style
Where the runway meets the street

Norbert Schoerner

Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)」は、メンズ アーティスティック・ディレクター、ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)による2020年秋冬プレコレクションを発表した。

同コレクションで焦点を当てるのは、テーラリングと切り離せない関係にある「伝統」。これまでのコレクションのモチーフとして登場した「少年期のひととき(arc of boyhood)」に続き、ストーリーは「成人期の初期」へと展開し、実験的なワードローブへの挑戦に乗り出す。

伝統を「出発点」として、フィット感のあるシルエットをベースに、技術や素材の加工を通しテーラリングが生きるコレクション。カジュアルで現代的なワードローブの要素を多く採り入れ、コーデュロイのセットアップやリバーシブルのコート、レザーのバーシティジャケットなど、随所にカモフラージュ・モチーフをあしらう。イブニングジャケットは、カモフラージュ・モチーフを施したボンバージャケットのシェイプで登場。同素材のパンツに合わせたスタイリングが光る。

ラグジュアリーなクラフツマンシップと現代的なアプローチが融合したトロンプ・ルイユ(騙し絵)風のステッチは、クラシックなグレーのカフェレーサージャケットやネイビースーツ、ウール素材のパフォーマンスパーカーのディテールとして採用。モノグラム・フラワーは、サイズアップしたマルチカラーで表現し、イカット織のウインドブレーカーやインターシャセーター、ショーツなどに描かれる。

職人技が光るボリュームのあるジャケットは、ジャカード織のライニングを施したダブルフェイスのビキューナ生地で登場するほか、クラシカルなブルゾンは、ダークブラウンのディアレザーを使用。多様なフォントから成る「LOUIS VUITTON」のレタリングがミンクジャケットのインターシャで存在感を主張し、メゾンの伝統的なフラワーのシグネチャーは、シルバーグレーのパファジャケットやダークグレーのフィールドジャケットのキルティングで登場する。

ヴァージルがプレコレクションの一環としてワードローブの定番を中心に手掛けたメンズ・ライン「ルイ・ヴィトン ステープルズ エディション」は、ネイビーのフランネルピーコートやドルフィンシャイン仕上げを施したブラックのシングルブレストウールブレザーなどをそろえた。

コレクションの「主役」となるのは、伝統の活性化に向けた重要な要素、スタイリングだ。メゾンにおけるヴァージルのシグネチャーとも言えるミッドレイヤーは今シーズン、ピンストライプのハーネスで登場。スーツのストライプとマッチするとともに、メンズ・ウェアの伝統を支える重要な要素に敬意を表したディテールとなる。

2020年春夏コレクションで披露されたスニーカーは、テクニカルメタルやメッシュ素材で進化し、レザーのワーカーブーツはモノグラムを施したパネルのディテールでランクアップ。モノグラムのペニーローファーが伝統にオマージュを捧げる一方で、スポーティなソールにフォーマルを掛け合わせたハイブリッドダービーは、過去と現在の融合を試みる。

バッグでも、ルイ・ヴィトンの伝統を再解釈する。モノグラムのクラシカルなキーポルは、小物類にも頻繁に登場するディテールで、スポーティなマルチカラーのテーピングで彩る。

カモフラージュ・モチーフは、ソフトトランクにもあしらう。

レザートートや小ぶりなバッグのシグネチャーは、ドットを繋いだような描き方が特徴で、トロンプ・ルイユ風のステッチがLVのアルファベットを形成。コレクション全体を通して、サンハットもフィーチャーされている。