INTERVIEW | 次世代アーティスト Jun Inagawa が DIESEL とコラボレーション
ストリートとアニメを融合させたようなタッチで注目を集める新進気鋭のアーティストJun Inagawaが、DIESEL(ディーゼル)の新たなブランドキャンペーン「HAɄTE COUTURE(ヘイトクチュール)」にコラボレーション参加し、DIESEL SHIBUYAではハンドドローイングイベントも開催された。
DIESELとのコラボレーションに至ったきっかけを教えてください。
JOMMYさんと『SWAG HOMMES』の連載記事で対談が実現し、その流れで今回のオファーを頂きました。最初は似顔絵を描くと思っていましたが、「HAɄTE COUTURE」と自分のアティチュードの共通点もあり、DIESELのイベントでパフォーマンスをする提案を受けました。すぐに承諾しましたね。
「HAɄTE COUTURE」というキャンペーンメッセージをどのように捉えていますか?
SNS上では、ヘイトメッセージが多く存在しています。インターネットでのいじめで落ち込んでいる人もいます。そんな中で、それをLOVEなどに変換せず、逆手に取ってそのままヘイトで攻めるのは、荒々しくやんちゃでユースらしいと感じました。もともとDIESELに対しては、デニムや大人のブランドというイメージを持っていましたが、今回のイベントで若者のブランドというイメージに変貌したように感じました。
これまで経験したヘイトはどのようなものでしたか?
中学生の頃にアニメを見ていると、周りにオタクだと馬鹿にされていました。でも、自分が好きなものは好きなので、そこで落ち込まず、気持ち悪いと言われても気にしないようにしていました。今回のテーマでもある「ヘイトさえも着ちらせ」のように、自分も気持ち悪いということを武器に発信したいとずっと考えていました。キャンペーンのコンセプトと、自分の生き方がかなり類似していたのでこのコラボレーションに参加ができて嬉しいです。
このキャンペーンのために製作した作品の着想源は何ですか?
それぞれのモデルさんの見た目や性格、ヘイトメッセージをインスピレーションに、その時に感じた印象をもとに作品を仕上げました。
絵を描こうと初めて思い立ったのは、いつ頃ですか?
2歳頃から色々と描いていて、5歳頃からはアニメキャラクターとかを描くようになりました。当時は真剣に描いていなかったですが、結局今までずっと絵を描いています。それこそポケモンなどを自己満足のレベルで描いたり、小学校ではクラスメイトの似顔絵を描いたりしていました。中学生で漫画家になろうと決心し、真剣に取り組むようになりました。
このスタイルを確立したのはいつですか?
約2年前です。それまでは、アニメや漫画の萌え系ばかりを描いていて、自分より絵がうまい人はたくさんいることに気がつきました。どうすれば自分らしさを出せるかなと考えている時に、友人からスケートやグラフィティー、音楽などのカルチャーに触れてみないかと誘われてからは、ファッションやスケートに夢中になりました。そこで好きだったアニメのカルチャーとヒップホップやストリートカルチャーの要素を融合できないかなと思い立ったんです。その結果、SNSですごく反響がありました。
ストリートカルチャーのどこに惹かれたのですか?
友人がみせてくれたスケートのビデオがきっかけです。ストリートスケートのその環境にあった滑り方が一つのアート作品のようで、かっこいいなと思ったんです。
リル・ウージー・ヴァート(LIL UZI VERT)やエイサップ・バリ(A$AP Bari)など、アメリカで様々なアーティストとのコラボレーションした作品を拝見しましたが、音楽との強い繋がりもあるのでしょうか?
ストリートカルチャーにのめり込んでからは、ラッパーやヒップホップアーティストの曲を聴くようになりました。それからは、スタイルや聴く音楽も変わっていきました。
アメリカでの長期生活の中で感じた日本とアメリカのストリートカルチャーの違いはありますか?
日本のストリートカルチャーは、すごくユニークだと思います。あくまで自分のイメージですが、アメリカだとみんなが同じような格好をしています。一方で日本人は、アメリカや他の国々から影響されたスタイルを、日本風にアレンジしてオリジナリティーを生み出しているように感じます。
アニメの方に話は戻るのですが、“オタクが世界を変えるのだ”というセリフはとても印象的でした。
このワードに関してはずっと考えていたことで、最近になってやっと作品の中に落とし込んだんです。アニメは、現代において大きなカルチャーの一つです。アニメが存在しなければ、日本は成り立っていないと思います。もはやサブカルチャーではなく、本物のカルチャーなのではないか。アニメオタクの人は、アニメを中心に人生の喜怒哀楽を感じる人もいて、漫画やアニメから学んでいることは沢山あります。アニメだけではなく、電車やアイドル、ファッションに至る様々なジャンルの中で、1つのことに没頭する人は、みんなオタクと言えますよね。この世の中にオタクは必要です。なぜなら、カフェで好きな人がいるから美味しいコーヒーが作れるし、服を作っている人は、服を知り尽くしているオタクだから素晴らしいものになるわけです。漫画でもスケーターでもどんなジャンルにおいても、1つのことに没頭できるハートを持ったオタクが世界を救ってきたと思います。
今後は、オタクカルチャーが大きく変わる気がしています。アニメとヒップホップやストリートカルチャーをミックスして、既存のオタクカルチャーを変えていきたいです。
イベントには、いつもご家族もいらっしゃっていますよね?
親孝行のためです(笑)。家族がいなければ今の僕もいないですし、家族の存在は大きいです。だから感謝やLOVEを伝えたくて、イベントでパフォーマンスを見せています。それが恩返しになるのかなと思っています。
最後になりますが、日本に拠点を移してからの今後の夢や計画はありますか?
まずは、DJになるために音楽を学びたいです。ですが、一番の夢は漫画家です。アニメーションの世界へ行きたいと思っていますし、自分の描いた漫画がアニメ化されるのが夢なんです。ストリートカルチャーのJun Inagawaだけではなく、漫画家としてのJun Inagawaという肩書きがあってもいいんじゃないかなって。そのためには、いろんな経験が必要だと感じています。DJやアーティスト活動を経て、漫画家として連載を持って、アニメ化できればいいなと思っています。
- Photographer: Kouichi Nakazawa
- Interview / Text: HIGHSNOBIETY JAPAN