A.PRESSE、最高のコレクションのために “茶室” をつくる。
2026年春夏コレクションは、A.PRESSE(アプレッセ)のまだ浅い歴史の中でも最大の節目となるシーズンだ。メンズウェアを手がけるようになってからも、設立5年のこのブランドにとって最新コレクションは、パリでのショーや各地を巡るトランクショーを重ねながら、着実に評価を築いてきた歳月の集大成にほかならない。かつてないほど注目を集める中でも、A.PRESSEが貫くのはあくまでプロダクトの純粋性だ。これはブランド史上最大にして最高のコレクションであり、そのことをブランド側もよく理解している。
それは、西海岸の老舗高級リテーラーの先駆け的存在であるマックスフィールドLAで開催されたA.PRESSEの2026年春夏ポップアップにも、明確に表れていた。格式ある会場にふさわしく、A.PRESSEはそれに見合う美しい特注空間を構想した——しかし、ひときわ美しい2つの構造物の中にあっても、主役であり続けるのはプロダクトそのものだ。
そして、唯一無二の美しさという評価もまさに的確だ。A.PRESSEとMAXFIELDは、3月16日から4月6日まで(およびMAXFIELDのウェブサイト上でも)公開される空間を、MAXFIELDの敷地にある象徴的な建築「ストラクチャー・ノマド」の中に構築した。ジャン・プルーヴェ(Jean Prouvé)による現存数の少ないこのストラクチャー・ノマドは、解体と再建が容易な通気性の高いプレハブ建築で、MAXFIELDの駐車場に常設されており、その内部にA.PRESSEがキューブ状の空間を設けた。


©︎ MAXFIELD
その重厚なブロックは、モダニズム的な周囲の環境と二重の意味で対照をなしている:鈍角的なフォルムがプルーヴェの鋼鉄の外装がもつ曲線的な優美さと相反し、さらにその一面は、不意に木製フレームの開口部として切り取られているからだ。内部では、温かみのある色調の壁と茅葺きの床が、日本の伝統的な茶室へのオマージュとして、親密で落ち着いた空気を生み出している。キノコのように広がる照明が強い陰影を落とし、開口部と呼応するように配置された樹木のように太い支柱、そしてブランドを象徴する角ばった真鍮製のラックが並ぶこのA.PRESSEのポップアップは、まるでアートギャラリーのような趣を帯びている。
この空間は、日本の伝統への賛歌に留まらず、ショッピングに没入できるA.PRESSEの京都旗艦店を意識したつくりとなっている。


©︎ MAXFIELD
これは単なる美的な問題ではない。A.PRESSEの服は、見た目が美しいだけでなく、その質そのものが優れている。馴染みのあるフォルムを解体し、再構築したこれらの服は、驚くほど精緻な仕上げの賜物だ。ジャケットには、フォルムを保つために長繊維コットンが、ドレープを生むためにシルクが用いられ、フーディーは特殊な加工を施したジャージー素材から成形されている。デニムジーンズは、ヴィンテージ着想の要素を現代的なかたちに落とし込んだ、時間をかけたステッチによって特徴づけられる。こうした丹念に作られた服を「よく考えられている」と表現するのはありきたりだが、A.PRESSEにおいては、それだけではとても言い尽くせない。
素晴らしさと着用性を兼ね備えたA.PRESSEのコレクションは、いずれもじっくり向き合ってこそ良さが伝わる。まるで美術作品のように。美術館でロダンの彫刻を実際に見るのと、スマートフォンの画面越しに見るのとでは、その差は歴然としている。A.PRESSEのクオリティを備えた服でも同様であり、このことを誰よりもよく理解しているのがMAXFIELDである。
©︎ MAXFIELD
- Words: Jake Silbert