style
Where the runway meets the street

90年代のニューヨークのエネルギーはどの時代をも凌ぐものがあった。目新しいファッションがあり、実直なアートがあり、ヒップホップ等のジャンルについても、最高峰のアーティストによる急速な発展が実現している時代だった。

東京を拠点とするブランド「Macbeth Studios(マクベス スタジオス)」がそんな90年代ニューヨークの文化的精神を取り入れたMayonaize x Public Enemyコレクションを発表する。パワー溢れるスター達のスタイル、情熱、自己表現、芸術性を融合させた力強いコレクション。キャッチフレーズも”Fight the Power(権力と戦え)”と、強烈なメッセージを放つ。

ニュージーランド・ウェリントン生まれのアーティストMayonaizeは、主にグラフィティとタトゥーの世界で創作活動を展開している。あらゆるものをキャンバスに描くカリグラフィースタイルで世界的に知られる彼は、仕事に熱意を注ぐことの重要性についてこう話す。「本気の趣味は楽しくないといけない。アートには運動みたいな感覚があって、自分の関節、筋肉、靭帯を動かしていって、そのアングルが完全に決まったときに最高の満足が生まれる。その満足感を得たいがためにやっている部分が多い。絶えず完璧なストロークを探求し続けている」。

MayonaizeとPublic Enemyには多くの共通点がある。奥深くからの自己表現を根源とする熱い思いも、そんな共通点の一つだ。カルチャーレジェンドである彼らのコラボレーションを祝福すべく、タトゥー、今回のコレクション、そしてPublic Enemyから受けた影響について、Mayonaizeに聞いた。

——独自のスタイルはどのように確立したのでしょうか?

タトゥーは20年間続けているけれど、その間ずっと本当に自分らしくできていたわけではない。タトゥーは結構精神的に負荷がかかるから、ストレスの吐き出し口として、アートの世界で何か他のことをやってみるといいんじゃないかと思ったんだ。それではまったのがグラフィティだった。ニューヨークでグラフィティが生まれた背景についてのドキュメンタリー映画『スタイル・ウォーズ』を見て、自分も描きたいと思ったのがきっかけだった。そこからタギングを始めて、それがカリグラフィースタイルのタトゥーにつながっていった。

——タトゥー、ペンティング、タギングはクリエイティブプロセス的にどう違いますか?

そんなに違いはない。自分にとっては同じこと。タギングの前には必ず周囲をよく見る。どこかの建物を描くとしたら、その建物の周りの建物をよく見る。それはタトゥーのときとよく似ている。身体に沿うように入れるから。決まった方式に則っていけばいいから、あまり細かいことを考えなくてもいいのは楽だね。ものを見れば最適な構図が浮かぶ。

——Public Enemyとのコラボレーションで楽しいところは?

Macbethのスタンはすごく自由にやらせてくれる。最高の仕事ができる。仕事って、やりたいようにやらせてもらえればもらえるほど上手くできるものだろう。あれこれ決めつけられると、せっかくの発想も薄まって表現したいものが完全に表現できなくなる。

——今回のコラボレーションでクリエイティブ的に挑戦した点は?

白系にゴールドを混ぜたところ。ブラックゴールドも使った。元々Public Enemyのフィギュアの後ろには黒を使おうと思っていたけれど、黒地に黒だとキャンバスから飛び出してくらいのインパクト感がない。プリントはさりげない感じで、真正面から見たときにはシルエット的な見え方になるように、光が当たると中のレタリングのディテールがよく見えるようにしたいと思った。

——とてもこだわりの感じられるディテールですね。今回のコラボレーションや技術的な面で、これまでのコラボレーションとは違った点は他にありますか?

全員のレベルの高さ。Public Enemyみたいな集団と仕事ができることはなかなかない。コラボレーション相手の選択肢は3つくらいあったけれど、最終的にPublic Enemyがいいと思った。自分自身、ヒップホップに親しみ出した頃に初めて聴いたアーティストだしね。それに、ロゴも丸い。自分の作品も円形のものが多いから、ロゴ周りでも面白いものができそうだと感じた。

——Public Enemyというアイコニックな集団とコラボレーションができたことに、どういった意味を感じますか?

Public Enemyのアルバムは、子供の頃バスの中で大きなふわふわのヘッドフォンとウォークマンでよく聴いていた。その感覚、アルバム、それにアルバムのアートワークのこと、全部よく覚えている。子供の頃はロゴのコピーに夢中で、Public Enemyのロゴもよく真似して描いていた。そんな世界的なラップのパイオニアのPublic Enemyとコラボレーションができたことは本当に感慨深い。他のブランドとのコラボレーションもしたこともあるけれど、自分自身が聴いていたアーティストとのコラボレーションは初めてだったしね。

——今回のコラボレーションがこれだけ自然体で上手くできているのは、ご自身とPublic Enemyとの間にどのような共通点があるからだと思いますか?

自分の仕事はいつもビートをミックスするような感覚だと思っている。何か単語をもらって、それをアレンジして良く見せる。Public Enemyも同じだ。英語という言語の単語をアレンジする。そうやってできたものに人は引き込まれて行く。そこは全てのアーティストに共通するところだね。