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Where the runway meets the street

2020年10月、「TAAKK(ターク)」の2021年春夏コレクションが、東京・新宿御苑にある植物園で発表された。「TAAKK」といえば、デザイナーの森川拓野が、第3回「FASHION PRIZE OF TOKYO(世界で活躍するファッションデザイナーの輩出を目指すファッションプライズ)」を受賞。本来であれば、先シーズンと同様、2021年春夏コレクションは今年6月にパリで発表される予定だった。

予測していなかった新型コロナウイルスのパンデミックが起こり、ウイルスと「共存」する生活を強いられているなか、デザイナーの森川はこの状況から何を感じているのだろうか? 今回、ショーを終えた彼へ特別にインタビューを敢行し、話を聞いた。

——今回はショーとインスタレーションを2日間行うという、新しいスタイルでしたね。

はい、特に2日目のインスタレーションが新鮮で良かったですね。本当にやって良かったと思いました。丁寧に伝えたいという気持ちが、実際に伝えられた気がします。

——パリでやるはずだったショーだったと思いますが、場所はなぜ植物園にしたのですか?

来てくださる方が、来るだけで気持ちよくなれるような場所にしたかったんです。フィジカル、デジタルの議論はあまり好きではないのですが、このような時期で、ショーに来ることに抵抗があるのでは? と思ったので、皆が落ち着きそうな植物園を選びました。

——フィジカルなショーをやることには不安はありましたか?

不安は全くありませんでした。6月のショーに向けて混沌とした中でも映像を作ったり準備を進めていて、結局、(6月は)デジタルで発表ということになったんですが、やっぱり、チームで一体になって、成し遂げたショーの瞬間ってみんな忘れられない経験だと思うんです。現場にお客さんが来て、体感してもらって……。なので、今回は東京でショーができたことは嬉しかったですし、その中で自分の世界観は伝えられたと思いたいですね。そのために、2日間設けたので。

——今回のモデルのキャスティングはどのように選びましたか?

物理的に世界中からモデルを集めることはできませんでしたが、国内にいる多様性のある個性的なキャスティングができました。

——パンデミックになってから「服作り」は変わりましたか?

最近、よく聞かれることが多いんですが、やっぱり自分が作っているものは「服」なので、売って終わりなのではなく、きちんと丁寧に最後まで伝えるという、その努力を怠ってはいけないなと思っています。頑張らないといけないですね。

——「TAAKK」自体が素材やテクニックにこだわっているところがあると思いますが、この状況になって改めてブランドの世界観は伝えづらいと感じますか?

そうですね、伝えることって難しいなと感じます。デザインがあって、世界観があって、素材にもこだわっていて、チーム一丸になってそれを伝えるためにやってきてはいたんですが……。店頭で実際に触ってくれる人たちには届くかもしれないけれど、世界観全体を伝えるというのはなかなか難しい。そこは、これまでもやもやしていた部分ではありました。「TAAKK」は直営店も持っていないので。

——ファッション業界の早いスピードに対してはどうですか?

独立して自分で作っていると、大きな会社でやっているのとはまた違っている流れがあるんですよね。自分たちの手で今はこなしているんですが、僕たちの流れは以前も基本的には自分たちの地に足がついたモノづくりをしていました。でも、とにかく忙しかったのは間違いないです。

コロナになって、周りもスピードが落ちて、それで改めて大事なものが見えてくるように。本当に伝えないといけないもの、仕事のやり方に関しては深く考えるようになりました。逆に、チームワークの効率が上がってきた気はしています。

——一体感が出てきたということですね。

はい、みんながいったん立ち止まっで考えるようになったことで、服作りも変わった気がします。

——どういう部分で一番変わりましたか?

すごく馬鹿らしいかもしれないですが、これまでの目立とう、強いものを創ろうという考えは薄れてきました。派手とかではなく、もっとコンセプトの部分、根本的な強さを考えるようになりました。あと、僕でしかできないことにフォーカスすることの大切さも感じています。

——2021年春夏コレクションについて。ベルギーのアーティスト、ルネ・マグリットにインスピレーションを得て、人が面白いと感じる意識の下に隠れているマグリットの錯覚を追求する思想のもとに制作されたということですね。

マグリットがテーマというよりは、考え方に対して見て学んだことが強いですね。彼のグラフィックにおける考え方が面白くて、特に「共同発明」という作品がとても好きなんですが、目の付けどころが興味深いんです。思っていることの逆を突いてくる発想の転換をすることで、視覚的に違う世界に引きずり込むんです。コレクションの中でいうと、最後のルックのようなシャツではなく、ジャケットをタックイン、カマーバンドを付けているのが、この発想にインスパイアされています。典型的なメンズの発想からずれて違和感があるんだけれど、っていう考え方です。

あとは、写真家アーヴィング・ペンの世界観。少し枯れた花、潰れたたばこなど、ちょっとひねくれた毒のある感じも好きで、こういう考え方が服作りに応用できたらいいなと思って。「ISSEY MIYAKE」で働いていた時も彼の絵を見ていましたが、30代後半になってからまた、引き込まれるようになりました。

チームで作業をしているので、もちろん表層的なテーマを毎シーズン作ったり、ターゲットを絞るところはありますが、マグリットやペンのような世界観にヒントを得るという根本的なところは変わらず、切り口を変えてコレクションを制作しています。

——今シーズンのパステルカラーは珍しいですよね。

はい、これまでなかったですね。世界がこういう状況なので、暗いイメージから明るさを入れていきたいというのはありました。特にファーストルックのグリーンがきれいでしたね。

——コロナでさらに加速するデジタル化ですが、デジタル社会に対してはどう思いますか?

デジタルになって皆が自らまいてる情報、BCCで配られている情報みたいなもの、それって実際、そんなにきちんと見ないですよね。やっぱり、「TO」の感覚がとても大事だと思っていて、特にコロナになって感じています。デジタルになったからこそ、思いやる気持ちが重要。ショーが終わってインスタレーションをするのも、来てくださった方にダイレクトに伝えたいという気持ちがあったから。少なからず、それで伝わる人もいると思うからです。

6月に作ったムービーもデジタル発表だったんですが、ビデオメッセージみたいにすべて「TO」で送りました。手書きの手紙を400人くらいに送って、QRコードを読むと「DEAREST」と始まって、名前もそれぞれ個別に入れて作ったんです。日本語と英語のバージョンで作ったので、かなりの力作です。それと、下げ札じゃなくて下げ箱も作って、それもQRを読み込むと、メッセージが読めるようになっていたりという工夫も。手書きってやっぱり見ちゃうんですよね。

——次のシーズンを作っている最中だと思いますが、意気込みは?

今、実はテンションが上がっていて、秋冬に対して、完成度が高い気がしています。春夏を制作している時に見えた要素を、大事に育てているところです。次の発表が2021年1月なんですけど、状況が全く読めないので、トレンド分析もできません。でも、そういうときって、自分の強いものを出せたもんがちかなって思います。

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