ジュエリーは、完成されたものを身につける時代から、自分自身でつくり上げるパーソナルな時代へと変わりつつある。Pandoraがコペンハーゲン・ファッションウィークで提案したのは、一つのコレクションを選ぶことではない。チャームやネックレス、リングを自由に組み合わせ、その人だけの物語をかたちにする、新しいスタイリングだ。

Highsnobiety Japanは、俳優・蒔田彩珠とモデル・RYOTAとともに、そのクリエイティブな体験に参加した。ジュエリースイートで始まったそれぞれの選択は、街を巡り、ショーを訪れ、夜のガラやディナーへと続きながら、一人ひとりの個性を映し出すスタイルへと完成していく。

ジュエリーは記憶からできている。

ジュエリースイートに並ぶ数え切れないほどのチャームやネックレス、ブレスレット、リング。その光景を前にした蒔田彩珠は、「かわいい!」と目を輝かせながら、一つひとつを丁寧に手に取っていく。そこには決められた組み合わせも、正解もない。大切なのは、自分が惹かれるものを自由に選び、自分だけのスタイルをつくることだった。

「猫が好き」「バイクに乗るのは気持ちいいですよ」「母からプレゼントしてもらったジュエリーがあるんです」「最近は編み物もしてます」「母の名前にある『真』と彩珠の『珠』で真珠になるんです」

チャームを選ぶ時間は、不思議と自分の記憶をたどる時間でもあった。好きなもの、大切にしてきた思い出、これから出合いたい未来。その一つひとつがジュエリーというかたちへと置き換えられていく。

印象的だったのは、Pandoraならではの自由なスタイリングだ。今回はネックレスにストッパーを組み合わせることで、チャームを胸元だけでなく鎖骨のラインにも配置。チャームの位置を少し変えるだけで、レイヤードに奥行きが生まれ、スタイリング全体の表情が大きく変わっていく。完成されたジュエリーを身につけるのではなく、自分自身でデザインしていく。そのクリエイティブなプロセスこそが、Pandoraの楽しさなのだと感じた。

ジュエリーが生み出すアイデンティティ

ジュエリースイートで選んだチャームやネックレスは、実際に身につけることで初めてその表情を変えていく。最初に訪れたTAUSのプレゼンテーションでは、美術館を舞台に、アートピースのようなコレクションとともに、幾重にもレイヤードされたPandoraのジュエリーが印象的だった。洋服だけでなく、ジュエリーもまたスタイリングの一部として自由に重ねられ、個性を引き立てる存在になっていた。

その光景に触れた蒔田彩珠は、「自由」という言葉を何度も口にした。海外での本格的なファッションウィークへの参加は初めて。年齢も国籍も異なる人々が、それぞれの感性を堂々と表現する姿に刺激を受け、自分らしく自信を持って身につけることへの新しい視点を得たという。

そのインスピレーションは、夜のガラディナーでのスタイリングにも表れていた。ブラックドレスに合わせたのは、ローズゴールドを中心としたジュエリー。ハートチェーンのネックレスをチョーカーのように首元へ添え、その下には小ぶりなジルコニアのネックレス、リボンモチーフのピアスを重ねることで、フォーマルな装いに軽やかなリズムを生み出した。手元にはローズゴールドのブレスレットをベースに、「aju」の刻印が入ったチャームや、自身の好きなものを象徴するモチーフ、Mini Charmを自由にレイヤード。クラシックなブラックドレスに、遊び心のあるアクセントが加わることで、エレガントでありながらどこかチャーミングなスタイルが完成した。

スクリーンでは繊細でどこか影を感じさせる役柄を演じることの多い蒔田彩珠。しかしこの日の装いには、普段の彼女が持つ明るさや好奇心、自由な感性がそのまま映し出されていた。ジュエリーは装飾品ではなく、自分らしさを引き出すもう一つの言語。そのことを、彼女のスタイリングは自然に教えてくれた。

コレクションが広げる、自分らしさの選択肢。

Pandoraの魅力は、一つのコレクションだけで完成しないことにある。それぞれ異なる個性を持つコレクションを自由に組み合わせることで、自分だけのスタイルが生まれていく。ジュエリーは、身につけるものではなく、編集するもの。

ローズゴールド:柔らかな輝きが、スタイルに余白をつくる。

蒔田彩珠のスタイリングの軸となったのが、14Kローズゴールドプレーティングのコレクション。肌になじむ柔らかな色味は、エレガントな印象を与えながらも、どこか親しみやすい空気をまとわせる。単体でも美しいが、シルバーやゴールドなど異なるメタルとのミックススタイリングによって、さらに自由なレイヤードが楽しめるのも特徴。フォーマルなブラックドレスにも自然に溶け込み、遊び心を残した洗練されたスタイルを完成させていた。

 

ミニチャーム:小さなチャームが、大きな個性になる。

一つひとつは控えめでも、重ねることで印象は大きく変わる。イニシャルや好きなモチーフ、色彩豊かなチャームを自由に組み合わせることで、スタイリングにはその人らしいリズムが生まれる。蒔田彩珠が選んだ好きなモチーフも、その日の装いにさりげない遊び心を添えていた。完成されたデザインを身につけるのではなく、自分の感性で組み立てていくこと。それこそがPandoraらしい楽しみ方だ。

Shirt LES SIX

シグネチャー:シンプルだからこそ、重ねたくなる。

無駄を削ぎ落としたミニマルなデザインは、他のコレクションを引き立てる存在。チャームやカラーが主役になるスタイリングに、静かなバランスをもたらし、レイヤード全体を引き締める。主張しすぎないからこそ、どんな個性とも調和する、Pandoraのベースラインと言える。

タリスマン:意味を身につけるという、新しい選択。

古代コインや星座、神話から着想を得た「Pandora Talisman」は、それぞれのチャームにラテン語のメッセージや象徴的なモチーフが刻まれたコレクション。自由や希望、困難を乗り越える力など、身につける人それぞれが自分自身の価値観や願いを重ねることができる。単なる装飾ではなく、自分だけの意味を選ぶジュエリー。

Jacket, Shirt, Pants LAD MUSICIAN / Belt STYLIST’S OWN

自由とは、自分でルールをつくること。

蒔田彩珠がジュエリーに自分の記憶を重ねていったとすれば、RYOTAはスタイリングそのものをキャンバスにしていた。

ガラディナーでは、ブラックのフリルシャツとストライプのセットアップをベースに、Pandora Momentsを大胆にレイヤード。短めのゴールドチェーンにはチャームを添えて襟元に視線を集め、シルバーのロングチェーンにはあえてストッパーだけを配し、余白を生かした。さらに、複数のゴールドチェーンをつなぎ合わせ、その随所にリングやチャームを吊るし、まるでボディジュエリーのように肩から斜め掛けするスタイリングへ。ジュエリーはアクセサリーではなく、服と同じようにシルエットを構成する要素へと変わった。

もう一つのスタイルでは、異なる太さや素材、カラーのチェーンを首元へ幾重にも巻き付け、その間にPandora Talismanのチャームをリズミカルに配置。ゴールドとシルバーが交差するレイヤードは、どこかフェティッシュでありながら軽やかで、古代のモチーフを現代的なスタイルへと昇華させた。個々のチャームが持つ意味だけでなく、その組み合わせや配置までもが、一つの表現になったのである。Pandora Talismanは、身につける人の個性やスタイル、自信を映し出すコレクションとしてデザインされており、その自由なレイヤードはRYOTAならではの表現と響き合っていた。

SNSやファッションを通して独自のスタイルを発信し続けるRYOTAの魅力は、「何を着るか」だけではなく、「どう着るか」をデザインしていることにある。既存のルールをなぞるのではなく、自ら組み合わせを考え、ジュエリーを服の一部として再構築していく。その姿勢は、スタイルを完成された答えとして受け取るのではなく、日々更新されるクリエイションとして楽しむ現代のファッションそのものだ。

Pandoraのジュエリーもまた、「正しい身につけ方」を提案するのではなく、一人ひとりが自由に編集し、新しい可能性を見つけるためのツールなのだろう。

Jeans GOSHA RUBCHINSKY / Shirt, Belt STYLIST’S OWN 008
RYOTA : Jacket, Pants TAUS