style
Where the runway meets the street

Highsnobiety Japan / Kouichi Nakazawa

DIESEL(ディーゼル)が先月から新たなブランドキャンペーン「HAɄTE COUTURE(ヘイトクチュール)」を展開し、10月12日(金)に寺田倉庫でキャンペーンイベントを開催した。様々なヘイトメッセージが書かれたアイテムがコレクションで発表され、注目のインフルエンサーが多く来場している中、CRAZYBOYこと三代目J Soul Brothersのエリー(ELLY)がイベントのスペシャルゲストとして登場し、ライブパフォーマンスを披露。『ハイスノバイエティ ジャパン』編集部が会場に潜入し、イベントレポートとスペシャルインタビューを行った。

DIESELというブランドに対して、どのような印象を持っていますか?

自分が持っている青いファーがついているアウターのように、ストリート好きの僕が着れるようなエッジの利いた服もあるし、逆にカジュアルなものもある。個性的なものだけではなくて、一般の人でも着れるようなアイテムもあるというイメージです。最近は特にストリートカルチャーとリンクしたテーマ性やデザインが多く、とても注目している好きなブランドです。

DIESELの今回のキャンペーンテーマである「HAɄTE COUTURE」では、ソーシャルメディアで飛び交うヘイトメッセージをアイテムに落とし込むという独創的なアイデアで展開されています。エリーさんは、実際にヘイトメッセージを受け取った経験はありますか?

ヘイトメッセージを実際に目にすることはそれほど多くはないと思いますが、今までアーティスト活動をしてきた中ではそういうメッセージもありました。でもそれは、ジャンルを問わず少からずあることだと思うんです。それがあるからこそ、クリエイティブなことができるという部分もある。だから、そういう類いのメッセージを見ても、そこから逆に何か出来るんじゃないかと思うので、むしろ僕は、そのメッセージを楽しい、面白いと思って見てます。

そのようなメッセージを見た時は、どのような対応をとっていますか?


“ヘイト”も“いいね!”の1つみたいな感じで捉えてますね。結構楽観的なんです(笑)。例えば、人参が嫌いって言ってることに頷くのと一緒ですね、ものは違いますけど。実際僕は歌とダンスをやっていて、それを嫌いな人もいれば好きな人もいる。それはもう、人間である以上仕方のないことだと思います。僕は、実は人参が嫌いなんです、人参に申し訳ないって思うんですけど(笑)。それとヘイトメッセージは同じことかなと。ヘイトがあるってことは、生きているってことだと思います。

ファッションにも注目が集まるエリーさんですが、今日のファッションポイントを教えてください。


昔からあるこのDIESELスタイルのデニムがずっと好きだったので、そこにストリートの要素とか、日本らしいアニメのグラフィックを載せたかったんです。今回は“NEOTOKYO”がテーマということで、デニムに“フューチャー”要素のメッセージや絵を入れたくて、イラストレーターのイナガワ ジュン(Inagawa Jun)に色々と描いてもらいました。

『NEOTOKYO FOREVER(ネオトーキョー フォーエバー)』という最新アルバムにも“NEOTOKYO”という言葉が出てきますが、それはどういう意味で使ったのですか?


“NEOTOKYO”というワードは、色んな曲の中で出てきますし、自分のソロアルバムでも使っています。確かに今の東京も素晴らしいと思うんです。音楽、ファッション、街そのものにしても。でもこの東京の中には埋もれている素晴らしいものがたくさんあって、そこはまだ世界に知られてない東京の部分が多い。だからNEOTOKYOという新たな街を作りたいと思ってるんです。今日本の音楽シーンを牽引している人達も昔は僕のようにに若くて、その時代にその人達が、今ある色んな音楽やカルチャーを作ったのだとしたら、自分も今から意識してそういう未来に残るものを作らなきゃいけないと強く思っています。いつか自分が歳をとった時に、素晴らしい音楽やカルチャーに関することを、誰でも自由に出来る環境を作りたいという思いがNEOTOKYOを作るきっかけになって、その後、僕の所属するLDH以外の事務所の人だったり海外の人達もそこにリンクし始めたんです。それは客観的に見ると、ただ集まって何かをやってるようにしか見えない人もいると思います。でも実は、今の音楽やカルチャーとかを牽引している人達を見習って、自分たちが65歳とか70歳ぐらいになった時に何が起きるかということをきちんとイメージしているので、東京がいつか必ずNEOTOKYOになる日が来ると信じて活動しています。

それは実際の街ですか、それともイメージ上の街ですか?


NEOTOKYOは、もちろんイメージでもあるんですが、実際に起こるものだと思っています。例えば、LAにコリアンタウンがあるように、食やファッションやカルチャーなどを集めた新しい街“NEOTOKYO”を作りたい。

最近はどのようなファッションスタイルを楽しんでいますか?


このブランドが好き、みたいなことをあまり考えたことがないんです。無地の白Tもすごく好きだし。でもそんな中、なぜDIESELとコラボしたかというと、今回のコンセプト「HAɄTE COUTURE」がすごく面白いと思ったのと、DIESELの提案するファッションもすごく好きだったからです。普段自分は、真っ白のものや真っ黒のもののようなシンプルな服を着たり、知り合いのブランドだけ着たりしてます。素直に自分がかっこいいと思うものを取り入れることが多いですね。自分で作ったり、作って貰ったりするオリジナルの服も好きなので、今回のDIESELとジュンとのコラボのような新しいものがとても好きです。

ファッションやカルチャーの最新情報などは、いつもどこから入手していますか?

周りの友達ですね。今これが流行ってるとかイケてるとかっていうのを、LAに住んでる友達だったり、NEOTOKYO FAMILYの奴らから聞いてます。そういう話が、彼らとの会話の中で自然と出てくる感じかな。SNSで検索するというより、そういう友達やグループから情報を得てます。

今注目しているアーティストはいますか?


今日出演しているNEOTOKYO FAMILYや、最近ではジャクソン ワン(Jackson Wang)というアーティスト。彼は、俺がやっていることをすごく好きだと言ってくれて、今後、彼と一緒に音楽を作りたいと思っています。それから、アメリカで昔売れたアーティストで、今でもレジェンドだと思っているオートチューンのキング、ティー・ペイン(T-Pain)とやりたいですね。日本だと、1%に所属しているウィリーウォンカ(WILYWNKA)がかっこいい。あとは、ジェイピー・ザ・ウェイビー(JP THE WAVY)、カズマ(kZm)、ディジー(diZZy)ですかね。彼らはうちに来て遊んだりもしているんです。ウィリーウォンカとは大阪のクラブで初めて会ったんですけど、この4人はよく遊ぶ仲で、実際やっている曲のスタイルは俺とは違うけど、純粋にかっこいいと思ってます。

また、ジャンルを問わずコラボしたい人はいますか? もしくは、今までやったことがないことでチャレンジしたいことはありますか?


ビルを買いたいですね。例えば、109とか(笑)。そこに“NEOTOKYO TOWER”を作りたい。アーティストだと、村上隆さんが好きなのでコラボしてみたいです。音楽で言えば、安室奈美恵さんとコラボはしてみたかったです。でも、こういうアーティスト達とコラボすることは、日本だとジャンルやスタイルが違うということでお互いのファンが揉めることもあるけど、僕は実際韓国アーティストとかと仲良かったりするので、それも今回の「HAɄTE COUTURE」に繋がると思い、新たなコラボレーションの形として存在してもいいんじゃないかなと思ってます。

Highsnobiety Japan / Kouichi Nakazawa

今の東京のストリートシーンは、エリーさんにはどのように映っていますか?


今のストリートカルチャーやファッションは、音楽シーンを牽引する大人達が嫌うスタイルが多いですけど、自分達の世代からすればそれが普通だったんです。そのカルチャーを取り入れてもらえる環境はあまりなかったんですが、DIESELのような感度の高いブランドがストリートカルチャーを取り入れたりするのはとても大事なことだと思います。SNSをはじめ、新たなプラットフォームや環境を作ることによって、今現在活躍しているアーティスト達も、もっと活動の幅が広がっていくんじゃないかと。NEOTOKYOはまさにそれを作り上げていきたいですし、自分が歳をとって次の世代に繋ぐ時のゴールなんです。NEOTOKYOのメンバーはみんな楽しいとかイケてるとかそういう空気感によって自然と集まってきて、これからそういう空気感をもっと広げていけたらなと考えています。

今後は、世の中に対してどのようなメッセージを発信していきたいですか?


自分の思ったこと、感じたものは絶対本物なので、確かにヘイトとか悪い部分ばかり気にすることもあるけれど、とりあえず発信してみて、そこに賛否両論がもし生まれたら、その考え自体は生きている、意味がある、ということなんじゃないかと思います。だから、そのまま突っ走って欲しいです。