style
Where the runway meets the street

Pavel Kryukov

例年、年の暮れにこの1年間でトリートファッションシーンに影響を与えた、敬愛すべき人物を紹介している。Highsnobiety Crownsは編集部がピックアップした中から、読者投票により勝者が決まる。私たちの分野(ストリートファッション)で力を発揮してきたり、業界に変化をもたらす新風をバックアップする私たちなりの方法だ。昨年同様に、受賞者にはSnarkitectureHighsnobietyによって製作されたアルミニウムキートロフィーが贈られる。

ファッションリテールにとって、2017年は実店舗とオンラインともに画期的な年となった。この1年でEコマースは飛躍的に伸び、人々が洋服の売り買いの仕方を劇的に変えた。
実店舗を振り返ってみると、有名リテーラーが新たなスペースへの拡大や新コンセプトを導入するとともに、店舗の販売環境を変え、修復、改良を行った。

Highsnobiety Crownsによるベストストアの選出は、本誌が選んだ各部門のエディターズチョイスとともに、読者の投票により決定した。

2017年のベストセレクトショップ

ブロンズ―ラウンド・ツー

Round Two

2017年、ニューヨークに2店舗目をオープンした「ラウンド・ツー(Round Two)」。彼らにとって今年は忙しい1年となったが、その努力は報われたようだ。

実のところ、「ラウンド・ツー」はこれといった目立ったことをしたわけではない。チャイナタウンのエリザベス通りのアンダーグラウンドにある「ユニーク ハイプ コレクション(Unique Hype Collection)」という店は、実店舗で購入できなかったニューヨーカーたちに、人気ブランドのレアなストリートウエア商品を販売する。スニーカー業界にとっては、この店との委託販売をすることは、すでに確立された販売形式となっている。

しかし「ラウンド・ツー」の場合は、この形式に少し捻りを加えている。手入れの行き届いた人気レア商品の在庫を抱えプロ並みの商品を見せることで、ストリートウエアの古着市場に新風を吹き込んだ。

リセラーとコレクターも、オンラインで紛らわしい作業をすることなく商品を売ることができる。バイヤーは商品を見て試し、買い物ができる新たな実店舗を得た。初めての商品を買うということになると、この形式をとる重要性がまだありそうだ。

読者の声に耳を傾けてみると、この店は顧客からの評判が良いことがわかる。この人気はすぐにスローダウンする兆しは見えず、来年は「ラウンド・ツー」にとってさらなる飛躍の年になるだろう。

 

シルバー―コレット

Asia Typek / Highsnobiety

2017年、「コレット(colette)」の最後の年となった。オリジナリティの追求が、パリのアイコニックなショップの地位を確固たるものにしたという事実に、疑いの余地はない。

「コレット」は、私たちを1度たりとも失望させることがなかった。ポップカルチャーをサポートするハイ/ローファッションを提案することに加え、今年は「バレンシアガ(Balenciaga)」や「トム ブラウン(Thom Browne)」、「サカイ(Sacai)」、「シャネル(Chanel)」、「サンローラン(Saint Laurent)」らビッグネームをコラボし店頭でのポップアップイベントを開催。「バレンシアガ」のスリーピングマスクや旅行枕、「サンローラン」の巻紙など、それぞれのブランドが多くのライフスタイルコレクションを「コレット」で披露した。

最終年となった2017年は、買い物をした客だけではなく、そうではない人にとっても包括的なリテール体験ができるような取り組みを行い、改めて業界内でコレットがベストストアであることを示した。

コレットが、私たちにとって常に魅力的だったことはいうまでもない。最後の年の一連のコラボに関しても、私たちにとって何か訴えかけてくるものだった。しかし残念なことにコレットは、その歴史に幕を閉じ、トップの座から退いてしまう。

 

ゴールド―KM20

Pavel Kryukov

金賞は、モスクワにある「ザ クズネツキー モスト 20 コンセプト((he Kuznetsky Most 20 concept)」。このショップは「コレット」にわずかに差を付け、金賞に輝いた。ロシアという寒く過酷な立地環境にも関わらず、トレンドに即した美的でモダンなセンスが話題を呼び、国内外やインターネットを介して大成功を収めた。

KM20にとって2017年における1番のニュースはおそらく、Pereulok Stoleshnikov地域にショップを移転したことだ。また、話題性のある「ドーバー ストリート マーケット(Dover Street Market)」、遊び心あふれる「コレット」、ファッションへの展望を見据える「マシーン エー(Machine-A)」のようにプレゼンを打たず、顧客に対して包括的なショッピング体験の構築をしたわけでもない。

それよりも、「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH™)」や「ヘロン・プレストン(Heron Preston)」、「アリクス(Alyx)」、「ゴーシャ ラブチンスキー(Gosha Rubchinskiy)」などのブランドとコラボし、KM20はファッショントレンドの一角としての地位を築いた。

今回、「KM20」は「コレット」に対し僅差での勝利ではあったが、多くの点で最高な結果だった。トレンドの発信者がそのストアのドアを永久に閉める中、他のものがそのビジネスモデルや駆け引きを学び、次のチャプターへ進もうとしている。

 

エディターズ・チョイス―グレイルド

リテールのあり方が完全に変わった2017年、ある意味で店舗ではない場所で買い物をすることが“Best Store award”にとって理に適っていると言える。しかし、人びとが考えうる全てのブランドの商品を一つのサイトで販売するという、実店舗のどれもがこれまでなし得なかったことを「グレイルド(Grailed)」が実現できたのは、この変化があったからだ。

ヴィンテージの「ラフ シモンズ(Raf Simons)」や「ヘルムート ラング(HELMUT LANG)」のサンプル、「カウズ(Kaws)」のコレクターズアイテム、「シュプリーム × ルイ・ヴィトン(Supreme × Louis Vuitton)」の手頃な価格帯のものを探しているのならば、まず「グレイルド」をチェックするといい。全ての商品は他のユーザーから提供されたもので、これはグレイルドがますます多様化していく現代ファッションにどう対応していくべきかに焦点を当てている。

事実として、「グレイルド」は他のプラットフォームが成し得なかったことを達成しようとしている。そしていま、$7,000でもみんながこぞって欲しがる「ラフ シモンズ」の A/W’03 Peter Saville のパーカーを買えるチャンスがここには転がっている。それは、なんらかの価値があることを示唆しているだろう。