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From the ground up

Highsnobiety / Julien Tell

カニエ・ウェスト(Kanye West)は、YEEZY(イージー)を誰でも手に入れられるようになると繰り返し公言してきたが、ついにそれを実行する。当然、生産数が増えれば、転売価格は停滞する特に最近リリースされたYEEZY Boost 350 V2 Cream Whiteと追加でストックされたYEEZY Boost 700 Mauveの2モデルに関しては特にそうである。両モデルとも完売することはなく、adidas(アディダス)のYEEZY専用のECにも残ったままだった。

2015年2月にカニエ・ウェストがadidasとタッグを組んでローンチして以来、YEEZYが生み出してきた需要過剰は想像を絶するものだった

転売人からの言葉を拝借する限り、最初の3年間のYEEZYシリーズは、本当に高額な値段で取引された。ウェストがYEEZYをマスへ拡げると発表した際、ファンは実際にそれが起こり得るのか懐疑的であった。広く普及させることは、限定モデルという概念と相反するが、ウェストは自身の約束を実行しようとしている。そして驚くことに、われわれが予想していたよりも人々はあまり関心が無いようだ。

最新のYEEZYが転売人にとって面白くないのは事実である。USサイズ9のCream White(販売価格 / $220)とMauve(販売価格 / $300)のStockXにおける平均価格はそれぞれ$221~$291である。つまり、手数料と送料を加味すると、YEEZY 700を正規の販売価格よりも低い値段で手に入れることができる

Stadium Goods

しかし、実際にYEEZYを履くわれわれにとってはどうだろうか?Yeezy Talk Worldwideのファウンダーであるヴィヴィアン・フランク(Vivian Frank)は、スニーカーヘッズが最近の量産型YEEZYを敬遠し、OFF-WHITE(オフホワイト) × Nike(ナイキ)のようなエクスクルーシブ商品へ目を向けるようになるかもしれない。スニーカーヘッズがYEEZYの希少性が下がることで興味を失う一方、過去のリリースを見逃してきた人たちにとっては、手に入れることが容易となり喜ぶだろうと語る。

ウェストの挑発的な政治的行動も売り上げに影響していると言う者もいる。しかし、NPDグループ(消費者や小売店のパネル調査を行う企業)でスポーツ業界を担当するアナリスト、マット・パウエル(Matt Powell)は、政治との関係でなく、単なる供給量の問題であると考えている。「ウェストの商品は、常に希少性とそれによる転売の価格による現象であった。」と語る。パウエルはそれほどYEEZYのファンでないにしろ、商品自体はデザインも素材も並はずれたものではない。」語っている。

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パウエルは、こういった戦略が食い違っていくのを以前に見てきた。「Jordan(ジョーダン)が行った供給過剰も市況を駄目なものにした。Jordanの売り上げはのために急激な落ち込みを見せている。Jordanが昔のような人気を取り戻せるかは定かではない。」と言う。よって、もしもウェストとadidasがYEEZYの供給量を増やし続けるならば、Jordanブランド過ちを繰り返す恐れがある。「供給過剰はadidasのSuperstarの価値も下げ、売り上げも今や60%ほどに落ち込んでいる。ウェストの計画すらも葬られてしまうかもしれない」。

Highsnobiety / Julien Tell

パウエルが自身の考えを後押しするデータを持ち合わせていない一方で、フランクはウェストのはっきりとした政治的発言がその人気に少なからず影響していると考えている。「ウェストに対するヘイトが多く見られるということは、彼のフォロワーやファンは彼を支持していないが故に、彼の商品へのサポートをしないだろう」とも言う。

フランクやパウエルのような業界関係者が挙げるYEEZYが完売しなくなった理由から分かったことが一つある。ウェストがYEEZYを量産することを約束し、YEEZYは今や誰もが手にすることができる転売人ではない限り、もう多くの人は気にも留めていないということだ。