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Where the runway meets the street

2018年5月、『フェイク トーキョー(FAKE TOKYO)』の地下1階にアーカイブピースのみを取り扱う『RS アーカイヴス(RS Archives)』がオープンした。白を基調とする同スペースには、現在「ラフ・シモンズ(Raf Simons)」のアーカイヴ品が並び、全て展示・販売をしているが、まるでアートギャラリーのようでもある。

「ラフ・シモンズ」という偉大なデザイナーがこれまで与えてきた影響力は多大で、それはファッション界のみならずアーティストなど様々な方面にまで及ぶ。また昨今では、「カニエ・ウェスト(Kanye West)」などが着用したことからか、過去の作品が海外のオークションサイトで1着が100万円を超える価格で出品されるなど高騰している。

確かにそういった流れからファッションコンシャスでない層からも注目されるブランド、デザイナーとなったが、今なぜ「ラフ・シモンズ」なのか。そしてアーカイブを”売る”意味とは。『フェイク トーキョー(FAKE TOKYO)』の担当者である柳氏へのインタビューから垣間見えたのは、トレンドや単なる古着屋ではない強いメッセージだった。

ーーどういった思いやきっかけでこの『RS アーカイヴス』を始めたのでしょうか?
「昔のデザイナーやその作品を通し、現在世に出ているデザイナーやブランドの見方を変えたいという思いでスタートしました。もともとは『フェイク トーキョー』のリニューアルプロジェクトがきっかけです。2階に入っていた『シスター(Sister)』の移転が決まり、地下1階から2階までの全3フロアの構成を再考することになりました。地下は元々、ギャラリースペースのような空間だったので、ポップアップストアや受注会を開催していて。最近では消費のサイクルが非常に早く、どんなデザイナーズブランドの洋服でも、ほとんどがすぐに価値が下がってしまいます。そのような事実や洋服の買い方に対しても疑問を持っていました。古くなった洋服でも価値付けが出来るということを知ってほしい。また以前から古着を取り扱っていたこともあり、ヴィンテージ、アーカイヴといったものに対し抵抗はありませんでした」

ーー昨今ラフ シモンズ、マルジェラ、ヘルムート ラングなどのアーカイブが非常に注目されています。個人的にもラフ シモンズは大好きなデザイナーですが、なぜ彼だったのでしょうか?
「まず第一に、『キャンディー(Candy)』が取り扱っているメンズブランドやデザイナーたちが、数いる中でも特に「ラフ シモンズ」が好きだったり影響されていることが理由です。デザインソースが彼の特定の年代であったり、少なからずインスピレーションは受けています。そういった背景から2フロアが上手く連動すると良いなという思いがあります。だからもし、『ヘルムート ラング(HELMUT LANG)』に影響を受けているデザイナーが多かったら変わっていたかも知れません。また『フェイク トーキョー』自体が、世代的にも『ラフ シモンズ』や同世代のデザイナーを通してファッションを学んできたので、そういった思いも伝えていければと思います。今は可能性の話ですが、今後は他のデザイナーのアーカイブピースが並ぶかもしれません」

ーーアーカイヴピースはどうやって集めているのでしょうか?
「コレクターの方からや個人的に仕入れたり、独自のルートを使用など本当に色々な方法です。オープン直後は90年代にフォーカスしたピース、そして現在は90年代から2000年代までのTシャツを販売していて、他にもストックはあり別のところに保管をしています」

ーーコレクターの方へコンタクトした際の反応は?
「反応はさまざまで、もちろん手放したくないとおっしゃるアイテムもありますが、非常にポジティブなリアクションもあります」

ーー価値のあるアーカイブ品と単なる古着。それを差別化する要素とは何だと思いますか?
「個人的にそれぞれ捉え方は違うと思いますが、デザイナーが意思を持って考えた“デザイン”、“作ったもの”。デザイナーやブランドによってもその価値は変わってくるかも知れませんが、そこが古着とデザイナーズ古着を画するものだと思います。そこでやはり「ラフ シモンズ」という一人のデザイナー、彼の作り出してきたデザインに僕らが影響を受けてきたので、昔の作品でも価値付けが出来るという1つの提案として『RS アーカイヴス』をやっています。誰かがその提案をしないと、ブランドや洋服は値段以上の価値付けがされない。そのきっかけを少しでも作りたいです。その認識が広がれば今あるデザイナーに対してもそういった見方や、違う洋服の買い方をしてもらえるようになると考えています。洋服の価格とは本来、単なる消費物に付加するものでなく、デザイナーの意匠やアイディアに対して払うもの。その思いが一番強いかもしれません。そうでないと、現在では世界中のどこのお店でもあらゆるデザイナーやアイテムが手に入るので、僕らがセレクトして販売をする意味はあまりない気がします。お店としてある程度、一方的ではあるかも知れませんは自分たちの主張を発信していくことは大事にしています。トレンディーなものにフォーカスされがちな時代になっているので、一度そういった流れに反したいです。セレクトショップである限り、個性や自分たちのファッション感をダイレクトに伝えていきたいという思うは強くあります」

ーーアーカイヴを販売する意味とは何でしょうか?
「僕ら『フェイク トーキョー』に関して言えば、やはり最初にお話したようにそれぞれのフロアが連動させる意味があります。このスペースでは『ラフ シモンズ』という影響力のあるデザイナーの作品を紹介し、『キャンディー』では彼に影響を受けてきたブランドが並ぶ。ある意味この『フェイク トーキョー』という1つのストア内でサイクルが成立していようにも感じます。そもそも『フェイク トーキョー』は屋号でもありますが、自分たちではそれだけではなくファッションのスポット、東京のファッションスポットとしてアプローチしていきたいです。ここで様々なカルチャーを感じてもらえる場所としても存在感を発揮できれば良いですね」

ーー『RS アーカイヴス』へはどのような方が来るのでしょうか?
「やはり、『ラフ シモンズ』にもともと興味がある方が多いです。ですが最近好きになったという方、日本国内に限らず、海外メディアに掲載して頂いたこともあり旅行でいらっしゃる方も来店されます。他にも、熱烈なコレクターの方が来店されることもあります。中には「これは過去に自分が手放したアイテムだ」というお話もありますね。そう言った会話が生まれるのはとても楽しく、コレクターの方はやはり僕らより圧倒的に知識を持たれているので非常に勉強になります。そういった情報を別のお客様に共有させて頂き、『ラフ シモンズ』という一人のデザイナーを通して、コミュニケーションができるスポットとして今後も機能していくと嬉しいです」

RS ARCHIVES
住所/東京都渋谷区神宮前 6-23-12 FAKE TOKYO B1F
営業時間/12:00~21:00
定休日/不定休
Tel./03-5766-3102
公式サイト