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From the ground up

© COURTESY OF TITI FINLAY

2020年の終わり、「Laced(イギリス発のスニーカー特化型EC)」のソーシャルメディアマネージャーであり、Nike Air Max 90のゲストデザイナーのティティ・フィンレイ(Titi Finlay)の、7700人のフォロワーを持つ自身のInstagram上でのある投稿が話題となった。

「女性専用ではなく、女性のサイズを含んだものでいい」

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女性はスニーカー業界で平等に扱われるために長い間奮闘したが、スニーカーファンの女性にとってはまだ複雑な気持ちなのは否めない。未だ女性のサイズを含めた展開は浸透しておらず、最近のDunk Disruptのようにウィメンズ限定モデルは、多くの場合が的外れ。ただ自身のサイズで欲しかったスニーカーは、厚底、細身、もしくはファッション化されてしまう。

 

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当然のことながら、女性はうんざりしているが、前向きな結果もある。女性のスニーカーコミュニティーはかつてないほど強力になっているということだ。デザイナーからコレクター、マーケターから編集者まで、女性のスニーカーファンは不満をかき集め、問題解決の糸口を模索している。

今最も注目を集めている気鋭のスニーカーデザイナーの一人、ヘレン・カーカム(Helen Kirkum)は、スニーカー業界で4年間働き、その進化を目の当たりにしてきた。「現在、二つの驚くべきことが起こっている。一つは、業界内の多くの女性が仲間をサポートし、声を上げている。これにより、非常に強力なコミュニティーが構築されている。もう一つに、この同じネットワークに、メンターシップ、教育、インスピレーションを通じて若い世代と知識を共有する責任があるという役割を感じること。多様で力強い女性の声を聞き、お互いの仕事を尊重し、賞賛すること、そして私達の経験を若い世代と共有することは、勝利への一歩であることに違いない」

カーカムによると、その行動が差し迫っていないからこそ、コミュニティーの中の連帯感が高まっている。女性は互いを鼓舞しているのだ。

Deign by Helen Kirkum ©HIGHSNOBIETY

コペンハーゲンにある女性用スニーカーショップ「NAKED」は、最初の女性用ダンクハイカラーウェイのリリースを祝い、「全ての女の子が学び、導くことができる世界」を構想する非営利団体であるマララ基金に5,000ドルを寄付した。

コミュニティー全体で、スニーカー文化における女性の声を繋ぎ、増幅することに特化した女性主導のプラットフォーム、ポッドキャスト、および投稿が急増している。グローバルライフスタイルマーケティングマネージャーのステフハルバート=トーマス(StephHulbert -Thomas)は、スニーカー業界の女性にスポットライトを当てているポッドキャスト「_Womeninsneakers」を始め、彼女はカーカム、フィンレイ、「Sneaker Freaker」のマネージングエディター、オードリー・ブジェジャ(Audrey Bugeja)、そして「Footpatrol」のクリエイティブリード、アシェバ・チャールズ(Asheeba Charles)などの素晴らしい女性達と対話を重ねてきた。

「私がポッドキャストを始めた理由は、リーダー不足、性差別、認知不足の観点から。私の職場だけでなく、私が一緒に働いた素晴らしい女性のために。Womeninsneakersは、その同志達に声を届けるために生まれました」とハルバート=トーマスは語る。

 

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彼女の言葉に共鳴するように、ダマリーズ・ネグロン(Damaries Negron)、またの名を「@Kickitwitdd」もまた、15年もの間スニーカーを買い続け、業界の女性不足に不満を感じ、Instagram「@Kickitwitdd365」を始めた。目標は、1000人の女性にスニーカーコレクションを紹介してもらうこと。そして、すでにその中間に達している。「どの女性にもスニーカーを集める物語がある。私は女性達にこの想いについての意見を発信してもらいたい」と言う。「このプロジェクトのもう一つの理由は、同じ女性が何度も登場し、それに飽きてしまったこと。ブランドやブログは、女性のスニーカーコミュニティーがいかに大きいかを知らないと思う。私と同じような女性を紹介したい」

スニーカー業界はかつてのニッチなサブカルチャーではなくなったが、それでもこのような状況は、本来あるべきスタンダードの姿とは遠い。ハルバート=トーマスは、自分の経験について次のように語っている。「この業界において、黒人女性はさらに大きな試練が待ち構えている。単に『人の二倍もの努力しなければいけない』ということではなく、会社が各項目をチェックし、(標準の)正当性を立証しなければいけない。多様性に富んでいたか? イケていたか? 文化的に妥当であったか? そこに女性という言葉でトークナイズ(単語分割)されたくない」

 

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数少ない女性の一人であることは、女性のスニーカーファンであれば誰もが共感できるだろう。受賞歴のある映画製作者でありOGスニーカーコレクターであるシャーネイ・ラトゥーシュ(Shernay LaTouche)は、「CrookedTongues」時代からつるんでいた友人にスニーカーのパネルとして招待された。30人いる中の4人の女性のうちの一人だった。「男性達は、スニーカー好きの女性を知っており、もう一人追加することができたはずだ。概して、極少ない割合で女性を招待し、(性差別はしていないという)項目を満たしていると、ビデオでフィーチャーする。こうあってはならない」

ラトゥーシュは、スニーカー業界にいる女性の体験を共有し、賛美することを目的としたポッドキャスト「The Imprint」の創設者である。「私達の物語は常に男性の視線を通して語られる。今こそ女性が会話をリードし、積極的に自分の物語を作る時だ」と彼女は強調している。「女性は、先入観や偏見なしに同じ情熱を共有し、また互いの立場を尊重できる場所が必要である」

 

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ラトゥーシュは重要な点を提起した。長年女性を軽蔑し、見下してきた男性の色眼鏡を通して描かれた女性像をなきものにするために、女性は自身の物語を先導する必要がある。先入観が女性のスニーカーやストリートウェア業界に浸透し続けていることに疑いの余地はなく、女性という性別を強調すればするほど、伝えるべき文化の中の本当の声ではないという考えに簡単に至ってしまう。

「Googleで “ウィメンズジョーダン”を検索したのを覚えている。最初に出てきたのは、Tシャツとメンズジョーダンのペアしか着ていない女性だった」とパリのスニーカーコレクター、セルマ・カシ(Selma Kaci)はスニーカーを初めて購入した時を振り返る。パリで育った彼女のサイズのスニーカーは限られており、彼女の叔母は、誕生日にアメリカ限定の商品を郵送していた。

 

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歳を重ねてからは、ヨーロッパ中のスニーカーコンベンションを周り、ある女性に出会った。「転売することになっても、キッズのUS6サイズを持っていたことを忘れない」そうして、購入したスニーカーをInstagramに投稿し始める。「最初は、彼氏の影響を受けてスニーカーに夢中なのか、それとも彼が買ってくれたのかと聞かれることが多かった」と彼女は語る。「当時は顔も出していなかった。それはステレオタイプにはめられたくなかったから。かわいい女の子がスニーカーに夢中になっている、トレンドだからとか今イケてるからという理由で買っているだけ、というステレオタイプに。そんなことを気にするべきではないのだけれど、やはり難しい。私は最高のコレクションと見る目を持っていて、本当にスニーカーが好き。そして、それは私の性別とは何の関係もない」

女性に対するステレオタイプを破壊することは平等を達成する上でとても重要であり、スニーカー業界で働く全ての人が今では理解があると信じたいが、そうでもないようだ。本物の変化を促す唯一の方法は、より多くの女性が道を開くための意思決定のできる立場に女性がいることである。ありがたいことに、より多くの企業がシニアチームを再編し、女性を投入する意識の高さも見受けられる。それらを通じて、JordanとVashtie(ヴァシュティ)、Aleali May(アレアリメイ)、Olivia Kim(オリビアキム)、Melody Ehsani(メロディーエフサニ)(そのうちのいくつかは現在数十万円で転売されている)、そしてNike×NBAのコラボレーションでは初の女性デザイナーとしてYoon(ユン、Ambushデザイナー)との三位一体コラボなど、長い間メンズ専用であった市場に多くの女性達が参入した。

© NIKE

たとえ、男性がこれらのコラボレーションを気に入ったとしても、主に女性限定として販売されている。カーカムは「男性はずっと女性のためにシューズをデザインしてきたが、なぜかそこにはまだメンズシューズやスニーカーをデザインする女性に対し、不信感が存在している。私には全く理解できませんが」と語る。女性に男性のためのプロジェクトの手綱を握らせることへの躊躇には根拠がなく、さらには女性はその分野における権威とすら見なされていないという事実。スキルの高い女性デザイナーが不足しているわけではない。例えば、高く評価されているNew Balance 327のデザイナーであるシャーロット・リー(Charlotte Lee)。そこまで重要ではないプロジェクトや、女性限定のプロジェクトを任せることはあまり理にかなっていない。

製品の不足、見当違いのマーケティングによるウィメンズアイテムの販売は依然として大きな問題であることに変わりはないが、さらに深刻なのは女性の声が届かないどころか、無視されていること。幸いなことに、女性のコミュニティーは強さを増し、女性の場所を奪うことは戦いを煽るだけである。フィンレイは「女性コミュニティーは、緊密な家族です。皆、お互いを理解し、新しいメンバーを歓迎し、サポートしています。なぜなら、見落とされていると誰もが共感し、それについて話せる人がいないからです。私たちは皆、スニーカーはみんなのものだという共通の目標に情熱を注いでいます」

 

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伝えるべきことは明確である。性別がスニーカー愛の正当性を図るものであってはならない。女性は団結し、ブランドをより高い水準に保っている。今必要なのは聞く耳を持つことだけだ。