RAF SIMONS
RAF SIMONS、再びブランドの世界へ。
RAF SIMONS(ラフ・シモンズ)は、完全に終わったわけではない。少なくとも、今のところは。モダンメンズウェアの立役者とも言えるこのレーベルは、創設者であるラフ・シモンズ(Raf Simons)自身が最後のコレクションになると述べた2023年春夏コレクション以来、休眠状態にある。シモンズは直近の『HIGHSNOBIETY』の取材で「もっとプライベートな時間を持つために、ブランドを休止することに決めた」と語っていた。
しかし、もしかするとシモンズはもう十分に、プライベートな時間を過ごしたのかもしれない。というのも、彼のブランドが短期間ながら復活を遂げることになったからだ。
東京のラグジュアリーショッピングエリアに位置するDOVER STREET MARKET GINZAでは、RAF SIMONSの特別展示が行われ、ブランドの約30年にわたる歴史を物語るアイテムが展示・販売される。
イベントは12月29日を皮切りに、同日夜にはアイテムを購入した顧客を対象に、シモンズ本人による2時間のサイン会も実施される。
1月18日まで開催されるこのポップアップでは、シモンズの最も評価の高いコレクションのアイテムが揃う。中でも注目は、2001年秋冬コレクション「Riot! Riot! Riot!」の迷彩ボンバージャケットで、古着市場では約5万ドルの値がついたブランド史上最高額アイテムだ。また、2002年秋冬コレクション「Virginia Creeper」のオリジナルルックブックなど、希少な資料も展示される。このコレクションのダメージ加工セーターは、現代のオーバーダメージスタイルの先駆けとも言える。
約2年ぶりとなるRAF SIMONSの大規模な一般公開が、今回のDSMGでのポップアップだが、その間も、デザイナー自身は精力的に活動してきた。
PRADA(プラダ)の共同クリエイティブディレクターとして活動する傍ら、シモンズはKvadrat(クヴァドラ)とのホームウェアコラボレーションを継続し、ブランドの2005年秋冬10周年コレクションに敬意を表したウェブストア「History of My World」も継続してきた。そのサイト内では、2003年春夏コレクションのプリントをあしらったブラックデニムトートや、ベルギーの陶芸家スタジオ・ピーター・ストックマンス(Studio Pieter Stockmans)と制作したボウルなど、アーカイブアイテムの新作をひっそりと販売している。休止中とされるブランドとしては、実に多くのRAF SIMONS製品が存在することになる。
57歳のデザイナーが、ブランドを突然再始動させる可能性は低いだろう。とはいえ、先のことは誰にも分からない。
会期:12月29日(月)〜1月18日(日)
会場:DOVER STREET MARKET GINZA
住所:東京都中央区銀座6-9-5 2F
- Words: Tom Barker