、この職業の人にはこの香りを、というオススメはありますか？

たくさんの人との出会いがある人には、SABAをオススメする。ソロモン王との愛を語り継がれるシバの女王が着想源で、シックで甘くまろやかなスパイスがあり人々を虜にする香りなんだ。「無」をイメージしたMUは、フレグランス・オブ・ザ・イヤーも受賞した独特な香りで、ファッションが好きな人達にどうかな。ビジネスマンには、シンプルな数字に無限の可能性を見出すNo.31の香りをオススメするよ。