life
Life beyond style

長く続く美術史のなかで初めて、パンクな精神で絵画における色の解放を行ったフォーヴィズム。野獣派という意味を持ち、その力強い色は感情や生命力を増幅させ、写実の領域を軽々と超えてのけた。その革新を牽引したフォーヴィストの一人であり、色彩の魔術師と称される巨匠、アンリ・マティスの意志を受け継ぐ「メゾン マティス」と、ブランド創立から2世紀が経とうとしている香水のビッグメゾン「GUERLAIN(ゲラン)」とのコラボプロジェクトが、東京都美術館で開催されている、約20年ぶりとなるアンリ・マティス大回顧展とともにお披露目された。

トレンドの波に乗ろうとひっきりなしに展開されるアーティストコラボが後を尽きないこのご時世に、本質的なコラボを探すのは難しい。だが、本コラボは正真正銘と言ってもいい。なぜなら、世界で初めてのフレグランス、美容液、リップスティックを世に送り出したビューティーの権威、GUERLAINは代々芸術を愛し、芸術とともに製品を生み、芸術の発展のためにアーティストの支援をしてきた歴史があるから。

創業時にはフェミニストのアーティストにブティックの装飾を依頼し、3代目は当時批判されていたクロード・モネやエデュアール・マネを買い求め、パフューマリーダール(香りの芸術)を完成させたように、ブランドにとって芸術は息をするほど身近なものなのだ。

本コラボで切り取られたマティスの魅力の一つは幸せの色彩。

第一次世界大戦や第二次世界大戦、晩年に患った病からの復活と、マティスの84年にわたる生涯における生と死はいつも隣にあった。窓の外の景色は真っ黒に塗りつぶされた作品≪コリウールのフランス窓≫と対比するように、多幸感あふれる創造の色彩で描かれた≪豪奢、静寂、逸楽≫は生命力を呼び覚ます。晩年に熱心だった切り絵は、その色彩が命を象っていくようだ。マティスの芸術的創造は非常に原的で、その想像力は幸せの色彩へと向かう。

パワフルな色づかいがまるで人生を賛美するかのような切り絵の傑作≪千夜一夜≫に着想し、現代的解釈で生まれたマティスらしいカラーパレットやモチーフが香りと饗宴するパフューマリーダール「ジャスミン ボヌール」。ゲランが愛してやまない香りの素材「ゲルリナーデ」のひとつ、ジャスミンの繊細さと力強さを巧みに表現した、生命を彩る芸術作品だ。

ジャスミン ボヌール メゾン マティス エディション
エクセプショナル プレートをセットしたキャップとスペシャルなボックスに収められる。世界限定1000本。
発売日:6月6日(火)
価格:86,900円(税込)
容量:200mL

エクセプショナル プレート メゾン マティス エディション
好みの香りに合わせてパーソナライゼーションが可能なプレート。世界限定200個。
発売日:6月6日(火)
価格:17,600円(税込)

フィグ アズール フレグランスキャンドル メゾン マティス エディション
マティスが愛した南仏の空気をオマージュした、太陽の光を浴びたイチジクのキャンドル。スペシャルボックスに収められた世界限定500個。
発売日:6月6日(火)
価格:30,470円(税込)
容量:200g

そして、本コラボのもう一つのキーワードは、マティスが愛した音楽。幼い頃からヴァイオリンを弾き、ジャズの即興と自由なリズムを絵画や切り絵に落とし込んだマティスは、「ビブラート」「コード」「オーケストレーション」などの音楽用語を用いて自身の作品を表現していたとも言われている。さらに「ノート」「アコード」というように調香でも使われる用語もあり、音楽とアート、香りは非常に密接な関係にある。

≪音楽≫に着想した6色のカラーパレットと音楽や自然のモチーフをひとつひとつ手作業で描いたスペシャルエディション、全世界で14個しか存在しない(日本での販売は1個のみ)究極の芸術作品「ザ ビーボトル メゾン マティス エディション」が登場する。

ザ ビーボトル メゾン マティス エディション 1L
発売日:6月6日(火)
価格:2,420,000円(税込)

色のバランス、モチーフの共存、キュビズムとフォーヴィズムの融合、絵画と音楽、生と死。色彩の魔術師として知られるマティスのエスプリの本質は「ハーモニー(調和)」にこそある。そしてそれは二つの歴史あるエスプリの調和により、さらなる芸術(絵画も香水も)の発展を意味する。当時の技術革命が招いた時代の変革期において、古典主義からの脱却を図ったマティスのマルチな視点と自由な発想が革新を起こしたように、デジタル革命のさらなる転換期を迎えた現代社会におけるヒントであり、まさに芸術と社会、人間活動の密接な関係性を裏付ける革新的なコラボと言えるだろう。