life
Life beyond style

©︎Netflix

かつての10代、20代、ヤングアダルト世代にとってAbercrombie & Fitchはクールの象徴だった。

ローライズのスキニージーンズ、ミニミニスカート、ヘラジカのロゴ入りアイテムが飛ぶように売れたが、際どい広告キャンペーンを展開したり、旗艦店という旗艦店の店頭に露出度の高いモデルを並べるなどしていた同ブランドに夢中になる子に、親世代は眉をひそめた。

2000 年代後半になるとその人気は失速した。理由は後で説明するとして、とにかくそんな悪名高きリテーラー、アバクロンビーの人気が今、2000年代初頭トレンドが復興する中で再燃しつつある。

ちょうどそんな折、Netflixから、同社の階級差別、人種差別、サイズ差別に満ちた薄汚い成功術と、その結果としての転落を詳細に描いたドキュメンタリー『White Hot: The Rise & Fall of Abercrombie & Fitch』が公開された。

予告編から判断するにその内容は、アバクロンビーのあからさまな差別的企業文化(店舗従業員はヘッドスカーフを着用することや爪を長く伸ばすことを禁止されていた)、CEOマイク・ジェフリーズ氏によるマーケティング戦術としての臆面もない排除行為、消費者に対する「白人、スキニー、リッチでなければ、クールではない」というメッセージ発信について語るものとなっている。

アバクロンビーの数々の悪行の根底には、同ブランドが全盛期において、現在よりも大きく取っていた文化的な態度がある。それを踏まえると、Y2Kファッションの復興については疑問が湧いてくる。

2000年代初頭のメディア、エンターテイメント表現は主に白人で、細身の、昔から魅力的とされてきたような容姿のセレブリティにほぼ限定されており、タブロイド紙はこぞってセレブリティの体型や外見をこき下ろしていた。トップモデルのサイズが2号を上回ることはなかった時代だ。

ローライズのボトムスやウルトラクロップトトップス(Miu Miuのお家芸)など、Y2K時代のトレンドが復活し続けるファッション業界だが、2000年代初頭という時代は参照先として取り上げつつも、排他的文化という問題については当時のものとして置き去る手立てはあるのだろうか?

これは多くの場所で話題に上り続けている難問だ。『Independent』や『Dazed Digital』では、Y2Kの台頭によるサイズゼロ文化への回帰について問題提起をしている。また、2000年代前半は脂肪恐怖症が最高潮に達していたという内容の@bexbeautybrujaのツイートも大いに注目を集めた。

しかし我々は2000年代初頭以降、進化を遂げてきた。完璧にはほど遠いとは言え、かつて狭かった美の定義が、ファッション業界でも広がりつつある。ヴィクトリアズ・シークレットのファッションショーが中止となったのはそれを象徴する事実だ。ランウェイ上の多様性はシーズンを追うごとに高まり続けている(とは言えMiu Miuのランウェイにプラスサイズのモデルがあのスカートセットを着て登場する、というようなことはまだないが)。

そして、何よりも変わったのがアバクロンビーだ。Instagramには様々な人種、サイズ、能力、年齢のモデルが登場し、かつての一律的なキャスティングとは明らかに異なるアプローチが取られている。公式ウェブサイトによると、アバクロンビーは現在LGBTQ+の非営利団体The Trevor Projectや、有色人種の若者のメンタルヘルスに取り組む団体The Steve Fundと連携しているとある。

 

この投稿をInstagramで見る

 

Abercrombie & Fitch(@abercrombie)がシェアした投稿

アバクロンビーのInstagramにはこのような声明も掲載されている:「当社では透明性の精神に基づき、近日、Abercrombie & Fitchというブランドの、前経営者の時代を取り上げたドキュメンタリーが公開されるということに直面しています。当時の諸問題につきましては、これまでも長年にわたり広範かつ正当な批判を受けてまいりましたが、当社として改めて、それが現在の当社では決して許されない行為、行動、意思決定であることをここに明確にさせていただきます」

ローライズジーンズやベリーチェーンの復活はあっても、2000年代前半にあったいくらかの事柄には、復活させないことが最良と言えるものもある。