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Highsnobiety / Stefano Carloni

ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)がファッションデザイナー以上だというのは誰もが知っているだろう。Off-White c/o VIRGIL ABLOH™(オフホワイト)や、Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)での活動からIKEA(イケア)とのコラボレーション、定期的なDJ活動やアートエキシビションなど、マルチに活動する人物である。

ヴァージル・アブローの活動は、アートや、ファッション、デザインの垣根を超えるだけでなく、壊していると言える。最新のプロジェクトも例外ではない。雑誌『KALEIDOSCOPE』2018年秋冬号を祝し、11月30日にミラノのSpazio Maiocchi(スパッツィオ・マイオッチ)を貸切り、同号で特集したコリエ・ショア(Collier Schorr)や、エリック・N・マック(Eric N. Mack)、ヴァージル・アブローなどの名誉あるゲストと共に合同エキシビションを行なった。

ヴァージル・アブローは同イベントのために、ジョン・カーペンターが製作の全てに携わったという『They Live(ゼイリブ)』のように、広告の本質について問うビルボードと、見る人が“QUESTION EVERYTHING”の文字通り全てを疑うようなバナーシリーズをイベントのために制作した。同雑誌のコレクターエディションもデザインし、“QUESTION EVERYTHING”を配したホワイトのフラッグと、Off-White c/o VIRGIL ABLOH™ x KaleidoscopeのネオンイエローのTシャツが封入されている。

ヴァージル・アブローがストリートウェアとアートの未来についてパネルトークを行なった日に、今回のエキシビションや働き方、どのようにファッションとアートを調和させ続けているのかについて聞いた。

Highsnobiety / Stefano Carloni

キャリアにおいて、アートとファッションは切り離して考えていますか?

ジャンルで分類したりはしない。自分自身にタイトルをつけないし、仕事を分類することもしない。単純にそれぞれの場所にいるという感覚だよ。クリエイティブに根付いたジャンルを見つけ出し、それをモノにしたなら、後は進むだけさ。

エキシビションについて教えてください。特に、ビルボードにはどんな意図があったんでしょう?

作品の根幹となっているのは、広告とそれが人に与える影響力なんだよ。単純に、広告が誰かの購買を左右するけれども、みんなが考えている以上に大きなスケールで語られている。

もちろん人に何かを伝えるために、ロゴやブランドをよく使う。同時にロゴやブランドがどんな意味を持つかが、広告の背景にあるものだと考えているんだよ。“QUESTION EVERYTHING”も同様に、その背景にある意味を伝えたかったんだよ。

Stefano Carloni

あなたの作品は、ファッションとアートの境界線を押し広げ、進化を促している。二つのジャンルが交わるのはどの部分だと思いますか?

群衆に関心があるんだ。それぞれに境界線があるとは僕自身思っていないんだけれど、多くの人はそう思っている。僕がそうじゃないと言った途端に、隔たりがなくなっているのが今日の現象。アートやファッション、スニーカーそれぞれに興味のある人達が、突然同じ世界で一緒にアイデアを模索したりすることが、コンテンポラリーカルチャーなんだよ。

Pyrex Vision(パイレックス ヴィジョン)の“Youth Always Wins”のルックブックは、ファッションとアートを融合させた初の試みだったと思います。制作に至った経緯を教えてください。

あれは、当時考えていたファッションの形だった。アトリエや物作りをする人々を雇うお金がなかったし、制限があった。僕は全てのハイファッションブランドがこのことに意味があると思っていたけど、それは通り越したんだ。ファッションが必ずしも意味を持つ必要がないと気付いて、この作品をファッションではなくアートという視点へと方向転換をして、映像へと落とし込んだんだ。

現在のファッションであなたが興味を惹かれるもの、そうでないものは何ですか?

僕は専門家ではないのだけれど、今のファッションは面白いと思う。アイデアが豊富な環境があり、その環境も変化し続け、ハイファッションがストリートに出会い、次はどこへ行くのだろう。今後の動き方にもよるのだろう。

天気のようなもので、週末にビーチに行きたくても、その日の状況にもよる。

たくさんのことに従事していますが、クリエイティブなプロジェクトに携わるにあたって、一定のやり方があるのでしょうか?それともプロジェクトによって変わりますか?

それぞれでやり方は違うよ。会話をするようにね。別々のプロジェクトに携わることによって、様々な境界の中で考えることは役に立っている。

Highsnobiety / Stefano Carloni

最後に、Museum of Contemporary Art Chicago(シカゴ現代美術館)で行われる『Figures of Speech』のエキシビションについて教えてください。

過去15年間の作品を展示する場になっている。これまでの作品とクリエイティブに対する野望のコアなる部分を表現したような新作も展示する予定。僕の考えていることが、多分野にまたがった展示になっているよ。