RALPH LAUREN(ラルフ ローレン)の内部には、2匹の狼がいる。いや、正確には十数匹だろう。その中でも、POLO RALPH LAUREN(ポロ ラルフ ローレン)とRALPH LAUREN PURPLE LABEL(ラルフ ローレン パープル レーベル)の2匹は、普段は互いに干渉することなく、それぞれのフィールドを歩んできた。その両者が今回、初めて公の場で交わったことは、既にほかの誰よりも多くの “初” を経験してきたこのブランドにとって、さらに新たな一幕を加えた。

POLO RALPH LAURENについて、これ以上の説明が必要だろうか。RALPHであり、POLOだ。もはや多くを語る必要はないだろう。一方、アメリカを代表するファッションブランドの中でも、最上位に位置づけられるRALPH LAUREN PURPLE LABELも、詳しくなくともその名を耳にしたことはあるはずだ。だが、この2つのラインが交わることは、これまで一度もなかった。少なくとも、今までは。

1月16日、ミラノのパラッツォ ラルフ ローレンで行われたランウェイショーにおいて、ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)が築いたこのメゾンは、最も親しみやすいラインと、最も洗練されたラインを融合させたショーを披露した。ラルフ・ローレンは通常、ニューヨーク・ファッション・ウィークを主戦場としており、ミラノでの開催自体が稀である。そのうえ、POLO RALPH LAURENとRALPH LAUREN PURPLE LABELが同じランウェイに立つのは、これが初めてだった。

両者は価格帯こそ大きく異なるが、近年そのスタイルの志向は着実に歩み寄りつつある。創設から約60年を迎えたPOLO RALPH LAURENは、今その年月が佇まいに表れ始めている。長年にわたる服作りの研究と、確かな審美眼に裏打ちされた、時代に左右されない装いへと舵を切っているという意味での成熟である。POLO RALPH LAURENは決して消えていたわけではない。ただ、ここ最近になって、再び存在感を強めている。一方のRALPH LAUREN PURPLE LABELは、RALPH LAURENの中で最も都会的で、常にトレンドと距離を取ってきたラインだ。一度クラシックになったものは、常にクラシックであり続ける。しかし近年は、そこに現代的なラグジュアリーの感覚も重ね合わせ、モダンな “スプレッツァトゥーラ”(イタリア語で「力の抜けたエレガンス」を意味する言葉)を感じさせるスタイリングへと更新されている。

こうした変化を踏まえれば、両者が同じランウェイに立つ発想も、数年前ほど突飛には感じられない。とりわけ、多くの新進気鋭ブランドが、過去のRALPH LAURENのコレクションや服、キャンペーンを隠すことなく模倣している現状を見れば、なおさらだ。ミラノでの合同ランウェイは、全てのアメリカ人デザイナー、そして多くの海外デザイナーが「ラルフ・ローレンになれたら」と願っている事実を、あらためて裏付けるものだった。

「2026年秋コレクションは、男性達の多様な生き方、個性、パーソナルスタイルに着想を得ています」と、ラルフ・ローレンはショーノートで語っている。 「RALPH LAUREN PURPLE LABELの気取らないエレガンスからPOLO RALPH LAURENの新たなプレッピースピリットまで、これらは私が歩んできた世界、そして信じる世界観を映し出しています」

言うまでもないことだが、服は素晴らしかった。RALPH LAURENの2026年秋コレクションでは、POLO SPORTのラグビーシャツやポスト・プレッピーなパッチワークブレザーといった華やかなアイテムが、落ち着いたスラックスや襟付きシャツと違和感なく組み合わされていた。POLO RALPH LAURENの色が強いルックもあれば、RALPH LAUREN PURPLE LABEL寄りの装いもある。しかし中には、どこからがPOLO RALPH LAURENで、どこまでがRALPH LAUREN PURPLE LABELなのか判別できないスタイルもあり、ラルフ・ローレンが幅広い表現を成立させてきたことをあらためて思い出させる内容だった。

その感覚は、完成度の高いスタイリングへと昇華されていく。ニットは無造作に肩に掛けられ、スカーフやタートルネック、ウールのヘリンボーンジャケット、レザーアウターが重なり合い、豊かな質感のレイヤーを生み出している。決して目新しい装いではないし、現代のキャンペーンやルックブックにも似たスタイルは見られる。だが、それらの源流にあるのがRALPH LAURENなのだ。これこそがオリジナル。これがラルフである。

©︎ Ralph Lauren