映画『みーんな、宇宙人。』で魅せるYUの神秘的な表情
最新映画『みーんな、宇宙人。』では、グレープ(Moja)との対話のなかで神秘的な体験をし、自分の人生について思いを巡らすリュウ役を演じるYU。映画は先日6月7日に全国公開され、CINEMAランキング通信のミニシアターランキングでは初登場3位にランクイン、邦画では1位を記録。大ヒット上映中の映画『みーんな、宇宙人。』、そしてご自身の演技について語ってもらった。
——『みーんな、宇宙人。』ではとても神秘的な役を演じていましたが、最初に台本を読んだときの印象を教えてください。
台本自体はすごくシンプルでした。映画にはMojaたちも出演していますし、CGも多く使われているのでとても印象的ですが、その独特な雰囲気のなかで僕が演じたリュウが、絶望から希望が少し生まれていくものを描いていく物語がすごくいいなと思ったんです。ただ、どんな撮影現場になるのか全くわからないというのが率直な疑問でした。
——たしかに想像しづらそうですね。
想像できなかったですね。さらに、演じるときは僕のなかで絶望と希望を分けたのです。絶望のなかで生きてきて、繰り返される自分に嫌気がさしていたときにモジャと出会い、モジャに革新的なことを言われるんです。そこでもらったセリフで、全てを受け入れて生きていくしかないという答えに向かって行くのですが、僕はその捉え方を少し変えるだけで負けることはないんだということに気づきました。生きているだけで正解だし、不正解だったかどうかは未来の自分が決めることなので、とりあえず進んでいけばいいという解釈をしました。
——たしかにMojaはとても深いことをいいますよね。
そうなんです。モジャの「人生がやり直しがきくとしたら、それほどつまらなくて苦しいものはありません」というセリフにはハッとしました。後悔したことが、後々自分のなかで美化されるとき、この経験があったから今があるんだなって思えたんです。
——心に沁みるセリフですね。
沁みますよね。さらに泣き芝居もあったんですが、それらのセリフで感じたことなどをいろいろ混ぜながら、気持ちを作っていきました。さらにMojaは(ブルータイツに身を包んだ)役者さんが演じてくれたんです。それがほんとうに凄い作業で、近くで見ていて大きな刺激をもらえました。
——実際にMojaと出会えたらどんな話をしたいですか?
まず、帰ったら家にいてほしいですね。結構いい相談相手になると思うんです。Mojaって全肯定なんですよ。否定しないんです。
——すごく優しいですよね。
そうなんです。人間のダメなところも受け止めて、それが人間だって理解しているんです。まさか侵略をしに来ているとは思わないですよね(笑)。
——他に気になったキャラクターはいましたか?
兵頭功海くんが演じたセイヤも素敵ですよね。シチュエーション的にはすごく心が痛いんですが、なんだか素敵なんです。
——ものすごく考えさせられますよね。
一つの言葉だけで、その人の背景を考えさせられるようなセリフってすごいなと思いました。最初は自己肯定感がすごく低いのに、どんどん変わって表情も変化していくところが印象的でしたね。
——話は変わりますが、ファッションのこだわりを教えてください。
基本的にブラックのオーバーサイズを選んでいます。シンプルでギミックが効いているものが好きですね。とくにお気に入りのブランドがあるわけではないんですが、街を歩いている時に「ブラックの洋服が多そうだな」と目に入ったお店で買い物をすることが多いです(笑)。
——絶対にブラックを意識しているんですね。
好きなんですよね。でも、白のセットアップも持っているんです。ただ、ブラックと混ぜることはなく、オールブラックか、オールホワイトのどちらか着ています。混ぜることはしません。
——これまで行った国で印象的だった体験を教えてください。
大学在学中にハンガリーに行ったことがあるんですが、そこでの街並みが本当に美しくて、なんでもっと早く来なかったんだろうと思ったくらい。すべてが絵画のようで、レストランも素晴らしい景色を見ながら食べられるところが多くて全てが刺激的でした。また行きたいですね。
——普段はどんな音楽を聴いていますか?
ずっと大好きなのが、台湾の周興哲というシンガーソングライターです。彼が歌うバラードはメロディーが美しくて、歌詞も切ないでので、胸が締め付けられるんですよね。ぜひ聴いてもらいたいです。
——最後に、映画『みーんな、宇宙人。』は、メインキャストの6人がMojaたちと触れ合うことによってどんどん変化していくところが魅力的ですが、YUさんが思う今作の魅力を教えてください。
きっと、僕と同世代の人たちが今作を観たら、ものすごくハッとする場面が多いんじゃないかなと思っています。観る人たちがそれぞれ違うとらえ方をすると思うのですが、6人のうち、何かひとつでも刺さってくれたら嬉しいですね。
『みーんな、宇宙人。』
【あらすじ】
ある日、誰かの役に立とうとビルの屋上で「オレオレありがとう」を繰り返すセイヤ(兵頭功海)のもとに、突然何かが空から落ちてくる。セイヤが電話を切ると、エメラルドブルーの毛がモジャモジャの見たことのない生き物ーーミントがそこにいた。ミントと他愛もない会話をして仕事へと向かうセイヤだが、その後、体型にコンプレックスを抱くミサト(菊地姫奈)のもとにオレンジ、自分に自信が持てずネガティブなショウ(西垣匠)のもとにピーチ、寂しがり屋な女の子・レイ(三原羽衣)のもとにオリーブ、人間を強く信じるヒロト(草川拓弥)のもとにクロウ、これまでの人生に悔いがあるミステリアスな人物・リュウ(YU)のもとにグレープというミントの仲間たちが次々現れ、会話を通してお互いのことを少しづつ理解し始める……。
出演:兵頭功海/菊地姫奈/西垣匠/三原羽衣/草川拓弥/YU/麿赤兒
関本巧文/詩歩/冬由/儀間咲彩/佐々木穂高/栗山かほり
監督・脚本:宇賀那健一
プロデューサー:戸川貴詞
主題歌:NIKO NIKO TAN TAN「No Time To Lose」
制作:VANDALISM
配給:エクストリーム
製作:CAELUM
公式サイト:https://www.mojamovie.com
公式SNS(X・Instagram・TikTok)/@moja_pjt
2024年/日本/93分/5.1ch/16:9/カラー/DCP
©2024 CAELUM