ルイ・ヴィトン家6代目が語る、モノグラムの力。
LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)が何かで有名だとすれば、それはモノグラムだ。LOUIS VUITTONのイニシャルと四弁花のモチーフを組み合わせた、ひと目でそれと分かるその柄は、メゾンを象徴する茶色のキャンバスを単なる素材から欲望の対象へと変えてきた。だが皮肉なことに、現在では世界で最も有名なラグジュアリーブランドとなったLOUIS VUITTONを創業した当人は、このモノグラムの誕生に一切関わっていない。
「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)は、実はモノグラムを一度も目にしていないんです」と語るのは、ルイ・ヴィトン家6代目であり、現在LOUIS VUITTONでサヴォアフェール(匠の技)部門を率いるピエール=ルイ・ヴィトン(Pierre-Louis Vuitton)だ。「考えてみると、なかなか面白い話ですよね。1896年、父の死から4年後に、息子のジョルジュ・ヴィトン(Georges Vuitton)がモノグラムを生み出すことになるのです」。そこから先は、まさに歴史そのもの。LOUIS VUITTONのモノグラムは、ファッション界はもちろん、世界規模で見ても屈指の消えがたいモチーフとして定着していった。
そして2026年、LOUIS VUITTONはシグネチャーであるモノグラムの誕生130周年を迎える。その歩みを振り返る映像が、HIGHSNOBIETY独占で公開されている。
1月には、この節目を祝うプロジェクトの幕開けとして、「モノグラム・アニバーサリー・コレクション」が始動する。三部構成で展開される本コレクションは、1年にわたる取り組みの第一章となる。スピーディやノエといったLOUIS VUITTONを象徴するバッグが、過去200年にわたるメゾンの歴史と卓越したクラフツマンシップに着想を得たリミテッドエディションとして登場する。
1896年に誕生したオリジナルのモノグラムは、リネンのジャカード織によって生み出された。今回の「モノグラム・オリジン」バッグでは、その技法を現代的に再解釈し、リネン×コットンの新しいキャンバスとして蘇らせている。また、モノグラムが最初に使われたのはバッグではなくトランクだった。世界へと名を広める以前、LOUIS VUITTONは旅用トランクの製造を手がけるメゾンだったからだ。そこで一部のバッグには、使い込まれたLOUIS VUITTONのトランクに見られる風合いを再現したトロンプルイユ(だまし絵)プリントが施されている。さらに別のモデルでは、メゾンが培ってきた革製品づくりの歴史に敬意を表し、最高品質のフルグレインカウハイドレザーが用いられている。
130年が経った今も、LOUIS VUITTONのモノグラムは色褪せることがない。「ジョルジュがモノグラム・キャンバスを完成させて以降、それはほかのあらゆるモチーフを圧倒し、メゾンを象徴する存在になりました」と、ピエール=ルイ・ヴィトンは語る。
それは今なお、LOUIS VUITTONのシーズナルコレクションの中核を成している。メンズ クリエイティブ・ディレクターのファレル・ウィリアムズ(Pharrell Williams)と、ウィメンズ コレクションのアーティスティック・ディレクターであるニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquière)は、スニーカーからデニムスカートまで、多様なアイテムに新たなモノグラムの解釈を落とし込むことで、その存在感を更新し続けている。またモノグラムは、コラボレーションを象徴する存在でもある。中でも2003年に発表された村上隆との協業によるマルチカラー・モノグラムは、20年以上を経た現在も高い人気を誇り、2025年には150点超におよぶ大規模なコレクションとして復刻されている。
モノグラムを祝う取り組みは、LOUIS VUITTONにとって既に確立された表現のひとつだ。1996年、モノグラム誕生100周年の節目には、英国パンクの先駆者、ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)や、ミニマリズムの巨匠、ヘルムート・ラング(Helmut Lang)ら、6人の先鋭的なデザイナーを招き、モノグラムをまとったラゲージをそれぞれの視点で再構築させた。さらに2014年、メゾン創業160周年を記念して、CHANEL(シャネル)のカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)はモノグラム入りのサンドバッグを制作し、COMME des GARÇONS(コム デ ギャルソン)創設者の川久保玲は、外装に大胆な3つの穴を穿ったLOUIS VUITTONのトートバッグを手がけた。
なお、2026年に向けたモノグラムのコラボ計画は、現時点では明かされていない(LOUIS VUITTONは相変わらず多くを語らない)。だが、モノグラム誕生130年を祝うのに、モノグラムそのもの以上にふさわしい存在があるだろうか。
- Words: Tom Barker