JAN/F/CHODOROWICZ日本上陸。ポーランドから届いた、創造する人のワークウェアブルー
ワークウェアは、いつからファッションになったのだろう。
工場や建設現場で身体を守るためにつくられた服は、いつしかストリートへ渡り、ランウェイへ上がり、いまではファッションにおけるひとつの定番になった。そんなワークウェアに、少し違った角度から光を当てるブランドが日本にやってくる。
ポーランド・ワルシャワ発のJAN/F/CHODOROWICZ(ヤン・F・ホドロヴィッチ)。2022年にスタートしたブランドが掲げるのは、「Workwear for Creators=つくる人の、働く服」だ。
ここでいう“働く人”とは、必ずしも工場で働く人だけではない。建築家、デザイナー、アーティスト、写真家、職人。手を動かし、考え、何かを生み出す人たち。その日常着を「現代のユニフォーム」と捉える。機能性や耐久性というワークウェア本来の合理性を残しながら、シルエットやディテールを研ぎ澄ませるのがJAN/F/CHODOROWICZのアプローチだ。
デザイナーのJan F. Chodorowiczは、外交官の父のもとアフリカや中東で幼少期を過ごし、テルアビブのShenkar College、ロンドンのCentral Saint Martinsでファッションを学んだ。Marc JacobsやGrace Wales Bonnerなどで経験を積み、CSMの卒業コレクションから現在まで続くワークウェアとブルーへの探究を始めた。


象徴的なのが、鮮烈な「ワークウェアブルー」だ。ブルーはかつて、工場や工房で身体を動かす労働者たちの作業着を染め、やがて“ブルーカラー”という言葉にも象徴されるように、働く人の色となった。しかし産業構造が変わり、「働く」の意味も変わった現代、ものをつくるのは工場の中だけではない。デザイナー、建築家、アーティスト、写真家——JAN/F/CHODOROWICZは、かつて労働者を包んだブルーを、現代の「創造する人」のための色へと読み替える。ブランドにとってそれは単なるシグネチャーカラーではなく、世界各地の職人文化やものづくりへの敬意を受け継ぎながら、「つくる」という行為の現在地を示すブルーでもある。

そして最新コレクション「DOM」は、その思想をさらに先へ進める。「DOM」とはポーランド語で“家”。これまで外の世界で働くための“鎧”として考えてきたユニフォームを脱ぎ、料理すること、部屋を整えること、そして何かをつくることまでを「創造」として捉え直した。ブルーはホワイトやベージュへ、デニムはポーランド産リネンへ、金属のパーツはガラスへと変化している。
考えてみれば、いま「働く」とはずいぶん曖昧な言葉だ。オフィスだけが仕事場ではなく、クリエイションと生活の境界も薄れている。ならばワークウェアもまた、肉体労働の記号だけである必要はない。
働くための服から、つくるための服へ。
JAN/F/CHODOROWICZが日本に持ち込むのは、新しいワークウェアというより、「働く」という言葉そのものの、新しいシルエットなのだろう。
- Words: Yuki Uenaka