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極限まで削ぎ落とした線を一色で描き、ポップでありながら背景にコンセプチュアルな趣を感じさせる長場の作品。2014年8月14日から毎日1点インスタグラムで発表しているドローイングの中でも、有名人のポートレートや映画のワンシーン、おなじみのキャラクターなどを、デザインホテル「ACE HOTEL」のメモ帳に描いた作品群は長場の代名詞にもなっている。

このメモ帳に描かれたドローイングが「そのまま大きくなったら面白いよね」の一言に端を発し企画された今回の個展。同作品群を展示した個展「A Piece for a day」(2015年)の「熱量」をそのままキャンバスワークに置き換えて展示したいとのオファーを長場が快諾したことで実現したという。

タイトルの「Express More with Less(少ない情報でより豊かな表現をする)」は、長場の描くドローイングの最大の特徴でもある。短時間で情報を大まかに掴み、目に映ったモチーフが発する空気もろとも取り込み描いていく。鑑賞者と作品との距離を縮めるため、モチーフには多くの人が関心をもつ「人物」を選ぶ――修練した作風で一躍人気アーティストとなった長場の「支持体」を、紙からキャンバスへと変更する過程で、過去の作品を再構築しイラストレーションの持つ可能性を追求した。

長場は「こどもの頃、父親が仕事で海外にいく度に持ち帰ってきたホテルのアメニティには、自分の知らない国の特別な空気がなんとなく感じられて、その国に思いを馳せたりしていた」と幼少期の思い出について触れ、「2013年の夏にニューヨークのACE HOTELに泊まってホテルのアメニティとして置かれていたメモ帳を見た時に、その時の気持ちが蘇り、大事に持ち帰ってきたことがはじまりだ。(中略)なぜかこのメモ帳は捨てがたく、ある時ふと取り出してきてここに絵を描くことを思いついた」とコメント。

会場では、活版印刷によるプリントや、今回初披露となるグッズも販売。展示初日には長場本人の在廊も予定する。

 

“Express More with Less” by Yu Nagaba

会場:GALLERY TARGET
住所:東京都渋谷区神宮前2-32-10
会期:5月1日(水)~5月17日(金)
時間:12:00~19:00
ギャラリーターゲット