日本は何もかもが優れている。言うまでもなく、水に濡れるし、空は青い。そんな当たり前の話と同じくらいに。だが最近日本を訪れたHIGHSNOBIETYの編集者は、日本の服屋の素晴らしさをあらためて実感することになった。発見というより、再認識に近い。HIGHSNOBIETYがオフィスを構えるニューヨークの店舗でさえ、日本のブティックには到底叶わない——内装も外観も含めて。

MONCLER(モンクレール)やPRADA(プラダ)、Supreme(シュプリーム)の東京の旗艦店を見てみよう! 建物全体が “ダウンジャケット” で包まれているようだったり、アートのような建築の中に収まっていたりして、店内に足を踏み入れる前から商品が売れてしまいそうなほどだ。東京のあちこちにある一般的な店舗でも同じ商品を扱うCOACH(コーチ)でさえ、原宿・キャットストリートでは彫刻的な空間の店舗を構えている。その素晴らしさは一目瞭然で、ただ外に座ってコーヒーを飲むために訪れる人がいるほどだ。

©︎ HIGHSNOBIETY

まだまだ挙げればきりがない。だが、ここでは日本でのショッピングの魅力を象徴する2つの店舗に焦点を当てたい。

まずひとつ目は、私達が日本に到着する直前にオープンしたばかりのBode(ボーディ)の東京店だ。これは、Bodeのニューヨーク旗艦店から始まった店舗のコンセプトを、代々木上原という街に合わせてさらに洗練させたものだ。

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籐製の椅子や風変わりなレトロ調の家具は、おそらくエミリー・ボーディ(Emily Bode)のパートナーであるアーロン・アウジラ(Aaron Aujla)が手がけるインテリア会社、グリーン リバー プロジェクトのものだろう——こうした要素はBodeのブティックではおなじみであり、再利用された『ニューヨーク・タイムズ』の新聞ラックが、愛らしいTシャツのディスプレイとして使われている点も見逃せない。

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しかし、この店舗の一番の見所は、「店内にもうひとつの店がある」ような空間だ。広い店内に木製パネルで囲われた小さなスペースが設けられ、棚やフックにはそのシーズンを象徴するジャケットが並んでいる。そこは単に商品を並べるための場所ではなく、まるでBodeがルックブックで作る小さなドールハウスの中に入り込んだかのような、ひとつの世界へと引き込むためのつくり込みだ。こうした空間は、服を見るだけでなく、服とともにその世界観を体感するような感覚をもたらす、まさに理想的な店舗と言える。

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そして、日本で “セレクトショップ” と呼ばれる店の好例がCOVERCHORD(カバーコード)だ:衣料品やアクセサリー、生活雑貨、靴など、様々なブランドの商品を厳選し、ひとつの統一された世界観で構成された店舗である。

COVERCHORDは、優れたアパレルブランドであるnonnative(ノンネイティブ)の親会社が運営しているだけあって、競合他社に一歩リードしているのは確かだ。20年以上にわたり業界に携わってきたnonnative(そしてCOVERCHORD)は、人々が何を求めているのかをよく理解している。

外観は、日本の店舗らしい佇まいで、中目黒の街並みに自然に溶け込みながらも、よく見ればひと目で特別であることが分かる。この店舗がこの辺りで最も賑わう店のひとつだったのも納得だ。店内は木製の床とそれに合わせた什器によって温かく軽やかな雰囲気が生まれ、縦長の窓からの光が届かない部分には、柔らかな照明がバランス良く配されている。

全体を一度に見渡すも良し、細部までじっくり眺めるのも良し。いずれにしても、あらゆる要素やアイテムに目を向けずにはいられない、真の服へのこだわり(いい意味でのこだわり)が伝わってくる。それぞれのアイテムに等しく重きを置くことでじっくりと商品を見て回れるように工夫されたレイアウトはもちろんのこと、アイテム同士のバランスにも配慮が行き届いている。バッグや靴、服、そのほか様々なアイテムが、コーディネートやワードローブを思わせるかたちで、ゆとりをもって並べられている。

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COVERCHORDに日本を背負わせるのは不公平なので、全ての店舗が同じ水準にあるわけではないことは認めておきたい。たとえ好意的な文脈であっても、一般論は物事を単純化してしまうものだ。だが、COVERCHORDの品揃え——AURALEE(オーラリー)やCOMOLI(コモリ)といった定番から、テクニカルなアウトドアウェア、さらにはCRISTASEYA(クリスタセヤ)やFARAH(ファーラー)といった個性的なブランドに至るまで——と見せ方は、日本のファッションの店舗の魅力を最も良く体現している。

スタイルと中身を兼ね備えた空間であり、その美しい外観すら、マニアックで具体性のある商品の魅力には及ばない。本当にこうしたものに価値を見いだす人なら、すぐにその良さが分かるはずだ。隅々まで堪能したくなる。そして、ラックに手を伸ばしたくなる。

日本でのショッピングが優れているのは、単にそれが日本のものだからではない。日本に根付くおもてなしの意識を踏まえたとしても、店舗自体が魅力的でなければ意味がない。しかし実際、日本の店舗は魅力的だ。なぜならそこには、実際に物を買うという結果だけでなく、買い物という行為そのものの感覚へのこだわりが反映されているからだ。

日本で「お客様は神様」だとするなら、ショッピング体験はまさに天国だ。

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