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Life beyond style

先日6月7日に全国公開され、CINEMAランキング通信のミニシアターランキングでは初登場3位にランクイン、邦画では1位を記録し、大ヒット中の最新映画『みーんな、宇宙人。』。前作短編映画『モジャ』でも主役を務める兵頭功海が、今作でもセイヤ役として存在感を示している。独特の世界観のなかに不思議な魅力が詰まった映画『みーんな、宇宙人。』についてインタビュー。

——まず、実際に映画をご覧になった感想をお聞かせください。

やっぱり宇賀那監督の脳みそ半端ないなと思いました。伝えたいメッセージは明確にあって、でもそのメッセージの伝え方が人と全然違う。僕の頭の中にはない発想ばかりで、どうやったらあのMojaたちの中に人が入って、そこの中にオーケストラがいてみたいな発想になるんだろうと。しかも痩せたいって言ってる女の子が、なんで目の前にあんな中華頼んでるんだろうと。あの料理を用意した状態でスルメイカを食べているというシチュエーションを作ってしまう宇賀那監督の感性とか。そういうことを含めて、役柄として愛らしい人たちばっかりが出ている映画だなと思いますね。あと、ファッションも含めて、映画がすごくおしゃれだなと思いました。でも、メッセージはキレキレなんですよね。

——セイヤ役についてお聞かせください。

前作の短編映画『モジャ』で最初にセイヤを演じた時、すごく気持ち悪くてキュートにしたいと思って演じました。長編になったのを観て、彼女と一緒に過ごしていくうちに、2回目の撮影でなんとなく顔つきとか話し方が変わったのかなって。演じる時に何かしようとはあんまり考えてなかったんですけど、この期間にこういうことがあったのかな、と想像しながら現場を迎えて撮影したんです。「ああ、こういう顔つきになるんだな」と。わりと大人になってる印象で、短編『モジャ』でのシーンから、どれくらいの月日が経っているのかはわからないですけど。3カ月くらいですかね? ミント(Moja)と出会って、彼女と結婚するってなって、その後に歩んできた人生が少し滲み出てきたのかなって思います。

——他の出演者のシーンで気になったシーンは?

草川さんのラップバトルのシーンがめっちゃ面白かったですね! 草川さんは普段音楽活動をやられていて歌も歌っているから、草川さんならではのシーンなのかなと思いました。あとファッションもかっこいいしクロウ(Moja)もラップが上手で!

——草川さんはラップは初めての経験だったようですね。

本当にびっくりしました。めちゃめちゃうまいやん! って。あのラップバトルはすごく面白いなって思いました。しかも、それをやっているのがお寺で、映像でも2人の間に建物みたいなのがあるじゃないですか。なんだこれは、って思いました(笑)。普通はあそこではやらないです。絶対やらないですけど、あそこでやっちゃうあたりが面白いなって思いました。

——現実世界にMojaが現れたとして、話したいことは何ですか?

Mojaは地球外生命体だと思うので、どこの星から来たのか出身を聞きたい。そしたら、その星があるってことじゃないですか。それについて深掘りしたい。宇宙人という前提で、どこから来たの? って聞きます。

——すぐに悩みは打ち明けると思いますか?

Mojaにですか? いや、打ち明けないと思う。この宇宙人に話してどうなるんだって思っちゃう、冷めてるけど(笑)。

——話は変わりますが、海外で印象に残っている場所は?

台湾ですかね。僕、台湾とのハーフですし。最後に行ったのは中学校に入る前で、そこから海外には一回も行ってなくて。たぶん印象に残っているっていうか唯一ですね。カルチャーというか、半分出身でもあるので、台湾かな。

——普段どんな音楽を聴いていますか?

最近、(G)-IDLEやaespaを聴いてます。かっこいい! と思って。ファッションから入ってるかもしれないです。あと韓国のRIIZEとか。ウォンビンがかっこ良すぎて! VOGUE KOREAの表紙に出ていて、やばいですよね、あの髪型も。K-POPは全く聴かなかったんですけど、最近聴くようになりました。

——どんなアートが好きですか?

この前、突然絵を描いたんです。キャンバスボードに絵の具で。写真とか何も見ずに、なんとなく描きたくなって。気持ち的には、色がどんどんグラデーションしていって、線の流れは花みたいな。意味合い的には、水、川、海、葉っぱ、太陽みたいな自然が、円状で水の青から葉っぱの緑になって、最後は太陽の赤みたいなグラデーションで。あと、美術館はたまに行きますね。

——映画の見どころを教えてください。

まずモジャのセリフじゃないですか? Mojaたちがなぜここ(地球)に来て、人間たちに出会って、滅ぼしたくない、ってなっていくのか。そのMojaたちの心境の変化に、人間っていう生物のダメなところも愛おしさも全部詰まってるのかなって思う。なので見どころは、Mojaたちの言葉とMojaたちの変化かな。

——最後に、この映画をどういう人に届けたいですか?

この世の中で生きにくいなっと思っている人。僕昨日ちょうど、プライベートですごく落ち込むことがあって、その出来事の後にこの映画を観たんですよ。セイヤがお酒を飲みに来て、「彼女のこと好きだな」って言うんですけど、意外と自分に負荷かけて自分に期待しすぎて、周りに期待しすぎて生きてしまいいがちで、そうすればそうするほど生きづらいなって思うんですけど、これぐらいのことで幸せって思えるぐらいが一番いいんだなってふと思っちゃって。なので、そんな人にぜひ観ていただきたいですね。

『みーんな、宇宙人。』

【あらすじ】

ある日、誰かの役に立とうとビルの屋上で「オレオレありがとう」を繰り返すセイヤ(兵頭功海)のもとに、突然何かが空から落ちてくる。セイヤが電話を切ると、エメラルドブルーの毛がモジャモジャの見たことのない生き物ーーミントがそこにいた。ミントと他愛もない会話をして仕事へと向かうセイヤだが、その後、体型にコンプレックスを抱くミサト(菊地姫奈)のもとにオレンジ、自分に自信が持てずネガティブなショウ(西垣匠)のもとにピーチ、寂しがり屋な女の子・レイ(三原羽衣)のもとにオリーブ、人間を強く信じるヒロト(草川拓弥)のもとにクロウ、これまでの人生に悔いがあるミステリアスな人物・リュウ(YU)のもとにグレープというミントの仲間たちが次々現れ、会話を通してお互いのことを少しづつ理解し始める……。

出演:兵頭功海/菊地姫奈/西垣匠/三原羽衣/草川拓弥/YU/麿赤兒
   関本巧文/詩歩/冬由/儀間咲彩/佐々木穂高/栗山かほり
監督・脚本:宇賀那健一
プロデューサー:戸川貴詞
主題歌:NIKO NIKO TAN TAN「No Time To Lose」
制作:VANDALISM
配給:エクストリーム
製作:CAELUM

公式サイト:https://www.mojamovie.com
公式SNS(X・Instagram・TikTok)/@moja_pjt
2024年/日本/93分/5.1ch/16:9/カラー/DCP
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