MIU MIU(ミュウミュウ)は、現代のスニーカー文化を変えるつもりなどなかったはずだ。それでも、MIU MIUのローカットスニーカーの完成度はあまりに高く、ほとんど独力でスニーカートレンドをフラットなシルエットへと傾けてしまった。今やスポーツブランドからラグジュアリーメゾンまで、誰もが追いつこうと絶えず奮闘している。

数々のシーズンでトレンドをリードしてきたMIU MIUのシューズが、今、新たな進化を遂げようとしている。

10月6日のMIU MIU 2026年春夏コレクションで初登場し、HIGHSNOBIETYが独占公開する最新スニーカー「ジムナジウム」は、バレリーナのように軽やかな一歩で、フットウェアの未来へと歩み出す。

依然としてフラットではある。しかしそれだけではない。

世界的ヒットを記録したバイカーブーツやワラチ風サンダルの最新モデルに続き登場したMIU MIUの新作スニーカーは、イタリアの職人技を賛美する、2026年春夏コレクションで輝きを放つ一足。職人のレザーエプロンや、それに合わせた木靴といったキーアイテムとともに、真夏の陽射しを思わせる穏やかなムードを漂わせる。

新作の「ジムナジウム」は、二重の靴紐や贅沢に柔らかいアッパーなど、MIU MIUならではのアイコニックなディテールを受け継ぐ。特にアッパーは、押すと沈み込むほどの極上の柔らかさだ。そして何より、新たに編み込みジュート風のソールを採用し、エスパドリーユとスポーティなレースアップの両方の魅力をあわせ持つ、室内でも屋外でも楽しめる夏の理想的な一足に仕上がっている。

この気取らないニュートラルな色使いが示す通り、巧みなデザインながらもMIU MIUらしい謙虚さを失っていない。

この手法こそ、MIU MIUがフラットスニーカーの常識を巧みに覆すやり方だ。絶えず新しさを追い求め、ファッションの落とし穴に足をすくわれることなく、MIU MIUは揺るぎない独自の世界観を丁寧に育む。誰よりも自分達がその世界を理解している。そうした自信が、ラグジュアリー界におけるMIU MIUの確固たる地位を支えている。変化に追われるのではなく、着実な積み重ねによって信頼を築いてきたのだ。

これまでもMIU MIUは、シグネチャーのNew Balance(ニューバランス)コラボスニーカーを、ミュールやテニスシューズに変化させることで、ブランドらしさを示してきた。既存のフォルムを少しだけひねる遊び心は、ブランドの信念を決して裏切らない。今回「ジムナジウム」を、普遍性と季節感を兼ね備えた一足へとアップデートしたことは、改めてその哲学を証明している。

壊れていないものはそのままに、ほんのひとひねり加えればいい。例えば、エスパドリーユに変えてみる、といった具合に。