©GUCCI

BALENCIAGA(バレンシアガ)を一躍ビッグブランドに押し上げたデムナ(Demna)が、今度はGUCCI(グッチ)をぐっとスリムに仕立てようとしている。見た目はすっきりと引き締まりながらも、存在感はむしろ増していくだろう。

2025年に最も期待されるデザイナーデビューのひとつとされるデムナのGUCCIには、既に多くの憶測や懸念の声が飛び交っている。

かつてBALENCIAGAを率いたデムナは、GUCCIにふさわしいのか? デムナのGUCCIは、サバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)の妖艶な世界観や、アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)の唯一無二のロマンティシズムとどれほど違ったものになるのだろうか?

答えはこうだ——ふさわしい。大きく異なる。だが、その姿は必ずしも予想通りとは限らない。

5月下旬、デムナはハンブルクの新聞『ディー・ツァイト』のインタビューで、GUCCIに対する自身のヴィジョンを語った。このインタビューはドイツ語で掲載されたためあまり注目されなかったが、特にGUCCIの服のシルエットについて詳しく述べている。

「今はオーバーサイズに全く興味がない。やり尽くした」とデムナは語った。「いまやオーバーサイズは主流ファッションの一部だが、正直あまり良いとは思っていない。個人的にはもうあまり惹かれない」。

幸いなことに、デムナは「オーバーサイズが溢れているからといって、スキニージーンズに興味があるわけではない」とも明言している。

インタビューの別の場面では、自身の影響力がスタイルや価格帯の幅広い層に及んでいることを的確に指摘しつつ、何よりも大切なのは「人が実際に着られる服」を作ることだと強調していた。

「ただ、時には着ることも実用性も考慮しない、圧倒的にコンセプチュアルな作品に惹かれることもある」と彼は語る。「とはいえ、そうした作品は全体の制作のうちせいぜい1割程度だ」。

デムナが手がけたBALENCIAGA最後のレディ・トゥ・ウェアコレクションは、過去を振り返りつつ未来を見据えた内容だった。自身がブランドで切り拓いたシルエットを改めて反映させると同時に、退任を前にそれをどのように進化させているかも示していた。

しかし重要なのは、デムナがゆったりしたシルエットで知られている一方で、タイトなフィットを否定しているわけではないということだ。彼が「パンタレギンス」を生み出した人物であることを思い出してほしい。2025年ウィンターの「ノーマル」コレクション以前から、思っているほど極端に大きくないシルエットにも挑戦していた。

そして今や誰もがデムナのスタイルを追随するなか、彼のGUCCIが180度の転換を図るのも当然の流れ。少なくとも90度の大きな舵取りは間違いないだろう。