ファッション業界に巻き起こるレギンス旋風

レギンスはパンツではないという見解は全部忘れていい。レギンスはパンツだ、とファッション業界が言っているのだから。

人前でパンツとしてレギンスを着用することが社会的に適切か否かは、長年厄介な議題であり続けてきた。

穿き心地が良い、カジュアル、伸縮性がある、というレギンスの特徴は、レギンス反対派にとっては逆に、レギンスを人前でパンツとして穿くべきでない理由となる。しかし、レギンス擁護派にとってはそれがそのまま、レギンスを人前で穿くべき理由となる。

今シーズンのファッションウィークではランウェイにレギンスが多く登場した。それだけ、レギンスがかつてないほどにパンツとしての性格を帯びてきている。

パリで開かれたアンソニー・ヴァカレロ（Anthony Vaccarello）によるSAINT LAURENT（サンローラン）のショーでは、オーバーサイズのレザージャケットや角ばったオーバーサイズのコートにレギンスが合わせられていた。また鉄道駅舎をバザールに変身させたMARINE SERRE（マリーン・セル）のショーでも、キトンヒールシューズ、スキンタイトのトップスにレギンスという取り合わせが見られた。

BLUMARINE（ブルマリン）、Miu Miu（ミュウミュウ）、FERRAGAMO（フェラガモ）もこのレギンス現象に参画。本来アスレジャーアイテムであるレギンスをディナージャケットやチャンキーニットと組み合わせ、華やかに演出した。

3月5日に新クリエイティブディレクター、ペラギア・コロトロス（Pelagia Kolotouros）の初コレクションを発表したLACOSTE（ラコステ）も、異例のドレッシーなコレクションの中に、様々なレギンスルックを取り入れていた。

そしてLACOSTEのレギンスオンリーのルックは、男性にもスタイリングされていたことが目立った。画期的と言うべきだろうか？ いや、レギンスは何年も前からスポーツウェアの中にあった。LACOSTEはそれを、より日常的な場面におけるジェンダーレスなアイテムとして陽気に提案した。

ラコステ FW24 ファッションショー
“1927年の勝利“#ラコステ のアイコン ワニのモチーフを、1927年にルネ・ラコステとアーティストのロベール・ジョルジュによってデザインされたイラストに基づきモダナイズしました。

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— LACOSTE JAPAN | ラコステ ジャパン (@LACOSTE_JAPAN) March 13, 2024

今日のパンツとしてのレギンス論議は、2022年にキム・カーダシアン（Kim Kardashian）が当時のBALENCIAGA（バレンシアガ）のキャンペーンで「パンタレギンス」を着用したことに端を発する。パンツとしてのレギンスが社会的に受け入れられるのかどうかの議論がそこから再燃した。

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レギンスがオーバーサイズのパーカーやフリースジャケット、セーターと合わせられるようになった発端は、2010年代半ばのアスレジャーだった。

レギンスは、世界中の全て20代以下の女性にとって、快適で実用的なデイリールックを完成させる心地の良いアイテムだった。レギンスをパンツとして穿くことは、たとえ実際にはジム通いをしていなくともジム帰りの雰囲気を醸し出す世界共通の印となった。

2024年のパンツとしてのレギンスは、高級路線、かつ非常にインクルーシブに展開されている。秋冬はかつてないほど、レギンスが万人向けのパンツとなり得そうだ。

Words by HighsnobietyJapan