オラチオ・パガーニ、BAPEとのコラボと車愛を語る
HIGHSNOBIETYは、伊スポーツカーブランド「Pagani(パガーニ)」と「BAPE(ベイプ)」とのコラボレーションについてオラチオ・パガーニ(Horacio Pagani)にインタビューを敢行。一見ありそうもないブランドのケミストリーは、未だ見ぬイカしたカモフラ柄の車体へと変貌を遂げた。「BAPE x Pagani ZONDA F4 VISTA」のほか、Tシャツやフーディー、アクセサリーを含むコラボコレクションは、BAPE青山店でお披露目された。
パガーニへインタビューを敢行し、コラボレーションに至るまでの道のりとこれからについて語ってくれた。
——BAPEとPaganiの関係はどのようにして始まったのですか?
世界中を旅している時に気がついたのは、平日にスーツを着て仕事をしているクライアントが休日にBAPEを着ているということ。だから、このブランドに興味を持ち、調べ始めた。その後、ものづくりに対する思いや、仕事に対する情熱や姿勢が同じだということに気づいたんだ。
——BAPEとPaganiは同じように人々から広く認知され、愛されています。Paganiを見かけた時に人は、立ち止まり、微笑む。BAPEにも同じような印象があります。それは両ブランドが持つデザインへの畏敬から。
今回のコラボレーションはビジネスとしてだったなら生まれていない。ライセンス使用料についても話していない。両ブランドが出会った時に何が作れるのかという純粋な情熱のもと生まれたコレクションだ。
——全体でどれくらいの期間を要しましたか?
約6カ月くらい。通常であればPaganiは1つのプロジェクトの決定に至るまでに2年を費やす。プライベートジェットや、エアバス、ホテルなど様々だが、今回のコラボレーションは、たった1時間で決まった。今までこんなことはなかったからね。
——コラボレーションに続きはありますか? BAPEのカモフラ柄の模型自動車を見てみたいですが。
まだ何も予定はないけれど、そういったアイデアにはオープンだよ。あとは、川の流れに身をまかせるだけ。今回のコラボレーションは、全く違うカルチャーに起因するお互いのブランドにとっていい活力となった。だからこの関係が続くのは自然なことだろう。
——なぜBAPEのブルーカモ柄をリードビジュアルに選んだのですか? Paganiのロゴに基づいたものですか?
そうだよ、単純にPaganiの色というのと、私もブルーの服を着るのが好きだし、他の選択肢は思い浮かばなかった。
——なぜZonda Fを選んだのですか?
Zondaの20年にわたる歴史を語る一台であり、Paganiの歴史と未来をつなぐ一台だからさ。車を作り始めた時は、売れるのかどうかなんで分からなかったけれど、Zonda Fを発売した時は、ものすごい反響があったんだ。結果、会社の地盤を固めてくれて、ブランドを定着させてくれたからこそ、BAPEとのコラボではZonda Fという選択だった。
ZondaFを製作していた2008年から2009年は世界的に不況だった。でもZondaFのおかげで影響を受けなかったし、他の会社が問題を抱えているなかでも生産を続けられたんだ。この車業界では夢のような存在だよ。当時、50万ユーロで販売していたけれど、時が経つにつれて10回以上も値上げされて、今では約5〜7百万ユーロの価値があるんだ。
——Paganiにとってこれからの20年はどのようなものですか?
私たちは、同族経営だから利益は研究と発展のために投資する。身の回りで何が起きているか分かっているし、仕事への熱意を持って、できる限りクリエイティブであり続けるよ。電気自動車やハイブリッド車の存在で、世界の車事情は変化してきている。みんなが環境に対して意識することには大賛成だよ。もっと革新的でモダンで常に最先端であり続けるように励むつもりだ。過去2年間電気自動車について考えてきて、2024年にはにリリースしたいんだ。クライアントはハイブリッド車や完全な電気自動車を求めていないけれど、プロジェクトに信念を持っているからこその投資で、それはデザイン面と環境面で大きな影響を与える存在になり得ると思う。
——車への愛を一つ述べるとすればなんですか?
難しい質問だね。総じて言うのであればデザイン。アルゼンチンで生まれて、貧しい暮らしをしてきたけれど、それは車を作ることやデザインすることに正面から向き合う活力になっている。だからイタリアにも行った。そこでただ自分のブランドを作ることだけを考えていた。幸運なことに、「Ferrari(フェラーリ)」や「Lamborghini(ランボルギーニ)」「Mercedes(メルセデス)」などのお気に入りの車を持つことができた。車を運転することだけが好きなわけではなくて、数キロ離れたオフィスなら自転車を使う。最も愛情と熱意を注いでいるのはデザインと感情だ。例えば、毎日コレクションから一台選んで窓辺に停める。そして朝食やランチを食べながら眺めることができる。そんな単純なことが、この世界への熱意を持っていることの喜びなんだ。
- Original Words: Heather Snowden