男性諸君、そろそろ身だしなみを整えるときだ。と言っても、いつも通りのヴィンテージTシャツにワークパンツを穿くのではなく、正真正銘のスーツに身を包むべきだ。このようなテーラードスタイルこそが、再び現代のファッションの主流となっている。

重要なのは、これからのスーツは単なるビジネスカジュアルではないということだ。今こそ本気でおしゃれを楽しむべきで、私達が求めているのは圧倒的な色気を放つスーツなのだ。服が人を作るなんて考えはもう忘れよう。今や、人が服を作る時代なのだ。

ここ数日にわたって開催されたパリ・メンズ・ファッションウィークの2027年春夏コレクションの中で多くの優れたブランドが示したように、スーツの流行が帰ってきた。ただし、あなたがズートスーツやオックスフォードバッグが流行した時代を経験していない限り、それは見たことのないスーツの形だと感じるだろう。

新しいスーツは、着るというより、最初は「着られる」くらいがちょうどいい。
それはひとつの意思表示であり、ただ袖を通すだけではものにできない。暴れ馬を乗りこなすように、着込んで、馴染ませ、自分のものにする度胸が必要だ。着る側にも覚悟を迫ってくる。控えめでもなければ、さりげなくもない。

私としては正直、それでも全く構わない。社会は既に “クワイエットラグジュアリー” を必要とする段階を通り過ぎている。もしもあなたが地味で目立たない服装を好むなら、そんなあなたを喜んで迎え入れてくれる高級な定番服のブランドなど、この世には数え切れないほどある。だがありがたいことに来シーズンのスーツは、容赦ないほど大胆なのだ。

装うことを恐れるな。それこそが、新作スーツによるメッセージだ。SAINT LAURENT(サンローラン)の色気の漂う挑発的なブレザーであれ、SOSHI OTSUKI(ソウシオオツキ)の反則なほどかっこいいマフィアサイズの一着であれ、あるいはDRIES VAN NOTEN(ドリス・ヴァン・ノッテン)の、日の出から着想を得たゴージャスなセットアップであれ、優れたスーツは注目を集めることを恐れない。だからこそそれをまとう人間もまた、怯んではいけないのだ。今私達に必要なのは、圧倒的な自信なのだから。

最高だ。壁の花のような生き方にはもう飽きた! 周りに合わせるのにも懲り懲りだ!

これらの奇抜なスーツにインパクトはあるものの、決して安っぽくはない。確かに、中には少し派手なものもあるが、普段着として着まわせないほど奇をてらったわけでもない。例えばウィリー・チャバリア(Willy Chavarria)の巨大な肩パッドのブレザーは、一年中着られるものではないかもしれない。だが、それの何が悪いのだろうか?そして何より、彼の最新のランウェイでそのジャケット達に合わせられていた、鮮やかなシャツに太いネクタイ、そして艶やかなスラックスの組み合わせは、ジャケットなしでのスタイリングであっても十分な存在感を放ってくれる。

今こそ、ありきたりで地味なスーツをまとめて一掃するときだ。これまでのスーツは、退屈極まりないスタイルの安全地帯となってきた。つまり、裕福だがセンスのない人々の制服、それがスーツだったのだ。無難に着ようと思えば簡単に失敗(つまらない着こなし)をしてしまう。その一方で、ド派手なブレザーとパンツのセットアップは、間違えすぎているからこそ正しいのだ。必要なのはただひとつ、その服を着こなす覚悟だけなのだ。

とはいえ、主役級のスーツが必ずしも派手である必要はない、ということでもない。

最高級のテーラリングはもちろんだが、これらの服がほかの既製服より丁寧に仕立てられているという意味ではない。ここで言う最高峰とは、そのシルエットと精神の両方によって定義されるものだ。ジャケットはゆったりとしたシルエットでなければならないし、スラックスもまた同様だ。しかしそれ以外の部分に関しては、あなたの想像力を思う存分働かせるといい。

どんな色でも構わないからとにかく色を恐れずにまとうこと。あるいは、上品な素材で遊び心を取り入れる。例えば、若手レーベルssstein(シュタイン)が提案する魅力的なスーツ。シャツ、襟、スラックスといったドレスコードの基本を押さえながらも、色合いや生地、さらには服の構造そのものを大胆にアレンジしている。ハーフジップのトラックジャケットを取り入れたスーツがあったっていいのだ! センタープレスの効いたスラックスを、セットのジャケットと合わせず単体で穿いたとして、それになんの問題があるというのか? あのRalph Lauren(ラルフローレン)でさえ、チノスーツにあらかじめパッチワークを施すことでワークウェアとして真の佇まいを証明し、この流行を楽しんでいるのだから。

現代のスーツ選びにおいて重要なのは、楽しむ姿勢だけだ。それを差し置いてまともな着こなしや落ち着いた色味といったお決まりの型に逆戻りした瞬間、あなたはまた、その他大勢という名もなき衣服の海へと沈むことになる。あなたのスーツは、あなた自身と同じくらい唯一無二であるべきだ。たとえほんの微かでも、はっきりと人目を引くように。

こういう服を着るのにA$AP Rocky(エイサップ・ロッキー)のような人である必要はないけれど、もし彼のような人がいたら有利であることは間違いない。